海辺のエトランゼ


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映画『海辺のエトランゼ』より

あらすじ

年下フリーターとゲイ小説家のじれったいほど切なく、心が洗われるようなボーイズラブ。

小説家の卵でゲイの橋本駿と、物憂げに過ごす高校生・知花未央。3年前、2人は沖縄の離島の海辺で出会い、日に日に距離を縮めるが、未央が島を離れることに。

そして3年後、島に戻ってきた未央は「3年考えた。男でも駿が好き」と迫る。しかし駿はいざ未央と恋人同士に、となると一歩を踏み出せなくて…。

感想

紀伊カンナさんの『海辺のエトランゼ』のBL作品を映像化した劇場アニメです。まるで異世界に迷い込んだかのような沖縄の海辺の風景と風を感じる作画がとても魅力的で綺麗でした。

映画のタイトルは「海辺のエトランゼ」ということですが、原作では「春風のエトランゼ」として続いており、劇場版でもその続編の内容が少し組み込まれてます(実央のカニ好きや瞬の学生時代の苦い思い出、桜子の回想など)

決して長い映画ではないのですが、テンポも良くかなり濃厚な映画だと思いました。そしてキャッチコピーにあるように本当にただ恋をしている男の子が臆病になったりガンガン行ったりする可愛らしいお話です。あと猫が可愛い。

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映画『海辺のエトランゼ』より

幻想と現実の狭間

沖縄の離島の風景はとても綺麗で明暗がはっきり分かれていて、まるでファンタジーの世界のようだけど、物がごちゃついている瞬と実央の生活空間や商店はどこかリアリティがあります。

BLや百合作品においてどこか「ファンタジー」と切り離されがちだけれど、確実に現実空間のどこかに実央や瞬のように恋愛をしてる人たちがいると感じさせてくれます。ここの描写は原作漫画よりも動きや色が加わったアニメがとても顕著です。

また瞬の同性に恋をする苦しみやそれによって辛い経験をした過去も現実味を帯びています。これに関しては劇場版でも少し触れていましたが原作続編「春風のエトランゼ」にしっかり描かれています(田舎故に噂を立てられるなど)

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映画『海辺のエトランゼ』より

桜子の苦悩

同性に恋すること…というより自分の性的指向に実央を巻き込んだことに苦悩する瞬やいろいろ考え抜いて瞬が好きだと結論付けたのにイマイチ先に進めない実央の恋愛模様も可愛らしいですが、その2人意外にも魅力的なキャラクターがたくさんいます。

結婚式を逃げ出した瞬を受け入れて住まわせてくれるおばあちゃんや2人の背中を時には優しく時には力強く押してくれるレズビアンカップルの絵理と鈴。でも一番は瞬の幼馴染であり元婚約者の桜子。

彼女は瞬の恋愛指向を理解しつつも、自分がそれに向いていないことに、苦悩し、怒り、感情的に、自分のため、そして瞬のために動きます。彼女の存在は当て馬なんかではなく、彼女の人生や価値観が実央と瞬の恋愛を現実味は引き上げてくれる存在だと思います。

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映画『海辺のエトランゼ』より

まとめ

瞬と実央が一生懸命恋愛をしている、それだけで十分に素敵にな作品ですが、BLはただただファンタジーではなく、どこかで実央と瞬のような恋愛をしている人たちがいると感じさてくれる作品です。

まるで異世界のようだと表現した沖縄の風景や海を彩った背景も綺麗ですが、風を感じさせる髪のなびき方など見どころたっぷりです!あと猫が可愛い、あと作中に出てくる食事が美味しそう。カニカマ丼美味しいよね。

▼映画『海辺のエトランゼ』ロングPV▼

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