スメルズライクグリーンスピリット


あらすじ

ド田舎に住む学生、三島(みしま)はクラスメイトの男子からイジメを受けていた。

理由は三島が“ホモっぽい"から。

実際に男性が好きな三島は抵抗するすべもなく、隠れてする女装だけが心の拠り所となっていた。

ある日、三島がいつもの様に屋上で1人の時間を満喫していると、自分が以前なくてしまった筈の口紅を持ったイジメグループのリーダー・桐野(きりの)を目撃してしまう。

彼はこっそりと三島の使った口紅を自らの唇に塗ろうとしていたのだった……。

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漫画『スメルズライクグリーンスピリット』より

感想

噂なんて一気に広まってしまう田舎町を舞台にしたBL作品。同性愛者としての苦悩、親など周囲の環境の中で選択する自分の生き方を描いています。

ホモっぽいを理由にいじめを受け実際にゲイである三島、三島をいじめるリーダー格であるものの自身も同性愛指向を持ち言動も女性的な桐野、桐野に言われ三島をいじめつつも三島が恋愛的に気になる夢野、この3人の物語です。

紆余曲折を経て3人はいじめ関係はなくなるものの、噂は広まりやすい田舎町で今度は三島は桐野と夢野と恋仲で2人は三島を取り合っているという噂が立つ。その時の3人の親の反応はまた三者三葉で、それでいてリアルでした。

ラストは見る人が見たらハッピーエンドではないのかもしれないが、3人がそれぞれの自分の生き方を見つけて得た幸せなのだと思っています。

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漫画『スメルズライクグリーンスピリット』より

作中の性的マイノリティ表現

個人的には性的マイノリティ表現が面白いなと感じました。

作中ではホモっぽいを理由にいじめられる三島ですが、彼は夜な夜な母の口紅でメイクをしたり、可愛いと言われることで喜んだりと女性的に見られることを喜んでいるようですが、女性になりたいわけではなく、言動も男性的なまま。本人はまだどうしていいか分からないと迷っている感じでした。

反面、同性が好きであることを自覚し、普段は隠しているものの言動も行動も女性的な桐野。華奢で見た目が女性的な三島を羨ましがり、明確に女性になりたいという意思を持っている感じでした。

夢野はいじめをメインで行っていましたが、三島が恋愛的に気になる。でもその感情も実は本人ですらよく分かっていない感じでそのもやもやを三島にぶつけているようです。

そういった、思春期ならでは心の揺れ動きをごまかすことなく描いていることに感心しました。

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漫画『スメルズライクグリーンスピリット』より

柳田サイドストーリー


【あらすじ】
教え子が同性愛者であることを知り、身体を求めてしまった教師。彼は全てから逃げ出し放浪者となった。

人を放棄したくて、モッさんと呼ばれていた。同性が恋愛対象であることに苦悩してきた柳田。教師だった頃に生徒相手にレイプ未遂事件を起こす。彼はその場から逃げて、逃げて、いつの間にかモッさんになっていた。

それは自分の過去も名前も捨てたのに、生き続けるしかない悲しい妖怪。何もかもを失ったかのように思えたが一人の少年が手を差し伸べる。

痛くて愛おしい青春を描いた『スメルズ ライク グリーン スピリット』から7年。あの時、こぼれ落ちてしまったキャラクターの物語。

まとめ

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漫画『スメルズライクグリーンスピリット』より

本作は「BLっぽくない」「BLのジャンルに入れいていいか迷う」と言われる所以はなんだろうと考えたのですが、一番はリアリティかなと思います。男の子の恋物語というよりは男の子たちの青春成長物語の側面が強く、それでいて同性を好きになること茶化すことなく、真正面から向き合っているからかBLっぽくないのかなと思います。

「スメルズライクグリーンスピリット」というタイトルは、1990年代のアメリカにおけるグランジを牽引した、超殿堂入りバンドNirvanaの名曲「Smells Like Teen Spirit」から引用されてるのかなって思います。その「teen」の部分が「green」になっているので、ティーンよりも青く未熟な男の子たち(実際登場人物は中学生)の物語なのかな?って思います。

男の子たちの恋物語というよりは三島と桐野の奇跡のような友情物語は中学生ならではで、ひと夏の輝きだったのかもしれません。

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