ロニートとエスティ


あらすじ

敬虔なユダヤ教徒の家に生まれ育ったロニートは、その伝統的な生活と保守的な価値観に溶け込むことができず、長らく故郷を離れていた。そんなある日、彼女のもとに父親が亡くなったとの知らせが入る。不本意ではあったが、父親は慕っていたのでロニートは生まれ故郷に戻らざるを得なくなる。
 
帰郷したロニートは旧友のエスティと再会する。2人の関係は旧友というよりも元恋人に近いものだったが、ユダヤ・コミュニティーではそれを公にすることはできなかった。エスティはすでに別の男性ドヴィッドと結婚していたが、燃え上がる恋の炎を押さえ込むことができない。

ロニートとエスティは信仰と愛の間で葛藤するが、やがてそれは2人だけの問題に留まらなくなっていく。2人の関係が知れ渡った結果、宗教共同体の価値観が根底から揺さぶられるような事態に発展する。
  
ロニートとエスティ01
映画『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』より

予告編・キャスト

▼映画『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』予告編▼

 
【登場人物】
ロニート(レイチェル・ワイズ)
父は厳格なユダヤ教でラビと呼ばれる律法学者の指導者で超正統派の信仰についていくことが出来なかっために、数年前に信仰を捨てて逃げるようにニューヨークに。ニューヨークではカメラマンとして活躍している。厳格な教えには辟易しているが、父親は慕っていたようです。バイセクシュアル。
 
エスティ(レイチェル・マクアダムス)
かつてロニートと恋仲ではあったが、厳格な教えにより破局。その後は厳格なコミュニティから抜け出せず、親しかったドヴィッドと結婚した。レズビアン。
 
ドヴィッド(アレッサンドロ・ニヴォラ)
エスティの夫で、ロニートの父の後継者。エスティを手放したくない思いがあるらしい。 

感想

『ロニートとエスティ 彼女たちの選択(Disobedience)』は、2017年に公開されたアイルランド・アメリカ合衆国・イギリスのドラマ映画。監督は『ナチュラルウーマン』のセバスティアン・レリオ、主演はレイチェル・ワイズとレイチェル・マクアダムスが務めた。
 
本作はナオミ・アルダーマンが2006年に上梓した自伝的小説『Disobedience(不服従)』を原作とし、厳格なユダヤ・コミュニティーのもとで生まれ育ち、神のおきてに背いて恋に落ちた2人の女性の再会と苦悩を描いている作品です。
 
宗教観を理由に同性愛を禁じられた愛として描いた作品はいろいろあり、個人的には『彼が愛したケーキ職人』を思い出しますが、本作はもっと宗教と同性愛の軋轢を描いた作品で、厳格なユダヤ・コミュニティから逃げたロニートとそのまま留まり続けたエスティが主人公です。
 
ロニートとエスティ02
映画『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』より

厳格なユダヤ・コミュニティ

公式のホームページによると【超・正統派ユダヤ・コミュニティ】のタブーには【同性の恋愛は男性も女性も認められていない】とあり、男性の同性愛は聖書で厳しく禁じられているが、女性の同性愛は聖書上では禁じている明確な記述はないが、ユダヤ教の律法は律法学者が解釈するものなので判断はさまざまである。このコミュニティでは、ロニートの父の解釈によって、女性の同性愛も認められていない。そもそも女性に選択の権利がなく、男女の恋愛を基準としそれ以外を認めず、結婚や妊娠出産を女の幸せと信じて疑わないコミュニティのようです。
 
それ以外にも、【女性は髪を剃り、カツラをつけなければならない】【既婚者は異性に触れてはいけない】【タトゥーは禁じられている】などがあり、かなり厳しいコミュニティのようです。
 
そこを居心地がいいという女性もいるかもですが、少なくともロニートの厳格な教えに辟易して、故郷を飛び出したロニートと、居心地が悪く自分に嘘をつきながら故郷に居続けるエスティの対比を描いています。
 
正直、あまりにも厳格すぎて日本でのほほんと過ごしている私にはあまりにも突飛なルールで驚きました。と言ってもロニートも困惑してるくらいだし、厳格な中でも厳格なようです。
 
ロニートとエスティ03
映画『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』より

エスティのSOS

邦画タイトルが『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』とありますが、実際映画を見てみると主人公はエスティのほうで、彼女がDisobedience(不服従)をするまでの物語でそれに巻き込まれたロニートとエスティの夫ドヴィッドといった感じです。
 
エスティはドヴィッドと結婚をしていますが、レズビアンで(ロニートはバイセクシュアル)この女性に選択権のないコミュニティは息苦しく思っているようで、夫のドヴィッドとの性行為も義務だと感じているようです。ただ、昔恋仲だったロニートを忘れられず、20年近く疎遠だったロニートに連絡を取ります。そして彼女からのSOSを受け取って、ロニートは自分が昔したようにコミュニティを抜けるように彼女を促しますが、なかなかに難しい。
 
そしてエスティの夫はドヴィッドは彼女の気持ちを知りながらも彼女を手放したくないがためにロニートとエスティを接触してほしくないが、人がいいのかある程度ロニートをそこまで咎めません。そしてついに「私を自由にして!」とエスティの心からの叫びを受け取った彼の選択もまた素晴らしいです。
 
ロニートとエスティ04
映画『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』より
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