僕たちのカラフルな日常





内容紹介

大阪で法律事務所を営む「弁護士夫夫」(同性カップルの弁護士)の出会いから今日までの波瀾万丈な日々を綴ったエッセイ。

同性愛者ならではの苦悩や困難を乗り越え、常に前向きに社会と対峙する二人の姿をユーモアあふれる筆致で著者自身が書き上げました。

社会の差別や偏見に、時に怒り、時に涙しながら、それでも胸を張って歩き続けるふたりの姿を通して、今注目のLGBTへの理解と共感を深めることができる、現代人必読の一冊です。

感想

今回ご紹介する作品は弁護士夫夫の半生をつづったエッセイ『僕たちのカラフルな毎日~弁護士夫夫の波乱万丈奮闘記~』をご紹介します。
 
著者の南和行さん、吉田昌史さんは以前の作品『同性婚 私たち弁護士夫夫(ふうふ)です』で知っていたので、今回改めてお2人の出会いや結婚、家族のことについてまとめられているということで読ませていただきました。
 
帯には『同性愛者として社会のど真ん中を歩いて行こうと決めた「弁護士夫夫」のありのままの日々の記録』『LGBT!同性婚!偏見!差別!……いろんなことを、まるっと飲み込んで、365日、全力疾走!!』
 
同性カップルで夫夫ということが全面に押し出されており、もちろん書籍の内容は同性カップルならではなこともありますが、それ以上に書籍から伝わってくるのはどこか普遍的な夫夫の在り方だと感じました。
 
内容は2人の出会いに始まり、お互いの印象、付き合うに至るまで、結婚、就職、仕事、そして家族のことを、いろいろつづっています。
 
中には偏見、世間との軋轢、親へのカミングアウト、同性カップルが交際をし結婚をする意味など「ならでは」と呼べる内容も盛りだくさんですが、個人的に印象に残ったのは「普遍的な2人の在り方」です。

普遍的な2人の在り方

章「はじめに」では「僕らの何気ない日常をわざわざ本にする意味があるとすれば、それは「同性愛者だからって、なんてことはない日常ですよ」ということを人に伝えられることだろう。」と記し、
 
章「おわり」では「(中略)同性愛はおかしいことではないと多くの人が分かるようになった。だからこそ、ありきたりな「個人のストーリー」を話すことが大切になってくるんだと僕は思う。」と記しているように、
 
そのありきたり性を前面に押し出して、お2人のこれまでや日常はどこにでもありそうと思わせてくれる内容にとても心を惹かれました。
 
私自身、幼い頃は「同性愛者や性別移行者などはものすごく特別な存在」だと思い込んでいました、しかも悪い意味で。
 
でもいざ自分が同性愛者の人たちと話してみたり、自身が性別移行者であったりと、いろいろ踏まえて「ものすごく特別な存在だと思っていたけど、全然普通なのだな」と感じることが多くて、だからこそこの普通な感じを広く知ってもらわなきゃいけないのだなと感じました。
 
そういったうえでこの書籍はものすごく貢献していると感じました。
 
中には「普通な日常なんてツマラナイ」「もっとならではなエピソードが見たい」っていう人には少し物足りないかもしれないですが、私個人はこの「普通の日常」と「ならではのエピソード」のバランスはとてもいいと思います。
 
とくにそれぞれの章の「吉田くんの回想」はなんだかお2人の私生活を覗き見しているような感じがして、どことなく微笑ましく感じました。 

まとめ

そういった「普通の日常」や微笑ましさに加え、力強さも感じ、改めて日常のありがたさを、そしてそれを伝える大切さを思い出させたので、この本を読んで良かったです。
 
エッセイですが、親しみのある読みやすい文章なので、同性夫夫の日常ってどんなだろうと思ってる方は是非!