
内容紹介
能町みね子、2×歳。都内の某会社でOLとして働き始めて3年、実はまだ「チン子」がついています。会社の人は誰もそのことを知りません……。
OLとして入社した職場では、「顔のわりに声低いよね」と最初に言われ、男性社員が重い荷物を持ってくれることに驚く。 女子の呪文をつかえるかに心を砕き、同僚女子と群れるか群れないか迷い、合コンで撃沈!? かわいい女の子に恋したこともある(! )オトコ時代について、恋愛のお話、ネクタイ着用の男性社員として就職した経験、誰にも秘密のドキドキOL生活など、大人気脱力系イラストエッセイ本『オカマだけどOLやってます。』シリーズを再構成し、一冊にまとめた完全版。
自らを「性同一障害」ではなく「オカマ」と呼ぶ著者の、とにかく面白く、ときに切ないエッセイです。
感想
能町みね子さんは“男性”であることを隠し“女性”としてOLをやっているというブログ本で性別移行や性別適合手術をするまでのエピソードや男性時代のお話などを面白可笑しく書いております。
私が読んでみても「あ~分かる分かる」と思う部分と「え~それはないよ~」と思う部分があるのですごく性の多様性を感じます。
私がこの書籍を手に取った時は、まだまだ男子だったので、フルタイムでの女性の生活の注意点などはとても参考になったかなぁと思います。
今回、OL生活についてまとめている「オカマだけどOLやってます」と性別適合手術についてまとめている「たのしいせいてんかんツアー/トロピカル性転換ツアー」についてザックリ触れたいと思います。
どちらも文庫版が出ているのでどちらも楽しめると思いますよ。
オカマだけどOLやってます
『オカマだけどOLやってます』は「OLライフ」「OLへの道-オトコ時代編-」「OLへの道-女性化編-」「OLライフふたたび」のチャプターに分かれています。
チャプターからも変わるように主にオカマ(元男)と言う視点でどうOL社会を生き抜いてる感がコミカルに描かれていてとても面白みがあります。
途中に『オカマ関係用語の基礎知識』もあって、「性同一性障害」や「フルタイム」などの専門用語を能町さんらしいお言葉でザックリ説明されているので、難しい言葉は苦手だー!って人はお勧めです。
その続編『オカマだけどOLやってます。~ナチュラル編~』
「おんな道の章」「くらし道の章」「おとめの章」「なかまの章」で構成されています。
前作が「OL」「過去」「性別移行」と主に「OLまでの道」や「OLの生活」的なことを書いているのに対して、こちらはやや実生活なども交えてます。
またこちらの書籍には【オカマ佳品レビュー】として『ぼくのバラ色の人生(映画)』『スカート(書籍)』の能町さんならではの感想も書かれているので、ぜひ参考にしてみるといいと思います。
最後は『タイの現地調達』で締めてるあたりが能町さんぽいですね。
たのしいせいてんかんツアー
いろんな意味で大イベントである「性転換(性別適合手術)」についての体験記といいますか、イントロダクションとして『手術しちまえば、こんないいことが。』『HOW TO 性転換』など、性別適合手術に関してユニークに書いているところからはじまり、「せいてんかんツアー」と言うからに相応しく『ツアー日記』として-1日目から22日目、その後や番外編など、日記調に描かれています。
能町さんはタイのプーケットで手術をしており、術法はおそらく反転法。一度に睾丸と凸の手術をするのではなく、睾丸まず取ってからの手術をしています。
私個人の読んだ感想……本のタイトル『たのしいせいてんかんツアー』なんですが……楽しいか?と思えるくらい個人的にはかなり壮絶。
いろんな性別適合手術体験記を読みましたが、今までで1番ハードなイメージです……いや時代的なことを考えなければカルーセル麻紀さんも壮絶か。
その他コラムとして『入院プロセス』『タイ病院事情もろもろ』なども書かれていますので、当事者でも参考になる部分は多いのではないでしょうか。
トロピカル性転換ツア- /文藝春秋/能町みね子
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まとめ
さて私は「オカマ」と呼ばれることが苦手ですが、書籍の中で能町さんは臆することなく使用しています。
それは能町さんが『オカマ=MtFの意味(かなりザックリしてる)』で使用してるからで、本編でも「ふつうは使わない」「言われるのは嫌い」と述べています。
それを読んで「こんなふうにザックリ考えられたら私も楽だろうなぁ」と自分の大雑把具合を棚に上げて思っちゃたりします。
もともとはブログからのブログ本ということもあってイラストもふんだんにあるので、読みやすいと思います。