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あらすじ

1993年。交通事故で両親を亡くした高校生キャメロンは、保守的な叔母のもとで暮らしている。

プロムの夜、彼女は車の後部座席で同性の恋人と性行為をしているところを同級生に目撃され、同性愛者であることを周囲に知られてしまう。

激怒した叔母により、矯正治療施設「神の約束」に無理やり入所させられたキャメロンは、理不尽な治療に抵抗しながらも、同じく入所者のジェーンやアダムと絆を深めていく。

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映画『ミスエデュケーション』より

感想

マイノリティの少年少女たちが生き抜く困難と希望を映した作品で、主軸は主人公キャメロンが「自身のセクシュアリティを見つめなおす」って感じでしょうか。

厳格なキリスト教の教えに則った「同性愛矯正施設」の話ですが、同性愛矯正施設の実態を描いた実話【ある少年の告白】もありましたが、こちらの場合は主人公が最初から施設のやり方に反発していたのに対して、ミスエデュケーションは自身のセクシュアリティを見つめなおすと同時に「やっぱり私はレズビアンだ」と結論付ける感じです。

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映画『ミスエデュケーション』より


日頃日本でのんびりと暮らしていると、同性愛矯正施設はもちろん厳格なキリスト教の教えとかに全く触れないので、子どもたちの人権を奪う何かだとか思えないのですが、作品を観てみると必ずしもそういうわけではなく、施設の少年少女たちも聖書を心の拠り所にしている部分もあり、宗教がとても身近なんだなと感じます。

そんな少年少女たちにとって身近な何か(今回の場合はキリスト教)が自身を抑圧する存在だったら?それは命を奪うような危険な存在になりうるのだと感じました。

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映画『ミスエデュケーション』より


個人的には入所者たちを指導する牧師リックがなかなかいい味で、リックもかつてはゲイでしたが、施設代表である姉リディアの治療の結果、異性愛者に転じたということでした。

ある事件が起こった後個別の聞き取りでキャメロンはリックに「この場所はおかしい、存在する意味はあるのか」と言うのですが、リックは何も答えられず涙を流します。リックも何か思うところがあったのかなと考えさせられるシーンでした。

翌朝ハイキングと偽り施設を抜け出そうとするキャメロンたちにも(おそらく嘘だと見抜いてる)リックは他愛もない会話をして送り出すところはなんだか切なくなりました。

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映画『ミスエデュケーション』より

物語はあくまでも「キャメロンが自分自身を見つめなおして、やっぱり私はレズビアンだ」と位置付けるまでのお話なので、これからどんな苦難が待ち受けてるかは分かりませんが、少なくても堂々と自分自身を認めることができることが嬉しいと思えるラストでした。

映画『ミスエデュケーション』予告

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