ハートストーン


内容紹介

東アイスランドの小さな漁村、ソールとクリスティアンは幼なじみでいつも一緒の大親友。

思春期にさしかかり、ソールは大人びた美少女ベータのことが気になりはじめる。クリスティアンはそんなソールの気持ちを知り二人が上手くいくよう後押しする。

そしてクリスティアン自身もベータの女友だちハンナからの好意を受けとめ、4人は行動を共にするようになるのだった…。

アイスランドの小さな漁村。家族との諍い、かけがえのない友情、淡い恋の芽生え。

北欧アイスランドから届いた、優しく心にしみる青春映画の秀作。

本作のグズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン監督も、この初長編作品が各国の映画祭で絶賛され受賞を重ね続ける若き俊英。

『ハートストーン』は、アイスランドの美しく雄大な自然が広がる漁村を舞台に、少年たちの儚く繊細な感情を残酷なまでに切り取った、監督の自伝的“ラブストーリー"。人口33万人の小さい島国が新たな才能をまた輩出した!

感想

少年たちの儚い繊細な感情を残酷に切り取ったという言葉がぴったりな作品です。私が一番に抱いた感想は「痛そう」でした。それは物理的な痛みではなくて、思春期のキラキラよりもズキズキのが勝るといった感じで。

誰もが顔見知りのような小さな漁村で、時に閉塞感を感じる中、少年たちの子どもからちょっと大人に差し掛かるの青春の1ページが描かれています。

青春の1ページと言ってしまえば聞こえはいいけど、家族の問題があったり、異性への興味、友人関係などなどの素直に受け止めるには、ソールとクリスティアンには重すぎる。それでも青春の1ページを切り取った作品と言える作品です。

クリスティアンの想い

クリスティアンは親友のソールに友情よりも恋愛に近い感情を抱いています。カミングアウトしているわけではないがいつも一緒にクリスティアンとソールをカップルだと囃し立てたり、醜いカサゴをクリスティアンみたいだといって痛めつけたりとどこか不穏。そしてゲイフォビックな父親にバレるのではないかという恐怖。

物語序盤まではクリスティアンの気持ちはまだ定まっていないようでした。それはいろんな経験を経てソールへの恋心の自覚に繋がるのですが、その描写がまた痛々しい。

ソールの大人びた女の子の恋心を後押ししたり、自身も女の子と言い感じになったり、ソールの死に直面しそうになったり……。私は正直言ってあまりにも痛々しくて見てられないなと思ったくらいです。

それでいて特にクリスティアンの気持ちは視線や行動などで手に取るように分かるので、どう揺れ動いてるのかもこの映画の見どころだと思います。

動物たちの死

ハートストーンには特徴に動物の死が描かれています。

冒頭の醜いカサゴをクリスティアンみたいだと言って痛めつけ、ソールが捕って来た魚をソールの母は盗んだものだと言って放置し腐らせる、海鳥は不良少年たちの的になり撃ち抜かれ、犬にかまれた羊は銃で殺処分されます。

そんな命を奪われる動物たちに感情をむき出しにするのはクリスティアンの想い人ソールです。

カサゴはリリースし、放置して腐った魚は「放っておいたからだ」と母に激高、海鳥や羊には憐みの目を向ける。これにどういう意図があったのかは定かではないですが、私個人の考えとしては(狭い漁村では異端な)クリスティアンを救うのはソールであることの示唆なのかなと思います。

物語のラストもう一度カサゴが印象的に描かれます。それが救いなのか残酷なのか私は判断できませんでしたが救いであることを願っています。

まとめ

タイトルの「ハートストーン(Heartstone)」とは、アイスランド語の『Hjartasteinn』の直訳だそうで、グズムンドソン監督が「Heart」と「Stone」という2つの単語を1語に合わせて作った造語とのこと。

それぞれの単語には、“温かい感情”と“厳しい環境”という意味があり、監督はこの新しい言葉が、詩的な形でこの映画にとても良くフィットすると感じ、タイトルに決めたとのことです。

クィア獅子賞という賞を取っているためLGBTs作品のようですが、あくまでもこの作品は閉鎖的空間の中での思春期の少年少女の青春の1ページという感じであまりLGBTs作品という感じはありません。

なのでアイスランド映画が好き、アイスランドの風景を楽しみたい、ほろ苦い青春映画好きという人も楽しめると思います!
▼映画予告編▼