
あらすじ
オーストラリアのシドニー。鮮やかなコスチュームを身にまとい、ステージで踊るドラッグ・クイーンのミッチ。ある日のこと、アイススプリングスのホテルから、ショ―をやってほしいという依頼が舞い込みます。それは、結婚2年で別れたミッチの元嫁、マリオンからのオファー。
アイススプリングスに行くことを決心したミッチは、恋人を亡くしたばかりで悲しみにくれている中年のバーナデットと若くて騒々しいフェリシアをショーメンバーに誘い、古ぼけた大型のバス「プリシラ号」で、シドニーから3千キロも離れた、砂漠のど真ん中にあるホテルを目指し走り出しました。
アイススプリングスに行くことを決心したミッチは、恋人を亡くしたばかりで悲しみにくれている中年のバーナデットと若くて騒々しいフェリシアをショーメンバーに誘い、古ぼけた大型のバス「プリシラ号」で、シドニーから3千キロも離れた、砂漠のど真ん中にあるホテルを目指し走り出しました。
▼映画『プリシラ』トレーラー※日本語字幕なし▼
感想
『プリシラ(The Adventures of Priscilla, Queen of the Desert)』は、1994年製作のオーストラリアのロードムービーです。ビーチサンダルを繋げたドレスなどドラァグクイーンならではな奇抜な衣装が素晴らしく、アカデミー衣裳デザイン賞を受賞し、英国アカデミー賞においても衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアー賞を受賞しています。
見た目はとにかく派手で奇抜で明るい3人のドラァグクイーンたちですが、妻子がいることを隠してる、最愛の恋人を失ったなど、それぞれに悲しい過去があり、荒廃した砂漠の風景も相まって明るい部分と暗い部分の対比が素晴らしかったです。
また1990年代の作品ということで、都会以外ではドラァグクイーン(に限らずゲイなどの性的マイノリティ)が受け入れらない田舎の閉鎖的な差別をも取り上げていたり、子どもが欲しいけど諦めてしまってるトランスジェンダーの悩みなど、問題提起もされていて見応えがあります。

見た目はとにかく派手で奇抜で明るい3人のドラァグクイーンたちですが、妻子がいることを隠してる、最愛の恋人を失ったなど、それぞれに悲しい過去があり、荒廃した砂漠の風景も相まって明るい部分と暗い部分の対比が素晴らしかったです。
また1990年代の作品ということで、都会以外ではドラァグクイーン(に限らずゲイなどの性的マイノリティ)が受け入れらない田舎の閉鎖的な差別をも取り上げていたり、子どもが欲しいけど諦めてしまってるトランスジェンダーの悩みなど、問題提起もされていて見応えがあります。

映画『プリシラ』より
勇気をもらえる砂漠の花
ドラァグクイーンの出で立ちとそのパフォーマンス、そしてオーストラリアの広大な風景というヴィジュアル面で圧倒されがちですが、実はストーリーも深くて、単なるお気楽ロードムービーじゃない良さがあります。旅先ではドラァグクイーンたちに偏見や差別からくる罵声や暴力が降りかかります。時には逃げたり逃げられたり、やり返したり泣き寝入りしたり。
広大なオーストラリアの赤い大地と、澄み渡る青空はどこまでも明るく、自分に正直に強く生きようとする3人の姿はとても健気で美しく、その姿には勇気をもらえます。
個人的にはミッチと息子のやり取りがとても印象的で、ドラァグクイーンパフォーマーの息子としてはできすぎな息子さんですが、母親にしてこの子アリといった説得力があり、父親にも母親にも好きなように生きてほしいし、自分も自分の好きなように生きるという意思が感じられて素敵でした。
広大なオーストラリアの赤い大地と、澄み渡る青空はどこまでも明るく、自分に正直に強く生きようとする3人の姿はとても健気で美しく、その姿には勇気をもらえます。
個人的にはミッチと息子のやり取りがとても印象的で、ドラァグクイーンパフォーマーの息子としてはできすぎな息子さんですが、母親にしてこの子アリといった説得力があり、父親にも母親にも好きなように生きてほしいし、自分も自分の好きなように生きるという意思が感じられて素敵でした。
また劇中のディスコサウンドも物語を盛り上げるの一役かっていて、特にABBAの「マンマ・ミーア」は印象に残ります。
映画『プリシラ』より
ミュージカル『プリシラ』
『プリシラ』はミュージカル化もされており、日本では宮本亜門さん演出による「ミュージカル プリシラ」として2016年に初演、2019年も再演しました。キャストはミッチ役に山崎育三郎さん、バーナデット役に陣内孝則、フェリシア役にで超新星のユナクさん、Leadの古屋敬多さんです。
▼ミュージカル『プリシラ』公開ゲネプロ▼
まとめ
ただただ明るいロードムービーではなく、ドラァグクイーンの問題を真摯に描き、暗い部分と明るい部分を見れて、どこか元気の出る、どこか勇気がもらえる、そんな映画です。『マトリックスシリーズ』でエージェント・スミス役など知られるヒューゴ・ウィーヴィングのドラァグクイーン姿は必見です!
また本作でバーナデット役演じたテレンス・スタンプさんはバーナデットが外科的な性別移行しているキャラだったということで、胸を膨らませる手術をしてこの役に挑んだそうです。そのおかげか、他2人と違ってかなり品のある感じのドラァグクイーンが誕生し、魅力的です。
日本版ミュージカルでもバーナデット役の陣内智則さんは役にあたって20㎏のダイエットをしたとかなんとか……バーナデット役は大変だぁ……。
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