花蓮の夏


あらすじ

台湾東部の花蓮県で生まれ育ったジェンシンとショウヘン。ショウヘンは問題児でクラスの嫌われ者だったため、小学校の担任の先生はジェンシンにショウヘンと友達になって面倒を見るよう頼む。最初は義務感から友達になったジェンシンだったが、すぐに二人は親友になる。
 
成長するにつれ、ジェンシンはショウヘンに恋心を抱くようになるが、想いを伝えることのできないままでいた。ある日、二人の通っている高校にホイジャという女の子が香港から転校して来る。ホイジャとジェンシンは親しくなるが、ジェンシンはホイジャを恋人として見ることができない。
 
そんなジェンシンの気持ちをホイジャは見抜いてしまう。一方、ショウヘンは次第にホイジャに惹かれるようになるが、ジェンシンとの友情も壊したくない。しかしジェンシンはショウヘンからもホイジャからも距離を置くようになってしまう。大学に進学し、台北で暮らすようになった三人は、友情と恋心の狭間で揺れ動く。

花蓮の夏03
映画『花蓮の夏』より

おすすめポイント

『花蓮の夏(原題:盛夏光年、英題:Eternal Summer)』は、2006年公開の台湾映画で友情と恋慕の間で揺れ動く青年たちのラブロマンスです。

セリフではなく、視線やキャラの表情でその心情を悟らせる映画で、漠然と「あぁこの時点で気づいてたんだな」とか「そうは言ってるけど本心は…」なんて場面がいくつもあり、それが作品全体に独特の雰囲気をまとわせる感じが良いです。

一番分かりやすいのはジェンシン。ショウヘンに淡い恋心を抱きつつも、ホイジャと付き合い、それが余計にショウヘンへの想いを加速させた…と。ショウヘンとは仲良くしたいけど、この想いを断ち切りたいし、ショウヘンとホイジャが仲良くしてるのを見るは辛い…そんな感情です。

恋愛系作品にはよくある心情なのでかなり伝わりやすいですね。

花蓮の夏02
映画『花蓮の夏』より

ショウヘンの気持ち

反面、分かりにくいのはショウヘン。物語の終盤でショウヘンの気持ちが語られるので、それを踏まえて見返すと「なるほどな」と思える部分がたくさんありますが、初見では、本当にショウヘンの気持ちは分かりにくい。

ショウヘンはおそらくジェンシンとホイジャが別れた時点で、ジェンシンの自分への想いに気づいてる。が、ホイジャと付き合いつつもジェンシンとは仲良くしたい思いで遊びに何度も誘う…それがジェンシンにとっては辛いことだと、多分気づいてない…っぽい。

おまけに何度もジェンシンに「親友だ」と、暗にお前とは恋愛に発展することはないと言いながらも、身体の関係を持ってしまう。これはもう初めて見たときはショウヘンが何を考えているのか分からなかったです。

しかし、ショウヘンの吐露した気持ちでそういったジェンシンの傷を抉るような言動の数々は理解はしました……納得はしないけど。

花蓮の夏01
映画『花蓮の夏』より

まとめ

台湾ではノベライズもされていますが、映画とはかなり展開が違うそうでそちらも気になります。

ショウヘンの言動は私なりの解釈ですが、たぶん観る人観る人によって解釈は違ってくると思います。それくらい、言葉ではなく、視線や表情で視聴者に伝える作品だと思います。

「夏」と言えば暑い中にも爽やかな青春を感じる作品が多いですが、今作は、どこまで行っても暑い夏、暑苦しい夏という感じで、それもまた作品の魅力かなと思います。

▼『盛夏光年(花蓮の夏)』予告編▼



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