ママは昔パパだった


あらすじ

小谷仁史は男性として生まれ、結婚し妻との間に子供も2人もうけたが、性同一性障害に悩んでいたため性別適合手術を受け女性となる。
  
妻とは離婚して小谷仁美と改名するが、性同一性障害特例法では「子供がいない事」が条件だったため戸籍上は男性のままで、性の変更はかなわなかった。
  
2007年、仁美は長距離バスの運転手をしながら、母親として小学生となった息子2人を育てていた。ある日、長男のリトルリーグの練習に同行した仁美は、「仁美の過去」を知ったチームの父母から、「教育上よくない」と言われ一方的に退会を迫られてしまう。
 
性同一性障害は病気だと説明するが聞き入れられず、仁美は無理解な周囲に追い詰められつつ、自分の名誉と息子たちを守るため奔走する。
 
ママは昔パパだった01
ドラマ『ママは昔パパだった』より

作品解説

『ママは昔パパだった』は、2009年に全6話で放送された連続テレビドラマで、2008年6月に実際行われた性同一性障害特例法改正をモチーフに、性同一性障害を抱える主人公が、様々な困難に直面しながらも、母親として、女性として、ひとりの人間として、明るく前向きに生きていく様や、主人公を支える家族や友人との絆を、オリジナルストーリーとして描き出す。
 
主演は、舞台、映画と幅広い活躍をみせる演技派俳優、戸田恵子さん。性同一性障害を抱えた母親役という難役に挑みました。戸田恵子さんの他に窪田正孝さんやトランス女性タレントのはるな愛さんもトランス女性役を熱演しています。
 
▼戸田恵子が性同一性障害の抱える役に挑戦▼


特例法の法改正について

「性同一性障害特例法」とは正式には「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」というもので、ザックリいうと性同一性障害の人がさまざまな条件のもと「戸籍の性別を変えられますよ」という法律。私もこの法律を使って、戸籍の性別を変更しています。
 
その戸籍の性別を変更するのに、さまざまな条件がありまして、例えば「現在結婚していないこと」「性別適合手術をしていること」などなど。その中に未成年の子供がいないことという条件があります。この「未成年の子供がいないこと」という条件は改正されてできたもので、その前は「子供がいないこと」だったのです。
 
本作ではトランス女性である小谷仁美さんは現在小学生の子供が2人いたので、戸籍の性別変更ができず、戸籍上男性、実生活は女性と言うチグハグな状態が起き、病院で怪訝な顔をされたり、職場での嫌がらせ、息子のサッカーチームの脱退など、不利益な場面が多々ありました。
 
そこで、自分のため、子供のためにとその条件改正をしてもらおうと働きかけるお話です。
 
ママは昔パパだった03
ドラマ『ママは昔パパだった』より

まとめ

残念ながら、こちらの作品は現在円盤化されておらず、各種配信サイトでも配信されていないので、観るのは難しい作品となっています。円盤化を今でも望んでいます……。
 
またこの働きかけによって性別変更の特例法の条件が変わり「現に子供がいないこと」から「現に未成年の子供がいないこと」に変更されました。これで万々歳かと言ったらそうでもなくて、物語の主人公小谷仁美さんは小学生のお子さんがいるので、条件外のために念願の戸籍の性別変更は叶いませんでした。
  
まだまだ厳しいとも思える条件があり、実生活の性別と戸籍の性別があっておらず、苦労するという人も多いのかなと思います。この作品を通して、平々凡々に生活をするのにこれだけ大変なこともあることを知ることができるのかなと思います。また「性同一性障害の特例法」について興味を持ってもらったら幸いですね。
 
ママは昔パパだった02
ドラマ『ママは昔パパだった』より
 
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