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あらすじ

マイアミを舞台に自分の居場所とアイデンティティを模索する少年の成長を、少年期、ティーンエイジャー期、成人期の3つの時代構成で描き、第89回アカデミー賞で作品賞ほか、脚色賞、助演男優賞の3部門を受賞したヒューマンドラマ。

マイアミの貧困地域で暮らす内気な少年シャロンは、学校では「リトル(チビ)」と呼ばれていじめられ、家庭では麻薬常習者の母親ポーラから育児放棄されていた。

そんなシャロンに優しく接してくれるのは、近所に住む麻薬ディーラーのフアン夫妻と、唯一の男友達であるケヴィンだけ。

やがてシャロンは、ケヴィンに対して友情以上の思いを抱くようになるが、自分が暮らすコミュニティではこの感情が決して受け入れてもらえないことに気づき、誰にも思いを打ち明けられずにいた。そんな中、ある事件が起こり……。

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映画『ムーンライト』より

感想

アカデミー賞を受賞したとき【黒人のゲイの少年が主人公】と話題になったかと思いますが、正直この映画で彼が黒人であることもゲイであることあまり大きな問題ではないです。

ひとりの少年が自分のアイデンティティを模索し見つけようと成長するストーリーで、そのエッセンスとしてセクシュアリティだったり貧困やドラッグ、いじめといったものが散りばめられているといった印象です。

またなんとなく漠然と「暗い雰囲気なのかな?」「バッドエンドなのかな?」とかあまり明るい印象を感じていなかったのですが、いざ見てみるとそんな感じでもなく、救いはあるし印象的な映像表現も多く想像してたようなダークな印象は感じませんでした。

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映画『ムーンライト』より

月光と印象的な青

この作品はとても青が印象的で、特にフアンがシャロンを連れて海に泳ぎに行くシーン。

フアンが昔話として「夜の海岸を歩いていると、月の光に照らされて黒人も青く輝いて見える」と話します。この言葉がタイトルの由来で「人間は今の自分とは違う自分になることができる」ということを意味しているそうです。

実際劇中ではこの言葉通りに、シャロンに月の光が当たって肌が青くなっている場面が何度も登場しますが、シャロンの人生が変わろうとしている瞬間にそのような演出が意識的になされているそうです。

この印象的なブルーはCG表現らしくとても綺麗なのでそこに注目しても楽しめるかと思います。

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映画『ムーンライト』より

章と章の間

本作は3つの章「Little」「Chiron」「Black」から構成されていました。本作ではそんな章と章の間に非常に大きな出来事が起きています。

まず第1章と第2章の間には幼少期のシャロンの心の支えであり父親代わりとなっていた麻薬の売人フアンが亡くなっており、第2章と第3章の間でシャロンが少年院に収容されていたという部分は全く描かれてません。

その分、シャロンがアイデンティティも模索し、成長していってるのだと分かりやすく表現されていて、こんなにもぶつ切りなのにシャロンの半生のドキュメンタリーを観ているかのような臨場感を感じました。

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映画『ムーンライト』より

まとめ

内容はさることながら、本作の魅力は役者陣にもあってシャロン役は少年、ティーンエージャー、成人で分かれていますが、演技力の高さでまるでひとりの人間の成長をそのまま見ていたかのように感じます。

そして作品自体多くは語らず、全体的に静かで控え目な雰囲気で、それでいて役者陣の素晴らしい演技が説明が少なくとも観る人の感性を刺激してくれる作品です。

ゲイが主人公とのことでしたが、それ自体が大きな問題ではなく、ひとりの少年の物語といった感じです。

▼映画『ムーンライト』予告編▼

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