
あらすじ
コンドーム会社に勤める、いたってまじめなだけが取り柄の冴えない中年男性ピニョン氏。
妻子にも見捨てられた彼に追い討ちをかけるように、ある日、20年勤めた会社からクビになることを聞かされる。
思いあまって自宅から身投げをしようとしたところを隣の部屋の老人に助けられる。事情を聞いた老人は、クビにならない方法をピニョン氏に伝授する。翌日、会社宛に男と情熱的に抱き合うピニョン氏の写真が送られてくる。
これを見た経営陣はゲイ差別との糾弾を怖れてピニョン氏の解雇を撤回する。
ピニョン氏の思惑は見事に成功したわけだが、当然周囲の見る目はすっかり変わり…。
妻子にも見捨てられた彼に追い討ちをかけるように、ある日、20年勤めた会社からクビになることを聞かされる。
思いあまって自宅から身投げをしようとしたところを隣の部屋の老人に助けられる。事情を聞いた老人は、クビにならない方法をピニョン氏に伝授する。翌日、会社宛に男と情熱的に抱き合うピニョン氏の写真が送られてくる。
これを見た経営陣はゲイ差別との糾弾を怖れてピニョン氏の解雇を撤回する。
ピニョン氏の思惑は見事に成功したわけだが、当然周囲の見る目はすっかり変わり…。
映画『メルシィ!人生』より
感想
『メルシィ!人生』は2001年のフランスのコメディ映画。
同性愛への差別意識を逆手にとったフランス映画。まずゲイのふりをすることでゲイを理由に解雇は差別的だLGBTQ団体からクレームが来るから解雇取り消しになるという発想が面白いですよね。
そして彼がゲイのふりをすることで、周りが変化をしていきます。ある人は「前からそう思ってた」と言い、ある人は差別は良くないから仲良くしなきゃと言い、ある人はゲイがふりであること見抜き……そういった発展がとにかく面白いです。
そしてただただ冴えない面白みもない男ピニョンがゲイのふりをすることで自信をつけていく様も見所です。

映画『メルシィ!人生』より
一気に変わる他者からの目
ゲイだと噂されることでクビを免れたピニョンですが、周りの目は彼をゲイだと思ってみるわけです。中にはゲイフォビアな人もいましたが、その人も周りに言われて「差別は良くない」とピニョンと仲良くなろうと模索します。
個人的に部下の女性が「前からそう思ってたの、歩き方とかゲイっぽい」と言い出したのが面白かったです。ピニョンは確かにゲイのふりをしましたが、生活態度や行動は依然と全く変わっておらず、周りが「あいつはゲイだ」と思いこんでるんですね。
他にも研修先に行くだけなのに「研修で若い男を食べる気よ」とか息子に会いに高校まで行っただけなのに「若い子を物色してた、気持ち悪い」と思われたり、彼は行動ひとつひとつがゲイ由来に感じるようです。
そういった性的指向が分かるだけで見る目が変わるというのはなかなか描けない視点で、個人的にも新しい発見がありました。ピニョンはストレートなので、そこらへんもユーモラスに感じますが、実際問題は結構な差別意識なんですよね。
実はおじさんの成長物語
あくまでもクビを免れるために、ゲイのふりをしただけなので、ピニョンは何も変わってません。むしろゲイであることで、親しくない人にしつこく声をかけられたり、後輩女性からはあらぬ疑いをかけられたり、真実を確かめようとした女性上司には脱がされかけたり、挙句の果てに暴漢に襲われる始末。そんなこともあってゲイのふりをすることに嫌気がさしていたのですが、ゲイパレードに参加したのをきっかけにピニョンにも変化が起きます。
個人的には女性上司がクビにされそうになったときに社長の元へ真っ先に飛んで行って、彼女が如何に優秀であるかを説き、彼女のクビの撤回を求めたことは彼なりのすごい変化だったと思います。素直にカッコイイと思えました。
そして離婚した妻への執着もキッパリと決別し、自分の気持ちをちゃんと伝えられる……まさに冴えないおじさんのサクセスストーリーでした。

映画『メルシィ!人生』より
まとめ
本作は日本では『メルシィ!僕ぅ?』のタイトルで明石家さんまさん温水洋一さんを迎え、舞台化をしています。解雇を免れるためにゲイだと嘘をつくなんて、そんなサクセスストーリーがあっていいのかなんて思いましたが、いざ見てみると、コメディ調の中にも結構考えさせられるシーンが多く、特に他者の目というのはこんなにもあっさり変わるものなんだよなと認識しました。
ただそんな重い話ではなく、全体的にはコメディタッチなので、笑いながら見れる楽しい作品です!
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