今回は映画『彼らが本気で編むときは、』の作中のトランスジェンダー女性の描き方について触れたいと思います。
元男子視点で語るので若干厳しめです。
あらすじや映画全体の感想は前編を見てくださいね。
パートナーの姪のトモはリンコを間近で見て、話をして、そして探り探りではありますが、男性だと見抜きます。
それに対して、トモのクラスメイト・カイの母親・ナオミは遠目で見ただけでリンコを男性だと判断します。
それだけでも不思議なのに、パートナーのマキオはリンコを男性だと気づかずに交際を申し込みます。
「女性の方が勘が鋭い」という表現なのかなんのか。そこに一貫性がなくて変な感じでした。
おまけにリンコは早い段階から女性になる準備をしているので、かなり女性化している設定でもおかしくないハズなのに、その差が生まれてしまう不思議。
なんとなくトランスジェンダーの女性の描かれ方については詰めの甘さを感じずにはいられませんでした。
どこを切り取っても女性的で、逆に言えば“女性を演じてます感”がにじみ出てて現実味がない感じ。
逆に他の女性陣や同棲しているマキオがとても生活感があって現実味がある分、そこにリンコがいることに違和感さえ感じるくらい過度に女性的に描かれている印象でした。
入院着の上からでも女性もののジャケットを羽織る始末だったので、そうでもしないと男優さんの男性的なボディラインが如実に出ちゃうのかなと勘ぐってしまいましたね。
別にトランスジェンダー女性役に男優さんが起用されること自体は珍しくなく、映画『リリーのすべて』ではエディ・レッドメインさんが、映画『彼は秘密の女ともだち』ではロマン・デュリスさんが男優でありながら見事にトランスジェンダー女性を演じています。
※「彼は秘密の女ともだち」の場合、トランスジェンダー女性というよりクロスドレッサー(異性装)に近い
もちろん生田斗真さんもトランスジェンダー女性を見事に演じてくれました。
ただ一点、気になる点を言えば例に出した「リリーのすべて」「彼は秘密の女ともだち」の両方とも、男性から女性に性別移行するさまが描かれているので、必然的に男性のシーンと女性のシーンが存在するために男性キャストが起用されるのも納得がいきます。
今回の作品では、リンコはすでに女性として生活しており、あとは戸籍を変えるだけという状況なので全編女性のシーンのみ。なので男性キャストと言うのはミスキャストと言わざるを得ないかなと。
ノベライズではリンコは母の理解もあり、10代で睾丸摘出手術をしています。リンコの年齢は分からないのですが、キャストの年齢を考えると大体30前後かなと。
そう考えると、かなり女性化していないとおかしいのに、男性キャストなのでどうしても男性っぽさが残ってしまうので違和感しかない。
リンコのようにすでに女性として生活しているトランスジェンダー女性役で女優さんが演じた例ももちろんあります。
一例を挙げれば映画『トランスアメリカ』のフェリシティ・ハフマンさん、ドラマ『ママは昔パパだった』の戸田恵子さんなど。
なので、こういった役どころであれば、女性キャストでも良かったんじゃないのかなと思いますね。
でもまぁ、生田斗真さんがトランスジェンダーの女性を熱演!って言った方が話題にもなるし、注目もされやすいのでそういった商業的ニュアンスを感じなくもない。
題材としては非常に面白いのに、どこか不完全で、もったいない感じ。
映画を観て、ノベライズを読んで、どこかで見たこのトランスジェンダー女性の描かれ方はなんだろうとしばらく考えました。
そして個人的ひとつの考えにたどり着きました。
「テレビで見るニューハーフタレントさんのソレだ」と。
男性的な雄たけびを上げる。ドスを利かせた声を出す(ノベライズ)。「男が出てる~」などの表現。一見して、もしくは話してみて男性だと分かる。乳房を触らせようとする。下ネタ的な単語を言う。過度に女性的な振る舞いをする。
もちろん例外はあるけれど、テレビでよく見るニューハーフタレントさんがよくするパフォーマンスに似てるなと。
だから「女性として生活している(元男性であることを売りにしていない)トランスジェンダーの女性」としての違和感が強かったのだと感じました。
今回は映画版の話を中心に語りましたが、原作小説ではもっと深いところまで描かれているので、あわせて読んでみるのもいいかもしれません。
元男子視点で語るので若干厳しめです。
あらすじや映画全体の感想は前編を見てくださいね。
トランスジェンダー女性の描かれ方
生田斗真さんが起用されたと同時に気になった作中でのトランスジェンダーの女性の描かれ方がちょっと不思議でした。
パートナーの姪のトモはリンコを間近で見て、話をして、そして探り探りではありますが、男性だと見抜きます。
それに対して、トモのクラスメイト・カイの母親・ナオミは遠目で見ただけでリンコを男性だと判断します。
それだけでも不思議なのに、パートナーのマキオはリンコを男性だと気づかずに交際を申し込みます。
「女性の方が勘が鋭い」という表現なのかなんのか。そこに一貫性がなくて変な感じでした。
おまけにリンコは早い段階から女性になる準備をしているので、かなり女性化している設定でもおかしくないハズなのに、その差が生まれてしまう不思議。
なんとなくトランスジェンダーの女性の描かれ方については詰めの甘さを感じずにはいられませんでした。
作中のどの女性よりも女性的に描かれるリンコ
リンコは服装や仕草など、作中のどの女性よりも女性的に描かれています。室内着や寝間着まで女性的なファッションです。
どこを切り取っても女性的で、逆に言えば“女性を演じてます感”がにじみ出てて現実味がない感じ。
逆に他の女性陣や同棲しているマキオがとても生活感があって現実味がある分、そこにリンコがいることに違和感さえ感じるくらい過度に女性的に描かれている印象でした。
入院着の上からでも女性もののジャケットを羽織る始末だったので、そうでもしないと男優さんの男性的なボディラインが如実に出ちゃうのかなと勘ぐってしまいましたね。
男優がトランスジェンダー女性を演じることについて
今回トランスジェンダー女性のリンコ役に、男優である生田斗真さんが起用されました。
別にトランスジェンダー女性役に男優さんが起用されること自体は珍しくなく、映画『リリーのすべて』ではエディ・レッドメインさんが、映画『彼は秘密の女ともだち』ではロマン・デュリスさんが男優でありながら見事にトランスジェンダー女性を演じています。
※「彼は秘密の女ともだち」の場合、トランスジェンダー女性というよりクロスドレッサー(異性装)に近い
もちろん生田斗真さんもトランスジェンダー女性を見事に演じてくれました。
ただ一点、気になる点を言えば例に出した「リリーのすべて」「彼は秘密の女ともだち」の両方とも、男性から女性に性別移行するさまが描かれているので、必然的に男性のシーンと女性のシーンが存在するために男性キャストが起用されるのも納得がいきます。
今回の作品では、リンコはすでに女性として生活しており、あとは戸籍を変えるだけという状況なので全編女性のシーンのみ。なので男性キャストと言うのはミスキャストと言わざるを得ないかなと。
ノベライズではリンコは母の理解もあり、10代で睾丸摘出手術をしています。リンコの年齢は分からないのですが、キャストの年齢を考えると大体30前後かなと。
そう考えると、かなり女性化していないとおかしいのに、男性キャストなのでどうしても男性っぽさが残ってしまうので違和感しかない。
リンコのようにすでに女性として生活しているトランスジェンダー女性役で女優さんが演じた例ももちろんあります。
一例を挙げれば映画『トランスアメリカ』のフェリシティ・ハフマンさん、ドラマ『ママは昔パパだった』の戸田恵子さんなど。
なので、こういった役どころであれば、女性キャストでも良かったんじゃないのかなと思いますね。
でもまぁ、生田斗真さんがトランスジェンダーの女性を熱演!って言った方が話題にもなるし、注目もされやすいのでそういった商業的ニュアンスを感じなくもない。
作中におけるトランスジェンダーの女性の描かれ方まとめ
作中のリンコは自分とも違う不思議な存在でした。
題材としては非常に面白いのに、どこか不完全で、もったいない感じ。
映画を観て、ノベライズを読んで、どこかで見たこのトランスジェンダー女性の描かれ方はなんだろうとしばらく考えました。
そして個人的ひとつの考えにたどり着きました。
「テレビで見るニューハーフタレントさんのソレだ」と。
男性的な雄たけびを上げる。ドスを利かせた声を出す(ノベライズ)。「男が出てる~」などの表現。一見して、もしくは話してみて男性だと分かる。乳房を触らせようとする。下ネタ的な単語を言う。過度に女性的な振る舞いをする。
もちろん例外はあるけれど、テレビでよく見るニューハーフタレントさんがよくするパフォーマンスに似てるなと。
だから「女性として生活している(元男性であることを売りにしていない)トランスジェンダーの女性」としての違和感が強かったのだと感じました。
まとめ
厳しめな視線で語りましたが、全体的に家族とは何か?何をもって家族なのかという語りかけはとてもよく、ハートフル映画としても良い作品だと思います。今回は映画版の話を中心に語りましたが、原作小説ではもっと深いところまで描かれているので、あわせて読んでみるのもいいかもしれません。