ボーイズドントクライ000


あらすじ

アメリカ、ネブラスカ州。

無邪気な笑顔で女心をくすぐる美少年のブランドンは刑務所帰りの二人の男と知り合い、仲間として受け入れられていく。

恋人もでき、万事順調と思った矢先、昔の事件がもとで彼の秘密が暴かれてしまう。本当は「女」であるという事実──。人々の態度は残酷なまでに豹変、そして惨劇は起こった……。

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映画『ボーイズ・ドント・クライ』より

感想

とにかく重い。とにかく悲しい。実話を基にしているだけあってどこか単調なようで、ギアを入れっぱなしのようにも感じる作品。

1993年、ネブラスカ州リンカーン。当時は性同一性障害という疾患自体の認知度も低く、トランスジェンダーや同性愛についてもかなり差別と偏見が厳しい世の中でした。

とにかく2回目見るのには勇気が要る…そんな映画です…。

世間と法

前述したとおり、ボーイズ・ドント・クライは実在の事件・人物を基にしています。あくまでも基にしているだけなので、実際とは違う部分もあるようですが、大筋はその通りらしいです。

ブランドンはホルモン治療も性別適合手術も行っていなかったため、メディアでも彼はレズビアンだと報道されていたそうです。

1998年にはワイオミング大学に通うマシュー・シェパードとジェームズ・バード・ジュニアがヘイトクライムによる暴行で亡くなり、ブランドンの事件のショックとともにヘイトクライム禁止法制定の機運が高まることとなる。

法案はバラク・オバマの大統領就任後の2009年に上院を通過し、大統領が10月28日に署名したことにより成立しました。

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映画『ボーイズ・ドント・クライ』より
  

まとめ

この作品は持って生まれた性別(身体的性別)と性自認が違う人もいる…つまりは性別違和や性同一性障害という事象の認知度も高めました。

またそれによるヘイトクライムの悲惨さ、無情さも訴え、人間の持つ残酷さを見事に映像化しています。

割とショッキングなシーンもあるのですが、結末まで観てほしい…そんな作品でした。