パパ友ラブストーリー


あらすじ

有馬豪と鐘山明人は、同じ保育員に子どもを預けている。とはいえ、豪はファンドマネージメントのCEOで多忙を極めているため、朝、娘の亜梨を保育園に送っていくだけ。
 
対して明人は、妻の美砂がタレント議員でこれまた多忙のため、ワンオペ、育児かつ家事全般を請け負っている。互いに顔見知り程度だったが、ある日、明人はLINEで豪を飲みに誘う。「お互いイクメンとして妻の悪口を言い合おうよと」。その晩、ゲイ不倫という地獄の釜の蓋が開いたのだったーー。
 
これは復讐なのか? 完璧な妻に対して、自分より稼ぐ妻に対しての。
 
パパ友どうしの恋。
ゴーギャンにはなれない、おまえも、俺も。一度きりの人生を、後悔して生きていく。後悔したことさえ忘れて。ミソジニー、嫉妬、仕事ができない焦り、不公平感……ゴーギャンになりきれなかった男たちの思いが炸裂し、疾走する!

登場人物

有馬豪(30)…渋谷にあるファンドマネージメント会社のCEO。娘の保育園の送り出しは妻に言われたからやっており、妻にアレコレ言っても事が大きくなるだけなので基本イエスマン。明人に飲みに誘われ、そのまま不倫に発展する。過去にも不倫経験あり。イケメン。
 
鐘山明人(53)…今はほぼ主夫。一級建築士の資格を持つ建築家で、今は昔馴染みからの仕事を細々と受け、子育てに専念している。妻が仕事を優先し、自分が家庭を担うのは納得しているが、仕事ができない焦りがある。
 
有馬まなみ(32)…豪の妻で美人。いわゆる意識高い系で、男はアクセサリーと思っている節がある。過去夫の不倫に気づき、関係を解消するよう内密に処理した。
 
東雲美沙(51)…明人の妻で都議会議員。元タレント。ヒステリックなフェミニストで通称「キレすぎる都議」。家のことは育児含めて明人に任せきり。夫の出会いはTwitter。
 
有馬亜梨(5)…豪とまなみの娘。
 
鐘山光(2)…明人と美沙の息子。まだ言葉をうまく発せず、明人も美沙も「ママ」、アンパンマンもバイキンマンも「アンパンマン」という。名前の読みは「ライト」
 
他、建築事務所の社長で3人の子どもの母で家のことは夫に任せきになってしまってる高田矢須子、豪の会社の有望株の瀬島隼人などが出てきますが、どの人物のとても濃いです。
 

感想

『東京パパ友ラブストーリー』は2019年に出版された樋口 毅宏による小説です。
 
BL作品のようなタイトルですが、内容はミソジニー(女性嫌悪)、フェミニズム(女性解放思想)、ホモフォビア(同性愛嫌悪)などなど、濃い内容が盛りだくさんで、個人的には現代社会への風刺も効いたスタイルが面白く感じました。
 
また同性愛の表現も面白く、ラブストーリーこそ突然に始まりますが、豪30歳、明人50歳という年代差で感じる男性観、女性観、結婚観、そして同性愛観の差が作品のスパイスになっているような感じ、特に明人のとんねるずの保毛尾田保毛男を見て「ゲイは笑われる対象」だと思ったことや自分を守るために同性愛嫌悪的な行動をしてしまうことはリアルに感じました。
 
ただ豪と明人の恋模様もなんだか初々しく、お互いの妻に嫉妬したり、子どものことで喧嘩したり、家族ぐるみの付き合いでこっそり手をつないだり、激しく求めあったり、どこか可愛らしいと思えるような恋愛をしています。
 
しかし相手が男同士とは言え、不倫は不倫。男同士の不倫を描いた作品と言えば『ブロークバック・マウンテン』があげられますが、妻を裏切った恋路がすんなりうまくいくはずもなく、物語終盤かなりの泥沼化し、豪と明人、まなみ、美沙の4人はそれぞれの決断を迫られる形になります。それぞれがどんな答えを出したかはぜひご一読ください。
 

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