マティアスマキシム


あらすじ

30歳のマティアスとマキシムは幼馴染。その日も一緒に仲間のパーティへ向かうが、そこで彼らを待ち受けていたのは友達の妹からの、あるお願い。
 
彼女の撮る短編映画で男性同士のキスシーンを演じることになった二人だが、その偶然のキスをきっかけに秘めていた互いへの気持ちに気付き始める。美しい婚約者のいるマティアスは、思いもよらぬ相手へ芽生えた感情と衝動に戸惑いを隠せない。
 
一方、マキシムはこれまでの友情が壊れてしまうことを恐れ、想いを告げずにオーストラリアへと旅立つ準備をしていた。迫る別れの日を目前に、二人は抑えることのできない本当の想いを確かめようとするのだがー。
 
マティアスマキシム03
映画『マティアス&マキシム』より

感想

2019年のカナダのドラマ映画。監督は「マイ・マザー」「わたしはロランス」「Mommy マミー」「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」などの代表作を持つグザヴィエ・ドラン。主演はガブリエル・ダルメイダ・フレイタスとドランが務めました。カナダ映画だけどフランス語がメインで英語が入り混じってるのも特徴的で面白いです。
 
キスシーンをきっかけに幼馴染のマティアスとマキシムは自分の気持ちに気づき、悩み離れ衝突しながらも自分の中の答えを探るラブロマンスです。
 
本作のドラン監督はセリフではなく、カメラワークや役者の無言の演技で、キャラクターの心情を表現するのに長けていて、セリフを追うだけでは伝わらないものがたくさんあって、その分、キャラクターが今どういう気持ちか、分かりそうで分からない、答え合わせをしないもどかしさがとても良いです。
 
マティアスマキシム02
映画『マティアス&マキシム』より

2人のラブロマンス

ラブロマンスがメインであるのですが、マティアスはとても仲のいい婚約者がおり、マキシムは実母との確執があり、2人だけの世界に浸ることなくそこらへんもしっかり描かています。
 
なによりも2人の友人たちがかなりいい味出してます。マティアスが不貞腐れて友人たちと本気のぶつかり合いをして、さらにマキシムまでに当たり散らしたときなんかは、仲直りまでの流れが仲のいい友人ならではでいい関係なのだと表現され、そしてマティアスに「お前邪魔だからあっち行け」とさりげなくマキシムのほうへ誘導していて、ほっこりました。
 
そしてラストにかけてのマティアスの気持ちをマキシムが段々と理解していく様はグッとくるものがあります。意外にも答えはとっくに出ていたけれど、いろいろ柵もあるからなかなか答えに辿り着けなかったと思うと、すごい表現だったなと思います。

マティアスマキシム01
映画『マティアス&マキシム』より

印象的な赤と青

パッケージでもハッキリと対比させている青と赤。色の意味を当てはめるのなら「赤」は「愛」「情熱」「エネルギー」で「青」は「希望」「優秀」「陰気」といった感じかな。国や地域で色の意味って変わってくるので、舞台であるフランスからの移民だけで形成されたカナダのケベック州では変わってくるかもしれないけれど。
 
基本的な衣装はマティアスが青の衣装、マキシムが赤の衣装を着てることが多いですが、きっかけになったキスのシーンはめちゃくちゃ映える色で、マティアスが赤、マキシムが青と、いつもと逆転しているのも面白いです。
 
中盤のお互いの気持ちを確かめるようなキスの時もきっかけのキスと同じ配色だけれど、かなりくすんでいます。
 
他にも赤のTシャツに青のパーカー羽織ったり、血や痣の赤だったり、背景にも意図的に赤と青が組み込まれていてキャラクターの心情を物語っています。そういった赤と青に注目してみるのも楽しいです。
 
マティアスマキシム04
映画『マティアス&マキシム』より

まとめ

爽やかで濃厚なラブロマンスで、ラストは視聴者の解釈によって判断が分かれるところかと思いますが、私はハッピーエンドなんじゃないかな?って思っています。
 
またこの作品は、日本のプロモーションとして少女漫画「溺れるナイフ」とコラボしたことでも話題になりました。「マティアス&マキシム」の男性同士のポスターを男女に置き換えてしまったことでヘテロウォッシュではないかとかなり議論されました。なお意見を踏まえてコラボポスターは撤回されています。
 
監督のドランがインタビューで「この映画のテーマは決して同性愛ではない。テーマは愛」「普遍的なロマンス」と発言しているのを「異性愛も同性愛も変わらない愛だ」とちょっと危うい拡大解釈をしてしまったのが原因かなと。
 
そういったちょっと躓きもありましたが、とっても素敵なラブロマンスなのでぜひ!
 
映画『マティアス&マキシム』より

 

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