最初で最後のキス


あらすじ

イタリア北部の典型的な地方都市ウーディネ。個性的なロレンツォは、理解のある愛情深い里親に引き取られトリノからこの町へやってきた。

初登校の日、お気に入りの派手なシャツで到着すると、瞬く間に”オカマ”呼ばわりされ学校で早速浮いた存在となる。

そんなロレンツォが友情を育んでいったのは、ある噂から”尻軽女”と罵られている少女ブルーと、バスケは上手いが”トロい”と馬鹿にされているアントニオだった。

3人を通して、出会い、友情と恋、その絆や未来を無知ゆえに自ら破壊してしまう青春の脆さや残酷さを突きつける。

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映画『最初で最後のキス』より

感想

予告編を見る限りだと『彼の見つめる先に』のようなキラキラした青春物語かな?それとも『君の名前で僕を呼んで』みたいなほろ苦い感じの恋模様かな?なんて思ってたんですが、そんなことはなかった。

尻軽女とからかわれようともどこ吹く風なブルーとオカマとバカにされようとも気にせずやり返すロレンツォがトロイと言われ孤立しているアントニオの友情物語……

ブルーには年上の彼氏がいて、ロレンツォはアントニオに恋をしている。アントニオはブルーに恋心を抱いていて、ロレンツォに対しては友情以上の感情を抱けない。

そんなよくありがちのような三角形。いじめっこにやり返したり、ファッションショーをしたりと友情を育みながらも徐々にそれが綻びを見せ始め、最後は壊れてしまいます。

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映画『最初で最後のキス』より

手紙、妄想、兄の幻影

3人が3人それぞれに闇を抱えています、ブルーは尻軽女と言われるようになった件やいつまでも夢を追いかけてる母親に、ロレンツォは個性的であるが故に周りからはみ出し施設でも孤立していたこと、アントニオは死んだ兄への劣等感、その兄への執着心が強い両親、バスケ部からの孤立。

それが最後の悲劇的な事件に結びつきます。

個人的には死んだ兄の幻影に翻弄されるアントニオや未来のブルーからの手紙による独白も作品を彩る要素ですが、一番はロレンツォの自分はまばゆい人気者だという妄想かなと思ってます。

それがなんとも煌びやかで華やかで痛々しい感じがしています。

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映画『最初で最後のキス』より

ラリー・キング事件

こちらはイタリア映画ですが、アメリカで実際に起こった事件を基にしています。2008年にアメリカ・カリフォルニア州でおこった『ラリー・キング事件』です。

事件の概要をザックリ言うと、ゲイの少年ラリー・キングにブランドン・マキナニーが後頭部を背後から2発、銃で撃った。病院に運ばれたラリーは2日後に死亡、ラリーは15歳、ブランドンは14歳だった、という事件です。

彼は事件の数日前、加害者の少年に愛の告白をしていたそうです。


事件のきっかけがラリーがブランドンにバレンタインの予定を聞いたことや、事件がバレンタインの数日前であったこと、ラリーの死亡がバレンタインであったこと(正式には脳死判定は数日前)、ラリーの墓が面してる通りがバレンタインロードというもあって「バレンタインロード(Valentine Road)」という映画も作られました(日本では未公開)

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映画『最初で最後のキス』より

まとめ

16歳の女子♀1×男子♂2。3人の恋と友情をビタースイートに描く青春ストーリー!

なんて公式で言ってるけど宣伝詐欺か!ってくらいのバッドエンド。ビタースイートなんて可愛いものじゃない。

ただ映画全体はアニメーションを使ったり明るい音楽を使ったりと楽しい作りなってます、その分ラストの衝撃がすごいけど。

原作小説のタイトル/映画の原題は『UN BACIO』。直訳すると「キスを一つ」。そしてイタリア語の慣用句として「じゃあ、またね」という意味だそうです。なんだかロマンチックですけど映画の内容を知ってると切なくなりますね。

▼映画『最初で最後のキス』予告編▼

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