佐藤家の朝食、鈴木家の夕食



あらすじ

 佐藤拓海は2人の母、晴子、彩との3人暮らし。毎朝、それぞれ違う卵料理が並ぶ食卓を囲み、仲良く過ごす3人。だが、拓海は自らの家族のかたち、自分の父親について、複雑な想いを胸に秘めていた。

そんな折、斜向かいの家に鈴木裕之、省吾の父2人の娘である そら が引っ越してくる。両家族が交流を持つにつれ、次第にお互いの不思議な家族のかたちが明るみになっていく。

  生物の授業で、遺伝子組み換えのことを学び、自分と重ねる拓海。思い悩んだ拓海は、ついに晴子に父親は誰かと問いただす。黙り込む晴子。やり場のない怒りをかかえ、家出をした拓海はそらと裕之たちの車を奪い、走り去る。自らの存在意義に疑問を持ち、互いの家族の中に「居場所」を失った2人が向かった先は…。

  LGBTを題材の中心に据え、少し不思議な2つの家族の悲喜劇を通じて、人間、家族のあり方を丁寧に描き出すことを目的とした本作は、血のつながり、戸籍、愛情…、「家族」であるために必要なものを静かに問うた感動のホームドラマ。


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ドラマ『佐藤家の朝食、鈴木家の夕食』より

感想

こちらはBSジャパンで2013年に放送されたスペシャルドラマ。

女性同士のカップルに育てられた拓海は、自分の家族が世間一般とは違うこと、そして自分の父親が誰なのかが気になっているのに対して、男性同士のカップルに育てらたそらは大好きなパパたちに囲まれて幸せだったのに拓海と出会うことで自分の家族について悩むようになる。

淡々と2組の家族が自分たちの家族のかたちに納得するまでのお話ですが、設定が設定だけに重たく、ラストちょっとほっこりします。

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ドラマ『佐藤家の朝食、鈴木家の夕食』より

戸籍か?血縁か?

女性同士のカップルに育てたられた拓海は、彩の卵子と晴子の弟の精子を体外受精し、晴海のおなかで代理出産したので血は2人の母と繋がっている、反面、戸籍上は晴子の息子という扱いで、彩は同居人という立ち位置。

対して男性同士のカップルに育てられたそらは、戸籍上は裕之の娘だが血は繋がっていない。省吾は裕之と養子縁組をしているので実生活的にはパートナーでも戸籍上は裕之の息子、そらの兄という立ち位置。もちろん血は繋がっていない。

血のつながりはあるが戸籍上のつながりはない佐藤家と戸籍上のつながりはあるが血のつながりがない鈴木家のとの対比といった感じで、双方に悩む。

今でこそパートナーシップ条例などで地区ごとに同性カップルに異性愛夫婦と同条件になるようなシステムはありますが、それもまだ万全ではなかったりします。また日本は特に「家族は血のつながり、戸籍のつながり」っていうのがまだまだ根強く、そこから外れると「普通じゃない」レッテルを貼られることもしばしばあり、そういった諸問題に真正面から向き合ってる作品だなと感じました。

佐藤家の朝食、鈴木家の夕食002
ドラマ『佐藤家の朝食、鈴木家の夕食』より

普通か、普通じゃないか

作中では普通か普通じゃないかというのも議題にあがります。少なくても両家族の親は自身の家族が普通ではないと理解しつつ、それでも家族でありたいと願っていますが、息子娘たちはその限りではなくて、拓海は「普通じゃないからイヤだ」と家族であることも拒みます。

反面、そらは「これが私の普通だ」と毅然とした態度でいますが、高校に通えていないことや、血のつながりがないことにも悩んでいます。作中の描写から同性カップルの家族ということが原因で問題になると判断して学校には行っていないようです(不登校というわけではなく在籍すらしてない状態)

拓海とそらとの対比のように戸籍のつながりもある血のつながりもあるが気持ちはバラバラで崩壊寸前の拓海の友人の家族も出てきますが、拓海は自身の家族やそらや友人の家族を見て「自分の家族は普通じゃない、でもいい家族だ」とゆっくり時間をかけて納得していきます。

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ドラマ『佐藤家の朝食、鈴木家の夕食』より

まとめ

自分たちを「種なしスイカ」に…つまり自然界には存在しないものに例える拓海ですが、それに対してのそらの答えが秀逸だと思いました。単純明快でシンプルだけど、結局そこだよねって思います。

確かに男女の夫婦で血のつながりや戸籍のつながりがあるのが自然で普通とするのなら、家族って何?自然ってなに?普通って?とどんどん疑問がわいてきます。

自分たちの家族は普通じゃない、でもいい家族とそう思えることもいいのかなと思います。

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