性別移行と同性婚
「トランスジェンダーや性別移行者には同性婚とかあんまり関係なくない?」コレ、結構言われますが、そんなことはありません。確かに同性婚の話は性的指向によるものが大きいので、性役割や性自認によるものが大きい性別移行者やトランスジェンダーには無縁かと思われがちですが。

まず第一にトランスジェンダーや性別移行者の中にも同性愛者やバイセクシュアルなど、同性との恋愛をする人もいるということ。それだけでも同性婚はトランスジェンダーなどには全く関係なくないということはないと言えるのですが、もう少し掘り下げてみます。

異性愛者のトランスジェンダーでも戸籍の性別を変えるにはそれなりの条件があります。特に「性別適合手術」の条件は、それ自体を望まない人もいるし、できない人もいる。他にも「現に未成年の子がいないこと」の条件により、戸籍の性別を変えられない人も多いのです。

そんなとき結婚を視野に入れている異性が現れても、実生活は異性同士であっても、戸籍上は同性なので現在の婚姻制度は使えないのが現状です。次に戸籍の性別を変える条件には「現に婚姻していないこと」という条件があり、これは現在法制化されていない同性婚対策によるもの。

婚姻している状態で戸籍の性別を変えてしまうと、同性婚になってしまうからね。この条件故に当人たちが望まない離婚をすることも多々あります。

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【特例法】現に婚姻していないこと【戸籍の性別変更】
【特例法の条件】現に未成年の子がいないこと【性同一性障害】

そして意識的な面ではありますが、性別移行者の中でも戸籍の性別変更ができる条件は全て揃えている。だけれど、自身が同性に恋愛感情を抱き、将来的に同性と結婚をしたいと思うようになる。そんなときに戸籍の性別を変えてしまっているとできなくなる……それなら、変えない方が良いのでは?でも戸籍の性別変更をしたい……といった板挟みも発生する。

こういったことから、トランスジェンダーや性別移行者も同性婚の話には全くの無関係とは言えないのです。逆にあくまでも現在の婚姻制度は、実生活で同性同士であっても戸籍上異性であれば良いので、性別移行者が戸籍の性別を変えずに同性夫婦として生活している人もいます。いずれにしても、個人的には性別移行者も深く関わってくることもある同性婚のお話なのです。

※4コマ内や文章中に出てくる『結婚』は基本的には『法律婚』のことです
※記事の内容は2019年現在のものです