
あらすじ
「花は私が買って来るわ、とダロウェイ夫人が言った(“Mrs. Dalloway said she would buy the flowers herself.”)」
この書き出しから始まる小説『ダロウェイ夫人』を1925年に書いた女性作家ヴァージニア・ウルフは、1941年に夫レナードへ感謝と「私たち二人ほど幸せな二人はいない」と云う言葉を残して、川へ入水自殺する。
この書き出しから始まる小説『ダロウェイ夫人』を1925年に書いた女性作家ヴァージニア・ウルフは、1941年に夫レナードへ感謝と「私たち二人ほど幸せな二人はいない」と云う言葉を残して、川へ入水自殺する。
1923年の英国、リッチモンドでのヴァージニアの1日。2001年のニューヨーク・マンハッタンでのクラリッサの1日。1951年のロサンゼルスでのローラの1日。
時間・場所の違う3人の女性の1日が始まり、めぐりあっていく。
▼映画『めぐりあう時間たち』予告編▼
感想
『めぐりあう時間たち(原題: The Hours)』は、2002年のアメリカ合衆国の映画。スティーブン・ダルドリー監督でマイケル・カニンガム原作。『ダロウェイ夫人』をモチーフに、作者であるヴァージニア・ウルフを始め、3人の女性を描く作品でキャストは特殊メイクを施しヴァージニア・ウルフを演じたニコール・キッドマン、第二子を妊娠中で一見幸せそうなローラ役にジュリアン・ムーア、詩人で小説家である友人のリチャードの世話を続けている編集者のクラリッサ役にメリル・ストリープ。
『ダロウェイ夫人』は元は小説で1997年に映像化されているので、知っている人は知っているかもしれないが、作者ヴァージニア・ウルフについては知ってる人はどれくらいいるのだろう。
「難解」と言われるだけあって、3つの時代をそれぞれの描写で行ったり来たりするので、少し混乱する構成ですが、3人の女性それぞれが幸せや愛や死について考えると思うと、意外に分かりやすのかなって思います。

映画『めぐりあう時間たち』より
3人の女性とレズビアン表現
近年ではヴァージニア・ウルフとフェミニズムやレズビアンとも関連付けられることも多いそうです、この作品にもレズビアン描写が見られます。まず、2021年の編集者クラリッサは同性のパートナーがいますが、友人のリチャードは元恋人のようで、はじめはバイセクシュアルなのかな?と思ったのですが、後の描写を見るにそうでもないのかなと思ったり。
続いて優しい夫と可愛い息子に現在妊娠中のローラですが、彼女もどこか満たされないものを感じていましたが、友人キティが落ち込んでるのを見てキスをし、そして拒絶されたことでショックを受け死を考えるようになります。
そしてヴァージニア・ウルフも優しく献身的な夫がいますが、姉・ヴァネッサ・ベルともキスを交わし、内に秘めた想いを溢れさせます。ちなみに史実のヴァージニア・ウルフがどこまで同性愛指向を隠していたかは定かではないですが、同性の恋人もわずか期間ですがいたようです。
そして物語終盤、クラリッサと老いたローラが顔を合わせるのですが、ローラは同性の恋人がいて、(精子提供で生まれた)娘もいるクラリッサを見て一言「幸せね」と言うのですが、クラリッサは少し怪訝な表情でローラの真意が分からない感じですが、私は「同性を愛する女性が、同性のパートナーと共に暮らし、子供までいること」に少なからず羨望や純粋な祝福もあったのかなと感じました。
1920年代のイギリス、1951年のロサンゼルス、2001年のマンハッタン、それぞれから見た女性の同性愛描写は心象表現含めて圧巻だと感じました。

映画『めぐりあう時間たち』より
3人のダロウェイ夫人
決して明るい映画ではなく、ヴァージニア・ウルフの入水自殺のシーンから始まり、3人の女性が心のうちに秘めた仄暗いものを感じる映画ですが、とにかく3人の女性の感情が凄まじいです。
心の病を持つ気難しい作家ヴァージニア・ウルフを演じるニコール・キッドマン。幸せなはずの結婚生活をじっと耐えているローラを演じるジュリアン・ムーア。エイズにかかった元恋人の世話を続けるクラリッサを演じるメリル・ストリープ。抑えていた感情が溢れる瞬間が凄まじいです。
心の病を持つ気難しい作家ヴァージニア・ウルフを演じるニコール・キッドマン。幸せなはずの結婚生活をじっと耐えているローラを演じるジュリアン・ムーア。エイズにかかった元恋人の世話を続けるクラリッサを演じるメリル・ストリープ。抑えていた感情が溢れる瞬間が凄まじいです。
ヴァージニア・ウルフが書いた『ダロウェイ夫人』は、第一次世界大戦の爪痕の残るロンドンでの、主人公のクラリッサ・ダロウェイの1日を描いています。
『めぐりあう時間たち』はこれに倣い、異なる時代、異なる場所での3人に女性の一日を描いていて、3人とも現在の生活に疑問を感じていること、レズビアンへの指向があること、当日のパーティを控え心が揺れていることが、ダロウェイ夫人の主人公と共通しています。
『めぐりあう時間たち』はこれに倣い、異なる時代、異なる場所での3人に女性の一日を描いていて、3人とも現在の生活に疑問を感じていること、レズビアンへの指向があること、当日のパーティを控え心が揺れていることが、ダロウェイ夫人の主人公と共通しています。
つまり3人のダロウェイ夫人がいて、それぞれの考え方に終止符を打とうとする物語かなと思えました。それにしても3人の俳優陣の演技が素晴らしいです。

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映画『めぐりあう時間たち』より
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