アナザーカントリー


あらすじ

ガイ・ベネットはパブリック・スクールの代表を狙い、将来はフランス大使を目指している野心家。その一方で、彼は同性愛者で別の寮にいるハーコートに恋している。そんな彼を親友で共産主義のジャドは静かに見守っている。
 
ある日、学生2人の性的行為の現場が教師に目撃されてしまい、学内は規律を厳しくする方向に傾いていく。
 
やがて目立つガイを快く思わない者が同性愛を理由に彼への批判を高めていく…。
 
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映画『アナザー・カントリー』より

おすすめポイント

『アナザー・カントリー(原題:Another Country)』は1984年のイギリスの映画。1981年初演のジュリアン・ミッチェルの舞台劇を原作とし、主人公ガイ・ベネットは、実在のスパイ「ケンブリッジ・ファイヴ」のメンバーの1人だったガイ・バージェスをモデルにしています。
 
1930年代のイングランドの全寮制のパブリックスクールを舞台に、同性愛や共産主義に傾倒していくエリート学生たちを描いています。
 
作品は往年のガイ・ベネットへのインタビューから始まり、彼はスパイ事件の真相を話せない代わりに、祖国を裏切るきっかけとなった学生時代を語り始めるところからこの物語は始まります。
 
今作でガイ・ベネット役を演じたルパート・エヴェレットは舞台版『アナザー・カントリー』でも出演し、映画版では主役に起用さています。ちなみに舞台版は映画版で親友ジャド役コリン・ファースが演じています。その後ルパート・エヴェレットはゲイであることをカミングアウトするものの一時仕事を失ってしまいました。彼は『2番目に幸せなこと』でもゲイ役を演じています。
 
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映画『アナザー・カントリー』より

パブリックスクールと同性愛

ストーリー自体はイギリスを裏切り、スパイ活動をしていたという割には非常にシンプルで、政治家顔負けの権力争いとガイの恋模様の行く末といった感じです。上下関係の厳しいスクールの環境や美しい建物内部など古い時代の豪華な雰囲気がとても強く印象に残ります。
 
当時のイングランドやパブリックスクールがどう同性愛と向き合っていたかは不明ですが、作中の描写を見るに、禁止ではあるけど当たり前のような雰囲気。女性っ気のない全寮制なので性欲のはけ口として黙認されてるといった感じでしょうか…ただここでの同性愛行為は一過性のもので卒業すれば女性と恋をし過程を持つのがセオリーなようです。
 
そんな中でも主人公ガイは別の寮のハーコートに本気で恋をしてしまい。それまで奔放に身体を繋げてたガイが「初恋だ」と言ってしまうほど。特にラストのガイの叫びは心に響くものがあります。
 
「一生、女は愛さない」というキャッチコピーにもなったセリフが印象的ですが、個人的には「(同性が好きであることを)認めてしまえばいい、認めれば気が楽になる」というアイデンティティの根幹とも言える発言や親友ジャドが同性愛に否定的なことを言ったことに対して「平等や友愛を説く君も恋愛の問題となると人間を差別してしまうんだ」と言い放ちます。それがとても印象に残りました。
 
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映画『アナザー・カントリー』より

予告編

▼映画『アナザー・カントリー』『眺めのいい部屋』予告編▼

※前半が映画『アナザー・カントリー』も予告編です
 
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