サタデーナイトチャーチ


あらすじ

ニューヨークのブロンクスに暮らす青年・ユリシーズは父親の死をきっかけに「美しくなりたい」という思いを抑えられずにいた。

ある夜、ストリートで出会ったトランスジェンダーのグループに「土曜の夜の教会(サタデーナイト・チャーチ)」へと誘われる。

そこは静かで厳格な昼間の教会とは異なり、ダンスや音楽を楽しみながら、同じ境遇の仲間と語らう場として開放されていた。

学校でも家庭でも孤立していたユリシーズは、その自由な雰囲気に夢中になりながら、少しずつ自分を解放してゆく。

ところが、家族にハイヒールを見つけられ、自分の存在そのものを否定されてしまう。家を追い出され街を彷徨うユリシーズに、人生を変える数々の出来事が待ち受けていた―。

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映画『サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所』より

感想

『サタデーナイト・チャーチ -夢を歌う場所(原題:Saturday Church)』は、2017年アメリカ合衆国製作のミュージカル映画。監督・脚本・製作は、デーモン・カーダシスで「LGBTの若者たちの実話をミュージカルタッチで描く、驚きと感動の物語」としています。

物語はひとりの青年が自分のセクシュアリティを自認しながらも、家族にはそれを否定されているため、前に進めないでいたが、トランスジェンダーやゲイの人たちと出会い、前に進もうとするお話です。

比較的短めの映画ですが、余計なことがないくらい綺麗にまとまっていて、さらに演者や音楽、映像が物語を色鮮やかに彩っていて、観ていて勇気をもらえる作品です。

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映画『サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所』より

LGBTQ支援プログラム


本作が初監督・初脚本となるデイモン・カーダシス。彼がボランティアを務めていた教会での実体験をもとに、LGBTQの人々が直面する厳しい現実や社会問題に焦点をあてて本作は作られたようです。

実在するLGBTQの人々のための支援プログラム「サタデー・チャーチ(土曜の教会)」を舞台にされていますが、どうしてもキリスト教とLGBTQは相性が悪いイメージがあったので、そういった支援プログラムがあることにまず驚きました。

監督のインタビューによると「虐待を受けたこと、ストリートで暮らさざるを得なかったことなど、本作で主人公が経験するエピソードは全部事実に基づいています。サタデー・チャーチのプログラムを受けていた実際の若者たちにも出演してもらっています。彼らの声に耳を傾け、彼らのコミュニティと対話しながら、出来る限り忠実に反映しています。孤独や初恋などの感情は誰もが経験するものであって、国籍や、肌の色、セクシュアリティの違いに関係なく共感できるものです。結果的に誰もが共感できる普遍的な映画になったと思っています。」とあり、かなり誠実に作られているのが分かりますね。

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映画『サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所』より

トランスジェンダー俳優

また主人公のユリシーズに救いの手を差し伸べるトランスジェンダーたちはトランスジェンダー俳優を起用しており、ユリシーズを姉のように思いやるエボニーをMJ・ロドリゲス、チャーミングだなディジョンをインディア・ムーアが演じているのも注目です。

MJ・ロドリゲスは1980~90年代のニューヨークを舞台に「ボール・カルチャー」を通してアフリカ系やラテン系を中心としたLGBTQコミュニティを描いたドラマ『POSE』で主演を務めており、テレビ界最高の栄誉とされる「第73回エミー賞」にノミネートされ、ロドリゲスは70年以上続くエミー賞の主演俳優部門にノミネートされた初めてのトランスジェンダーの俳優となりました。

インディア・ムーアもドラマ「POSE/ポーズ」などにも出演しており、2019年には『TIME』誌の「世界で最も影響力のある100人」にも選出されており、また、インディアはノンバイナリーのため、自身のジェンダーを表す代名詞を「she」や「he」ではなく、「they」か「them」を使用することを希望しているとのことです。

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映画『サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所』より

映画予告編

▼映画『サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所』予告編▼


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