トランスアメリカ



あらすじ

性同一性障害(MtF)のブリーは性別適合手術を一週間後に控えたある日、ニューヨークから一本の電話があった。

相手はトビーという17歳の青年で、拘置所におり、自分の父親スタンレーと話がしたいという。

スタンレーとはブリーが男性だったときの名前で、ブリーは自分に息子がいることを知らなかった

保釈金を払って拘置所から出たトビーには、父親であることはおろか、元男性であることも隠し、息子を更正させるためアメリカ横断をすることになる。

感想

主人公のブリーが性同一性障害ということもあって、トランスジェンダーやGID界隈ではすごく有名な映画なんで、かなり評価も高く、いろいろ期待して観ました。

女性であるフェリシティー・ハフマンがどのようにMtF(男性→女性)を演じるのか、そもそも性同一性障害をどのように描いてるのか、個人的にはそこらあたりが気になっていたのですが、

率直な感想を言えば、面白かったです。

トランスジェンダーならではの不安感や演者の演技、演出などなどとてもうまく表現されていて、当事者観ていて「なるほど」と思うほどでした。

ステレオタイプのブリー

主人公とトランスジェンダー女性であるブリーですが、作中ではステレオタイプのトランスジェンダー……というよりはステレオタイプの性同一性障害のように描かれています。

一例を挙げるなら「執拗にピンクにこだわる」「カウンセリングで模範解答しようとする」「ホルモン剤を飲まないと不安になる」「元男性だとバレるとパニクる」「埋没(元男性だと悟られずに女性として生活すること)にこだわる」などなど

絵に描いたようなMtFっぷりというか、脚本だけでなく、役者さんの表情や仕草、メイクの仕方まで、「あー、これは容易に想像出来ちゃうMTF像だなー」って感じで観てました。

しかしこれはあくまで演出で、ステレオタイプの性同一性障害という側面もあるますが、ブリーがいかに「性別(女性性)にこだわっているか」というのが分かる演出だったと思います。

このステレオタイプの性同一性障害像は物語にものすごくいい味を出してきますし、オープニングとラストでの演じ分けにも注目ですです!

家族というテーマ

ストーリー全体はアメリカ横断をしていく最中、ブリーとトビーの不思議な親子関係のこころの通わせるところがメインだと思いますが、個人的おすすめシーンは、ブリーとその家族(父親、母親、妹)の対話シーンです。

特に母親はブリーのかなり性別移行には反対で、その様子がまたなんとも言ない……ブリーの性別移行を嘆いたり、徹底的に男(息子)扱いしたり。

半面、妹のシドニーは始めこそ抵抗感はあれど、受け入れ態勢のもまた面白い。

個人的には「兄の面影はあるのに、男の部分がろ過されてなくなった」という表現は面白くて好きですね。

そしてはやり見どころはブリーとトビーの親子関係でしょう。

唐突に表れた息子の存在、親だと知らずに共に過ごす息子、ジェンダーの部分には直接的なつながりはないですが、父と息子、保護者と被保護者、友人、そして母と息子……アメリカ横断をしていくなか、二人の関係性の変化も見どころ。

まとめ

途中の荒々しさもきれいなまとまりも、すごく調和していて、見応えのある映画でした。

執拗に性別適合手術をすれば幸せになれると妄信しているブリーにも変化はあったし、トビーも何も変わっていないようで、ちょっとずつ変化している。

こういう作品って息子トビーの成長も一緒に描くことが多いのですが、個人的には一番成長したのはブリーなのかもしれません。

タイトルに「トランス」ってあるし、主人公も性同一性障害のトランスジェンダーですが、メインはやはりそこではなく、親子関係だったり、成長だったりというところ。

観た後は「重たいテーマもあったはずなのになんだか軽やか」と思える演出と、なんといってもフェリシティー・ハフマンの演技量に脱帽します。

ところで、タイや日本で性別適合手術をするときって約1ヶ月前~約2週間前ぐらいから、ホルモン治療を中止するんですけど、作中ではギリギリまでホルモン治療をしてました。アメリカはまた決まりごとが違うのかもしれませんね。
lgbts


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