モーリス


あらすじ

同性愛が犯罪とされていた、20世紀初頭のイギリス・ケンブリッジ。
 
凡庸な青年モーリスは知的なクライヴと親密になり、ほどなく互いに恋愛感情を抱くようになるが、高潔なクライヴは肉体関係を拒み通したまま学生時代を終える。
 
社会に出て大人になってからも付かず離れずの友情は続くものの、自らの性衝動を御しかね孤独に苛まれるふたりは、やがて互いを傷つけあうようになっていく。政治家を目指すクライヴが上流の女性と結婚したのを機に、友人関係が復活する。
 
モーリスはクライヴ邸の若い猟場番アレックに性指向を見抜かれる。
 
映画『モーリス』予告編


感想

『モーリス(Maurice)』は、E・M・フォースターが1913年に執筆した小説で、それを原作として1987年に制作されたイギリスのロマンス映画です。
 
今でこそ同性婚も認めているイギリスですが、つい50年前までは同性愛自体を法で禁じており、原作者のフォースター氏が原作小説を執筆した1913年も同性愛にはかなり否定的な時代でした。そのため、法で禁じられた同性愛のハッピーエンド作品ということが問題になり、当時はこの小説を出版することができなかったのだそうです。そのためこの作品は著者の死後1971年になって発表されました。
 
この作品では、同性に性的指向が向くことに受け入れつつも悩み青年モーリスと、階級や世間体が枷となり自身の性的指向を受け入れられないクライヴ、モーリスの想いを見抜き彼に近づくアレックの関係性が見どころですが、当時の同性愛問題や階級制度、宗教などを真っ向から捉えた作品で、ロマンスい以外の部分も楽しめます。
 
モーリス03
映画『モーリス』より

クライヴの手放せなかった想い

とは言っても一番は青年たちのロマンスが見どころです、特にエリート思考で理性的で自制心を常に手放さないクライヴ。
 
はじめは、純粋にクライヴに恋をするモーリスが魅力的で、想いが通じ合うも頑なにプラトニックな関係を望むクライヴともっとクライヴと繋がりたいと思うモーリスの、ロマンス映画のモダモダ感を楽しんでいました。
 
なにより、モーリスと想いあっていたのに関わらず、クライヴのエリート思考ゆえに政治家へのステップアップを理由に関係が崩壊し、さらにはクライヴの結婚、それらに振り回されるモーリスが可哀相で可哀相で。
 
しかし、ラストシーン。クライヴのなんとも言えない表情で一気に引き込まれました。同性愛を否定する社会に属することを選んだからこそ、モーリスという最愛の人を手放すことになった悲哀の表現はとても飲み込まれました。
 
それと対比して、モーリスはすべてを投げうってでも愛を勝ち取ったというのも、クライヴの悲哀を引き立てます。
 
モーリス01
映画『モーリス』より

まとめ

1980年代後半とちょっと古めの作品ですが、20世紀初頭の同性愛に厳しい時代背景と、それにまつわるロマンスを描くまさに名作といった感じです。また2019年には製作30周年を記念して4Kデジタルに修復され、リバイバル上映もされました。
 
メインは確かに同性愛というテーマですが、それだけでなく同性愛を否定する教会や階級社会へのアンチテーゼも含まれており、モーリスとアレックの身分差のラブロマンスをより引き立ててくれます。
 
またラストシーンのクライヴがあまりにも魅力的で、クライヴの話しかしてないですが、アレックもとても魅力的で、冒頭にまだまだ幼い少年のモーリスに結婚の良さを教えるデューシー先生と少年モーリスのやり取りと、その10年後の再びデューシーとモーリスやり取りで、アレックの良さを確認できたります。そういった細かい部分まで見逃せない作品でした。
 
モーリス02
映画『モーリス』より
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