LOVE MY LIFE


あらすじ

泉谷いちこ18歳。

語学学校にCDショップのバイトにと、若者生活謳歌中。
ママの亡き後男手一つで育ててくれた翻訳家のパパと、二人暮らしの毎日。

そんないちこが恋をした。

とてもステキで聡明で、いろんな世界を教えてくれる人。その名は城島エリー。

そう、女なのだ。

エリーを恋人だと紹介すると、パパは驚きつつも2 人の関係を理解してくれる。

さすがパパ!心が広い。前衛文学を訳しているだけのことあるじゃない。

その代わり、ある告白がいちこを待っていた。

「パパ・・・ゲイなんだ、それにママはレズビアンだった」

予想すらしない展開に戸惑ういちこ。

愛ってなに?普通ってなに?私ってなに?どんどん湧き上がってくる悩み。

けれど誰も答えを教えてはくれない。先行くエリーにもどこか垣間見える必死さ、もろさ、自分自身との葛藤。強くなりたい。自分をさらけだせるくらいに。

自分の気持ちに正直に生きていくってこんなに難しいことだっけ。

どんなときも、わたしがわたしらしくいるそれができたら、その先に待っているのはいったいどんな世界なんだろう?

感想

今回はやまじえびねさんの作品「LOVE MY LIFE」をご紹介したいと思います。

私自身はかなり前に実写映画の方で拝見させていただいたのですが、その時はやや自暴自棄だったのか「こんなにうまくいったらいいね」と投げやりな感想だった印象です。
 
ただ今になって改めて原作の漫画を読み、改めて映画の方も見てみたら違う印象を持ちました
 
映画も映像ならではの印象もあって面白いのですが、今回は漫画のほうをご紹介したいと思います。

カミングアウトからはじまるカミングアウト

主人公は泉谷いちこで、女性の恋人がいることを父親に打ち明けると、父親もゲイで母親はレズビアンだと知ることから物語は始まる。
 
「ゲイであるパパやレズビアンであるママはどこへ行ったの?」
 
それからいちこはいろんな人に出会う父の恋人、生前の母の恋人、バイト先で出会うスキンヘッドの女性、恋人エリーの元彼、エリーの父親、そしてゲイの友だちケンちゃんとは恋人のふりをする。
 
そうして自分の生きている今と向き合っている。
 
セクシュアリティのことと絡めながらも、自分の生き方や人生そのもの、恋愛や友情、歩んできたもの、さらには他の人によって歩まされたストーリーをも含めて「アイラブ マイライフ!」と言えるようになるまでのいちこの物語。

悩みに向き合える強さ

私自身、実写の映画を観た時は、多分、恋愛に対しても性に対しても、自分の人生に対しても、かなり後ろ向きだったと思います。

だからいちこのように悩みながらもまっすぐに、恋愛や性のこと、人生のこと、家族のことに向き合えるいちこのことが羨ましくもあり、疎ましく感じたのかなと、今になって思います。
 
今はそのころに比べて向き合う機会も増えたので、当時ほどは羨望はなく、独特の世界観すら楽しめました。

特に漫画の小ざっぱりとした雰囲気は読んでいてすんなり物語が入ってくる感じがして心地よかったです。
 
「だけどわたしはわたしでいるんだ この先何が起ころうと 自分の中の自然な気持ちは否定しないよ 誰かに非難されてもね パパママ 生まれてきてよかった」
 
私自身はまだまだ胸を張って「アイラブ マイライフ!」とは言えないけれど(というより現状に満足しない性格だから)、自分の人生に大好き!って言えることが、とてつもなく素敵なことだと感じる作品です。

実写映画

漫画とは違った雰囲気の映画「LOVE MY LIFE」も是非!