彼の見つめる先に


内容紹介

大人の入り口に立つティーンエイジャーの揺れ動く感情を、サンパウロの降り注ぐ日差しの中でみずみずしく映し出したブラジルの青春映画。

恋する気持ちは、目に見えない

目の見えない少年レオは、ちょっと過保護な両親と、優しいおばあちゃん、いつもそばにいてくれる幼なじみのジョヴァンナに囲まれて、はじめてのキスと留学を夢見るごく普通の高校生。

でも何にでも心配ばかりしてくる両親が最近ちょっと鬱陶しい。

ある日、クラスに転校生のガブリエルがやってきた。レオとジョヴァンナは、目が見えないことをからかったりしない彼と自然に親しくなっていく。

レオはガブリエルと一緒に過ごす時間の中で、映画館に行ったり自転車に乗ってみたり、今まで経験したことのない新しい世界を知っていくのだが、やがてレオとガブリエル、ジョヴァンナ、それぞれの気持ちに変化がやってきて…。

感想

予告編やあらすじを読む限り、ティーンの男女の三角関係っぽいからドロドロしてるのかなと思いましたが、想像以上に爽やかでキラキラした作品でした。

思春期に差し掛かり親から自立やキスに憧れる盲目の少年レオとそんな彼にほのかに恋心を抱いている幼馴染のジョヴァンナ。そこへ転校生のガブリエルがやってきて……というありがちともとれる青春映画ですが、ありがちだからこその良さがそこにはある感じです。

特にレオとガブリエルが心を通わせるシーンやそんな仲のいい二人に嫉妬してしまうジョヴァンナ、そして物語全体を彩る音楽がとても華やかに感じます。

彼の見つめる先に01
映画『彼の見つめる先に』より

自立したいレオ

目が見えないことで過保護になっている両親と親から離れて成長したいレオ。そんなレオに色んな世界を見せてあげるガブリエル。盲目な彼にとって月食や映画はとても新鮮だったのだと思います。

私から見るとレオの両親…特に母親は過保護で留守番もなかなかさせない、学校主催のキャンプも断ろうとする。そんな両親から離れたくて留学をしたいと思うようになるレオは自然な事かと感じました。だから本人がしたいと思うならさせてあげればいいのになって思ってたら、両親の説得はなるほどと感じるモノでした。

そういった過保護な両親と自立したいレオ、そんなレオが模索する自立とは何かというのもこの映画の見どころなのかなと思います。

個人的に好きなのは「ガブリエルと映画に行った」とレオがジョヴァンナに報告するシーンで驚くジョヴァンナに私は『あぁ盲目の幼馴染が映画に行ったとか聞いたら驚くよな』なんて思ってたら「なんで誘ってくれなかったの!?」となんともティーンらしい若者の発想だったのでちょっと笑っちゃいました。

3人の恋模様

この映画の見どころはやっぱりレオの恋心かなと思います。しかし他作品でありがちな同性に恋した故の苦悩や疎外感などはなく極々自然。男女の恋愛と差なく描かれています。

レオの将来設計に子どもは無理だと思うという発言に親御さんは養子という選択肢もあると提案したり、ガブリエルに恋していると打ち明けられたジョヴァンナも自分が失恋したことにショックこそ受けますが、レオの恋を応援します。

それはかなり早い段階で同性婚の法制化をしているブラジルのお国柄なのかもしれません。そんな恋模様の描かれ方と行く末もこの映画をみずみずしく彩るアクセントになっていると思います。

まとめ

原題は『Hoje Eu Quero Voltar Sozinho』で日本語訳だと「今日はひとりで帰りたい」らしいのでこの映画はキラキラした青春映画ではありますが、レオの成長のお話なのかなと思います。レオの恋心や両親への反発はその成長痛のような感じだったのかもしれません。

成長と言ってもまだまだ成長し始めたという段階ではありますが、そんな成長を温かく見守っていきたいなと思える作品でした。

▼『彼の見つめる先に』予告編▼