ゴッドandモンスター


あらすじ

ハリウッド黄金期、映画「フランケンシュタイン」によって頂点を極めながらも謎の引退を遂げた伝説の監督ジェームズ・ホエール。

彼は日ごとに悪化する精神錯乱に怯え、正気を失う前に自分を抹殺してくれる人間を探していた。そんな折、元海兵隊の流れ者クレイトン・ブーンが庭師として雇われる。

彼こそが自分の苦悩に終止符を打つ“怪物”だと直感したホエールは、奇妙な友情と死への期待感をもってブーンを挑発していく…。

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映画『ゴッドandモンスター』より

おすすめポイント

『ゴッド・アンド・モンスター(Gods and Monsters )』は映画『フランケンシュタイン』『透明人間』『フランケンシュタインの恋人』などで知られる映画監督ジェームズ・ホエールの晩年を描いている伝記映画です。

とは言っても完全にノンフィクションというわけではなく、実在の映画監督ジェームズ・ホエールさんをモデルにしたクリストファー・ブラムの小説『Father of Frankenstein』を原作にした作品なので、虚実織り交ぜといった感じかと思います。

死に怯え、死に憧れる老人の内面を描いて、ジェームズさんにとっての「怪物」とは何かを実に多面的に捉えていて面白い作品です。またホエール監督作品『フランケンシュタイン』をモチーフにした場面が随所に散りばめられていて、フランケンシュタインを知っているとより楽しめる作品かもしれません。

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映画『ゴッドandモンスター』より

作中の同性愛表現

本作では映画監督のジェームズ・ホエールが同性愛で時には行き過ぎな性的ハラスメントを男性相手する困ったおじいちゃんです。ホエール役を演じたイアン・マッケランさんもゲイであることを公表しており、その優雅で妖しい雰囲気と老人特有の気難しさのあるホエール役を見事に演じ切っています。

1950年代当時、ハリウッド映画の中に隠された同性愛に触れているドキュメンタリー作品『 セルロイド・クローゼット (1995)』にあるように、当時から映画業界での同性愛者の多さ、それを微妙に隠した作品も多かったということはあっても、完全にプラスに考えるところは難しくホエール監督自身も「自分の性的指向が罪深いもの」だと思っている感じでした。

お手伝いさんの同性愛に対する差別的な発言は宗教観から来るものなので、また違うかなと思いますが、ブーンはホエール監督に同性愛者と分かるや否や警戒し、彼の性的な発言に嫌悪感を露にしました。

しかし2人とも同性愛者であることを抜きしてもあんな気難しいおじいちゃんのホエール監督に、一定の経緯があるようで、ブーンもラストは明確に「友達」と言っています。

▼映画『ゴッドandモンスター』トレーラー▼


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