ウォールフラワー


あらすじ

作家志望の少年チャーリーは、幼少期から精神的な問題を抱えている。チャーリーの親友は昨年自殺した。チャーリーは亡き親友に『トモダチ』と名付け、彼に宛先のない手紙を書くことで自分の気持ちを表現していた。

チャーリーは、新しく始まった高校生活に馴染めないでいる。ある日、チャーリーは同じ授業に出席しているパトリックと出会う。破天荒で陽気なパトリックに、チャーリーは興味を持つ。

チャーリーは思い切って声をかけパトリックと義妹サムと仲良くなり、そして美しいサムに釘付けになる。

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映画『ウォールフラワー』より

感想

アメリカの作家スティーブン・チョボスキーによるジュブナイル小説『ウォールフラワー(原題:The Perks of Being a Wallflower)』の映像化作品。

スクールカースト下層の少年が居場所を見つけ、それをかけがえのない大切なものだと気づくお話です。原作がジュブナイルと言われるだけあって、若者の甘いも苦いも痛いも詰め込んだ作品で、若者にとってどれだけ居場所というものが大事なのかが伝わります。

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映画『ウォールフラワー』より

アメリカのスクールカースト

“Wallflower”とは「ダンスパーティーで踊りに参加できず傍観者になっているはみ出し者」のことを意味するように、アメリカの高校のスクールカーストにおいて一番ツライのはぼっちなのだとか。

カースト下位のナードはナードでグループを組んでつるみ居場所を作るのがアメリカのスクールカーストのようで、どこにも属さないひとりぼっちがとにかくツライし、高校生活を安定して送るならぼっちは避けたいと必死になるようです。

ちなみに主人公チャーリーはぼっちで後の友人になる兄妹パトリックとサムはゴスと呼ばれるスクールカースト下層のグループなのだそう……あんなにリア充してても下層なのかとちょっと驚き。

またパトリックの彼氏はスクールカースト上位であるため、スクールカーストのロミオとジュリエット状態にもなるのだとか……スクールカーストって複雑ですね。また同性愛者もスクールカースト下位に属するのだとか…性的指向で下位になるなんて…。

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映画『ウォールフラワー』より

原作小説

原作小説は1999年に発売された後、アメリカの高校生の間で徐々に評判が広がり、2000年代には爆発的な人気を誇るようになりました。原作ファンのひとりにサム役のハリーポッターシリーズでおなじみのエマ・ワトソンもおり、スクールカーストの中で悩み、苦しみながらも、かけがえのない高校生活を送る登場人物たちの等身大の姿に共感を覚えたのでしょう。

ジュブナイル小説の代表格・サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」の再来とも言われており、自殺、同性愛、セックスがでてくるにもかかわらず国語の教科書に採用されたり、逆に禁書として読むのを禁じる高校も出てくるなど、大きな反響を呼んだそうです。

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映画『ウォールフラワー』より

また映画ではなくなくカットされたチャーリーの家族のエピソードや国語教師とのエピソード、自殺した友人マイケルのエピソードなども書かれています。映画はどうしてもパトリックとサムのエピソードメインでしたので…。

まとめ

ウォールフラワーには「お!」と思うシーンがたくさん散りばめられています。個人的には「何故 やさしい人たちは間違った相手とデートをするのか?」「自分に見合うと思っているからだよ」のやりとりは何気ないけど好きで、物語全体に言えることなのかなと思います。

父親との何気ないやりとりだったり、失恋したパトリックのシーンだったり、すべてが眩しすぎて目が痛くなるくらいキラキラした青春って感じでした…ラストはチャーリーのトラウマに関わることですが、パトリックとサムから得た居場所は壁の花の特権だったのかもしれないですね。

▼映画『ウォールフラワー』予告編▼

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