ぼくらのへんたい


あらすじ

主人公は女装癖のある3人の中学生男子
純粋に女の子として生きていきたいためだったり、死んだ姉の身代わりとして母親を慰めるためだったり、理由と事情は様々。
それぞれに傷ついたり、悩んだり、胸ときめかしたりしながら、思春期の日々を懸命に生きている。
そんな3人が出会ってしまったとき、物語は動き始める――。

感想

女性装をする男子中学生をテーマに織りなす物語で、女性装をする理由はさまざま。

前半はファンタジックな面もありつつ、ドロドロした負の感情をメインで物語は進みますが、後半は逆にそれぞれの恋愛模様などロマンティックに描かれているのも特徴的です。

女性装するそれぞれの理由

登場するキャラクターが女性装する理由はさまざまです。

青木裕太の女装の理由は『性別の不一致』で幼少の頃より「本当の自分は女性である」と考え、女装時は「こちらが本来の姿で普段が男装している」と感じている。

木島亮介の女装の理由は『死んでしまった姉の身代わり』で、姉が亡くなったことにより母が精神を病み、そのために家では女装をして姉のフリをしている。

他のキャラクターとは違っていて家庭の事情で仕方なく女装しているのも特徴。

田村修の女装の理由は『好きな人相手の要望』で、男性の先輩に恋をし、文化祭の企画で女装をしている時に告白したところ「俺ホモじゃないから女の格好してるなら付き合ってもいいよ」との許諾を受けたことが女装習慣と先輩との性関係の始まりとなっている。

メインの3人はこんな感じ、乙女チックでメルヘンな妄想や願望があったり、女装している時は姉の亡霊を見たり、前世とか電波的な発言あったりと、一癖も二癖もある感じ。そんな中もう一人女性装をする男子が登場。

夏目智の女装の理由は単純面会で『可愛いから』『似合うから』で、女装に対しての意識も他の3人とは違ってかなり肯定的。故に体格が男性らしくなってきたことに加え、裕太(まりか)を女性として扱い恋をし男性として見られたいと願ったことから、女装をするのをやめている。

それぞれの恋愛模様と変態(成長)

裕太(まりか)は修に王子さま性を感じて恋をし、修は好きだった先輩のことが気になりつつも、男性として亮介が気になり、亮介と智は裕太(まりか)に恋心を抱くという、なんともまぁドロドロっぷり

しかしそれぞれが……というより登場人物のほとんどが恋をして変態(成長)していきます。

裕太(まりか)も泣いて引っ込み思案で女性装に後ろ向きだったのに、堂々とできるようになったり、亮介も母と姉と向き合うことができるようになったりと、確実にみんながみんな成長している物語です。

個人的には女性装をやめた智くんの健気さや前向きさが結構好きだったりします。

まとめ

女性装にいろんな理由があっていいと私は思います。でもできればそれに肯定的であってほしいなとも思うわけで。

終わりは結構あっさりですが、その分、彼ら彼女らは自分の女性装と向き合ったんだろうなと想像できてしまうくらいには、すっきりした終わり方だと思います。

女性装であってもそうでなくても、自分の行き方にどうどうと「いいじゃない へんたいで」と言えるキャラクターたちにはいろんなもの後押ししてくれるのだろうなと思います。