あらすじ
1986年、フロリダ。ヒッチハイクをしながら男に身体を売る生活に疲れ果てたアイリーン・ウォーノス。有り金の5ドルを使い果たして死のうと決め、飛び込んだバーで、彼女は一人の女性セルビーと運命的な出会いを果たす。同性愛の治療を強制されフロリダにやってきたセルビーもまたアイリーンと同様に社会からの疎外感を抱いて生きていた。
初めて自分を偏見なく受け入れてくれる人物と出会ったと感じたアイリーンは、“ふたりで暮らそう”と提案する。
そのためにお金が必要になった彼女は、再び客を取るため道路脇に立つのだったが…。
▼映画『モンスター』予告編▼
感想
『モンスター(Monster)』は、2003年のアメリカ合衆国の犯罪伝記映画。パティ・ジェンキンス監督・脚本。シャーリーズ・セロン主演。実在した元娼婦の連続殺人犯、アイリーン・ウォーノスの生涯を映画化した作品で、それまでステレオタイプな美人女性役が多かったセロンは本作にあたり、体重を増やし眉毛を抜き挑んだ演技は好評を博し、アカデミー主演女優賞、第54回ベルリン国際映画祭銀熊賞、ゴールデングローブ賞 主演女優賞(ドラマ部門)などを受賞しました。
内容は実在した元娼婦で殺人犯のアイリーン・ウォーノスとその恋人セルビーとの関係性を色濃く描いていて、アイリーンの歪んだ愛情や思考による衝動的犯罪を禍々しく表現されています。
正直、壮絶な内容ではあるものの、シャーリーズ・セロンの演技が迫真過ぎてそっちに持っていかれてるなとも思います。
内容は実在した元娼婦で殺人犯のアイリーン・ウォーノスとその恋人セルビーとの関係性を色濃く描いていて、アイリーンの歪んだ愛情や思考による衝動的犯罪を禍々しく表現されています。
正直、壮絶な内容ではあるものの、シャーリーズ・セロンの演技が迫真過ぎてそっちに持っていかれてるなとも思います。
映画『モンスター』より
アイリーンとセルビーの関係
作中ではアイリーンとセルビーがゲイバーで出会い、恋仲になります。作中ではそれまで男性との経験しかなかったアイリーンが同性愛者を馬鹿にしたり、セルビーの親族が理解を示さなかったり(そもそもセルビーは同性愛者矯正のために親戚の家に住んでいるらしい)、1980年代らしく同性愛者に理解のない登場人物がいます。
娼婦のアイリーンと同性愛者で家族から孤立しているセルビーは、その虚しさゆえにお互い共鳴し、惹かれあい、唯一無二の存在となりますが、あくまでも同性愛の描写はその程度、本筋はアイリーンの狂気とも言える衝動殺人です。
実際、何人もの男を殺し、数々の犯罪を犯してきた恐ろしい殺人鬼ではあるのですが、映画では犯人の哀れな愚かさが描かれており、そこにはセルビーの存在は欠かせないものとなっていました。
映画『モンスター』より
シャーリーズ・セロンの演者魂
そして、絶対に触れなければならない、この映画の凄まじいところは、何よりあの絶世の美女であるシャーリーズ・セロンが、ほとんどその美貌の見る影もない悲惨な売春婦役を演じ切れていることである。彼女はこの役柄のためにモデル体型のためかなり太ることに苦労したが、それでも12キロも体重増、実際のアイリーンに合わせて眉毛を抜き、この殺人犯アイリーン・ウォーノスを役者魂で演じ切ることに、とても感動しました。
そして見た目だけでなく、アイリーンの悲哀や憎悪といったものも的確に表現されていて、それだけでも作品を鑑賞する価値があると思います。
映画『モンスター』より
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