しまなみ誰そ彼


あらすじ

僕はゲイかもしれない。だから苦しいんだ。

クラスメイトに「ホモ動画」を観ていることを知られた、たすく。

自分の性指向…ゲイであると皆に知られたのではないかと怯え、自殺を考えていた彼の前に、「誰かさん」と呼ばれる謎めいた女性があらわれた。

彼女は、たすくを「談話室」へと誘う。そこには、レズビアンである大地さんがいて…。

尾道を舞台に描かれる、性と生と青春の物語

しまなみ誰そ彼01
『しまなみ誰そ彼 1巻/鎌谷悠希』より

感想

【性と生と青春の物語】とあるように、生きること、そしてさまざまなGSRMな人物が出てきます。

ゲイであり自身がゲイであることに嫌悪している主人公たすく、パートナーと一緒に暮らしてるレズビアンの大地、他にもトランスジェンダー、クエスチョニング、Aセクシュアルなどなど。

もちろん、優しい人だけじゃない、心無い人も出てきます、ホモだと揶揄う人、平気でアウティングする人、善意で悪気なく傷つける人…本当にいろいろ出てきます

しかし、青春物語です。主人公たすくの心の成長が紆余曲折して周りに支えられながらも見て取れるのがとても面白いです。

しまなみ誰そ彼04
『しまなみ誰そ彼 4巻/鎌谷悠希』より

自己否定するたすく

主人公たすくはとにかく自己肯定が低いというか、とくにゲイである自分を認められないところが端々に感じます。故に物語序盤はから回ったり、自ら死を選ぼうとしたりします。

ただたすくの面白いところは自身がゲイであることに嫌悪しているのに他者のGSRMに関してはすんなり受け入れているというか、否定をしないのです。

もちろん無知ゆえに相手を傷つけてしまったり、無理解な事を言ってしまったりはあるのですが、それでも否定しない、分からないことは分かろうとする姿勢は好きです。

そんな彼が自分のことを堂々と他者に、そして自分ではない誰かを守るために「自分は同性愛者だ」と言えるようになるのは本当に大きな成長だったと思います。

しまなみ誰そ彼05
『しまなみ誰そ彼 5巻/鎌谷悠希』より

否定的な人たち

作中にはいろんな人が出てきますが、フォビックな感情ではなく、無思慮、不安、善意、からかいなどから来る差別的な発言や行動をとる人物が登場します。

その中でも主人公たすくの想い人椿冬馬はちょっと複雑です。

親しくしていたと思ったら、何かに怯え、何かに不安になり、それが嫌悪に繋がり、攻撃的になる、特に作中では彼のジェンダーやセクシュアリティについては触れていないので、どうなのかは分かりません……というよりも本人が一番分かっていないのですが、彼は彼なりに何か悩んでいたのかなと。

そういった何かの形で否定的な人たちも実はこの作品の見どころなのかもしれないです。

しまなみ誰そ彼03
『しまなみ誰そ彼 3巻/鎌谷悠希』より

まとめ

作中では他にも【“誰かさん”の正体】や【空き家を使ってたすくは何を作るのか】とかいろいろなことが盛りだくさんです。

全4巻は全体にまとまっていて、それでいてひとりひとりにフォーカスが当たっているので、いろんな人に感情輸入して楽しめます。

また著者の描く繊細な人物、そして広島県の瀬戸内海 尾道市のしまなみ風景も見どこです!

しまなみ誰そ彼02
『しまなみ誰そ彼 3巻/鎌谷悠希』より

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