あらすじ
1952年、ニュージーランド、クライストチャーチ。
女子高生のポウリーンのクラスに、イギリスからの転校生ジュリエット・ヒュームがやってきた。その美しい容姿もさるものだが、学校の先生のちょっとしたミスを指摘してしまうほどの秀才。絵画の授業中も自分の意見を臆する事なく教師に言ってしまうジュリエットに、ポウリーンは一瞬で魅了された。
女子高生のポウリーンのクラスに、イギリスからの転校生ジュリエット・ヒュームがやってきた。その美しい容姿もさるものだが、学校の先生のちょっとしたミスを指摘してしまうほどの秀才。絵画の授業中も自分の意見を臆する事なく教師に言ってしまうジュリエットに、ポウリーンは一瞬で魅了された。
仲良くなっていくと、好きなオペラ歌手が一緒、空想を思い描くのが好きだったりと好みや感性が驚くほど似通っていた。急速に仲良くなっていく二人。あまりの親密さに不安を覚えたジュリエットの父はポウリーンの母に相談をし、ポウリーンはカウンセリングを受ける事になった。
診断は「同性愛」。その診断結果にジュリエットとの交際を全面的に禁止されてしまう事に。
▼Heavenly Creatures (1994) Official Trailer - Kate Winslet, Peter Jackson Horror Movie HD▼
感想
『乙女の祈り(英題:Heavenly Creatures)』は、1994年製作のニュージーランド・アメリカ合作映画で、監督はピーター・ジャクソン。作品構成は1954年にニュージーランドのクライストチャーチで実際に起きた殺人事件を題材にしていて、映画は事件の視点よりも、二人の女子高校生の視点から描かれており、多感な少女たちの不安定な内面を幻想的に描いています。
ポウリーンとジュリエットは想像力豊かで、お互いに物語を書いては話し合っていました。その表現方法が面白く、彼女たちの想像した物語を映像で演出が秀逸がいい味を出していて、その美しい想像の世界に美しさと恐ろしさ、不安さが共存しています。そのギャップが少女たちのなんともいえない自由へのあこがれ、現状への不満、希望を表しています。
この映像表現だけでも、彼女たちが何を思い、何に怯え、何を求めてるかがわかるつくりと言うのは面白いです。
映画『乙女の祈り』より
乙女たちのSOS
ポウリーンとジュリエットは共に両親に不満を抱いているように描かれています。ポウリーンは過干渉な母親やお調子者の父親を疎ましく思い、ジュリエットは不倫をしている母親と堅苦しい父親をあまりよく思っていなかったようです。特にジュリエットは自慢の両親からの転落だったので余程のショックだったかと思います。
そんな両親に不満を持っている少女たちは反抗的になりますが、それは思春期特有の反抗期のようでいて、彼女たちなりのSOSのようにも見えました。というのも彼女たちは周囲から少し浮いている存在だったから。
浮いていると言っても、堅苦しい学校や両親に合わないと言うだけで、好きなものは好き、間違ってるものは間違ってる、やりたいことをやると抑圧されずに堂々と言えるというもの。たったそれだけのことですが、抑圧された環境下では2人は異端に映ったのだと思います。
映画『乙女の祈り』より
まとめ
映画『乙女の祈り』は実在の事件を基にしていて、ジュリエットのモデルになったのはミステリー作家のアン・ペリー(改名はジュリエット・マリオン・ヒューム)。事件後、ポウリーンとの接触を禁じられているため、一度も会っていないということです。本作ではジュリエットよりもポウリーンの闇が深いなと感じました。思春期特有と言ってしまえばそれまでですが、やりたいことが明確に決まっている彼女にとって、それらを抑制する大人たちは煩わしいものであり、そんなの気にしないと堂々としているジュリエットは憧れの存在だったのかと思います。
時代が時代だけにしょうがない部分もありますが、抑圧するのではなく、ちゃんと子供の声を聴くことって大事なのだなと改めて感じさせてくれました。
映画『乙女の祈り』より
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