
内容紹介
LGBTの子どもの悩みをキャッチできる先生になる、親になる。
「LGBT」ってホントにクラスに1人いるの?どの子がLGBTか見た目でわかるの?じぶんの態度が子どもを遠ざけているの?
LGBTの子がいる。どうしたらいいの?LGBTの子にどんなアドバイスを送ればいいの?一人ひとり性は違っていい。子どもの安心のために、親・先生が知っておきたい、実践したいこと。
感想
今回ご紹介する書籍はこちら「先生と親のためのLGBTガイド もしあなたがカミングアウトされたなら」という書籍です。
タイトルのとおり、学校の教員や親に向けたLGBTガイドブックという位置づけかと思いますが、内容は色濃く充実してます。
昨今、教育の現場でも「セクシュアリティやジェンダー」について知る、もしくは教育する機会も増えていると聞きますし、親御さんも子どもさんから説明を求められたときに「説明できない」はちょっとイヤだと思います。
そんなときに役に立つ一冊です。
基本的なことから
冒頭に“教員や親”などの大人向けと書きましたが、冒頭はセクシュアリティやジェンダーなどの解説から入っています。
解説といってもいきなり「LGBTとはなんぞや」から入るのではなく、「いまさら聞けない10のギモン」として解説をはじめ、世にある「異性愛規範とは」や「“自然”とは何か」といった“当たり前”から切り崩していく感じです。
どうしても大多数の大人は異性愛規範や男女二元論などが染みつきすぎて、そこでつまづく人も多いので、そういった部分からほぐしていくのは面白いなと感じました。
教師や親などの大人向け
大人向け…と言っても大人のLGBT当事者ではなく、不特定多数の子どもとふれあう機会のある教師や親などに向けた書籍で、ひょっとしたら教師はLGBTについて授業で触れるかもしれない、身近な子どもから相談されるかもしれない
そんな大人たちに向けた書籍ということがハッキリしていて、内容に「教師・大人ができること」として、「もし相談されたら?」「どう対応する?」といった奥まったところから「授業でできることはないか」「どこに注意すればいいか」といった分かりやすい部分も載っています。
個人的に「教師や大人は観察されている」の項目は、かなりうなずきました。なんとなく「この先生には絶対に言えないリスト」みたいなのを作ってるんですよねw
またLGBTの子どもたちを向き合う大人へのインタビューや、当事者の声として「LGBT当事者」だけでなく、その「家族」の“声”も掲載されているので、すみずみまで参考になるではと思います。
まとめ
やや厚めの書籍だけど、その分内容はかなり潤っていて、それなのにとても優しいつくりになっていると思います。
今までの書籍ではありそうでなかった、書籍冒頭の「LGBTフレンドリーチェック」とか、巻末の「研修や授業で使える資料」やLGBT当事者だけでなく家族向けのサークル紹介などもあるので、参考になる部分は多いと思います。
個人的には「性同一性障害(トランスジェンダー)」の記述が気になったけれど、ちゃんと別の項目でその違いについて説明しているので、まぁありなのかなと思います。
全体的に詳しくかつ分かりやすく解説されていたのも好印象で大人(教師、親など)以外の人でも性の多様性について知ろうとしている方には広くオススメできる一冊だと思います。