思春期ビターチェンジ


あらすじ

小学4年生の木村佑太は、ある日、公園の木から落ちて同級生の大塚結依と激突してしまう。

何とかケガもなく済んだ二人であったが、その拍子にふたりの意識が入れ替わってしまった。

困惑する二人だったが、数日経っても互いが元に戻る様子はなく、やがて「いつ元に戻っても良いように、互いの状況を報告し合いながら」それからの日々を生きてゆくことを決意する。

しかしこれが二人の、足掛け十年以上に及ぶ長い年月の始まりであった。

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漫画『思春期ビターチェンジ』より

おすすめポイント

活発な男の子とおとなしい女の子の意識が、ふとした出来事で入れ替わってしまうという、よくあるトランスセクシュアルファンタジー作品ですが、大体は一時期の入れ替わりなのに対して、この作品は2人が中学生、高校生と成長を重ねても、入れ替わったままになってしまうという点が特徴的です。

入れ替わり系トランスセクシュアルファンタジーにありがちな、トイレ問題、下着問題、初潮のような性徴的問題は軽く触れる程度で、メインは2人の人間関係の性差にあり、それを経て2人が紆余曲折するお話になります。

そういった2人の不器用なところや周りの人間関係、友人の和馬との関係などにやきもきしながら、時にはケンカして時には笑いあって、いろいろ自覚していくのを楽しめると思います。

漫画の形式は珍しい縦読みに特化した5コマ漫画で、とても新鮮でした。

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漫画『思春期ビターチェンジ』より

開いていく性差

小学4年生の頃に入れ替わったユウタとユイ、小学4年の頃はそこまで性差のなかった体つきですが、中学高校と成長していくにつれて、性差が開いていって悩んでいくのもこのTS設定の特徴です。

とくに顕著なのはお互いの人間関係で、結衣(ユウタ)は女友だちができるものの、女子特有の会話についていけず、表面的な付き合いしかできず、反面男子生徒とは懐に入れる人間関係構築するも恋愛対象としての異性として見られることを理解していなかったりと苦戦したりするさまはとてもリアルです。

また性自認とは違うジェンダーを押し付けれることに苦悩するシーンも多く、女らしくしたいのにできない、男らしくしたいのできないということが多いです。

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漫画『思春期ビターチェンジ』より

長い長い恋物語

思春期ということで、人間関係はもとより恋愛関係も深く絡んできます。ユウタは中身が結衣ということで所作や人当たりが柔らかくなり、成長するにつれて女子生徒からの人気が高まります。またユイも中身が佑太ということで、懐に入ってくる人当たりの良さや、威圧的な男子にも物応じない性格で、男子生徒から好意を持たれたりします。

特に小学4年の頃から事情を知っている、佑太の親友・数馬との恋愛模様は物語を大きく発展させます。「この作品は長い長い恋物語」と称されるように、TS設定は当然としてそういった恋模様の行く末もこの作品の見どころです。

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漫画『思春期ビターチェンジ』より

まとめ

この他にもそれぞれの家庭問題だったり、サブキャラクターの人間模様もあり、主人公の2人意外にも魅力的なキャラがたくさんできてきます。

男女入れ替わり系と言えば『おれがあいつで あいつがおれで』や『君の名は』のヒットも記憶に新しいですが、こちらは「入れ替わり長期戦」と称されるくらい長い期間入れ替わりぱなしです。

故にもしずっと入れ替わったままだったらという不安、失われる自分の青春時代、それぞれが直面した友達との友情やお互いの恋愛での葛藤など様々なことに悩みぬいた主人公たちがのゴールを迎える瞬間は、本当に素晴らしいです。

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