パレードへようこそ


あらすじ

★LGBTが炭坑夫を救う!?境遇の違いを乗り越えた友情は、やがてサッチャー政権を揺るがす伝説のパレードとなった―。笑いと涙が溢れる、知られざる感動の実話。

【ストーリー】
1984年のサッチャー政権下、不況に揺れるイギリス。ロンドンに住むゲイの青年マークは、スト中の炭坑労働者とその家族を支援するため、ゲイ&レズビアンの仲間たちと『LGSM』という組織を結成し募金活動を始める。しかしいざ募金を集めてみると、彼らへの偏見で支援の申し出はことごとく断られてしまう。

そこに唯一支援を受け入れてくれる炭坑が現れたが、それはちょっとした勘違い。お礼に招いたウェールズの炭坑町の町民たちは、初めて出会った『LGSM』の面々に驚き、偏見を持って冷遇する。しかし、最初は冷ややかだった町の人々も交流するうちに徐々にお互いの心が開き始める。

▼映画『パレードへようこそ』より▼


感想

『パレードへようこそ(Pride)』は、2014年にイギリス映画。スティーヴン・ベレズフォードが脚本、マシュー・ウォーチャスが監督を担当しています。

いろんな作品に触れる中、時々「これおすすめだよ」と勧めていただく作品もあります。この「パレードへようこそ(原題:pride)」もそんな作品でした。「LGBTが炭鉱夫を救う」その見出しだけでも興味がそそられる内容で、というよりも今までLGBTs関連の作品の内容はどうしてもLGBTs一色になりがちなイメージが強く、そこに「炭鉱夫を救う」という見出しだけでも「あぁ、これはLGBTs一色ではないんだな」と思いました。

映画のあらすじは上記に描いてある通りですが、何よりもエンターテイメント性・コメディ性に富んだ内容で見ていて元気になる、勇気づけられる、そんな作品ですね。

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映画『パレードへようこそ』より

押しつけがましい説教性がない

個人的に注目する点は「差別・偏見はイケませんよ」「手を取り合い協力し合いましょう」というような押し付けがましい説教性はない点です。

理由としては炭鉱労働者でも最後までホモフォビックな思いを持ち続けている人もいる、そしてLGBTsの中でも全員が全員で協力しているワケじゃない。そういった摩擦や衝突が妙なリアリティだったり、心地よさすら感じる。そして考えや思想が変わらない人もいる、目指す方向が違う人もいる。

それでもここまでのことができるという強みを感じます。

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映画『パレードへようこそ』より

違う団体同士の協力

「LGBTsと炭鉱労働者」という違う団体同士の協力。そもそも何故協力するのか?それは共通の問題や乗り越えなきゃならない課題があったから。今でも「プライドパレード」って聞くと「LGBTsと呼ばれる人たちがやっているパレード」と思われがちだけれど、そういった共通の諸問題を抱える団体や個人も参加していることも多いのです。

私たちはその点をついつい忘れがちになって、どこか「LGBTs以外はお断り」なんて空気を醸し出してる感じはあります。

もっと言えばLGBTsの中でも他のカテゴリーのセクシュアリティを排除したり、同カテゴリーしか取り扱わない排他的な場面も見受けられます。

個人的には共通の乗り越えなきゃならない課題があるんだったら、一緒に乗り越えようよ!って感じなのですが、そこがなかなか難しい。その点「パレードへようこそ」はそれを実現しようとしている、その勇気や行動力は見る者をワクワクさせてくれました。この映画から学べることも多いのではと思います。

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映画『パレードへようこそ』より

まとめ

そして「笑顔」がとても印象的です。映画の予告編を見たときから「おばちゃんたちの笑顔がかわいい!」と思っていましたが、映画本編を見てさらに思いました!笑顔!

笑顔もそうですが、映画全体にユーモラスなギャグやひねりがあって面白く、おばちゃんたちだけでなく、LGBTsや炭鉱労働者の笑顔に、こちらも笑顔になれる。そんな作品。

もちろん終始笑顔というわけでなく、怒りや悲しみ、葛藤ももちろんあるけれど、だからこそ笑顔が輝いてるように感じました。

他にも語りつくせない部分があるけれど、炭鉱労働者やLGBTsだからではなく、原題のようにひとりの人として誇り(pride)を思い出させてくれる、そんな素敵な作品です。

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映画『パレードへようこそ』より