あらすじ

感想

『三日月まおは♂♀(性別)をえらべない』は著 西野きいなによるTSファンタジー漫画です。血筋により性別を行ったり来たりしてしまう、性別が不安定な三日月まおが男子寮でのラブコメ展開に巻き込まれるという物語。しかも性別の入れ替わりのタイミングがキスっていうのもまた面白い。
　
単純なTSラブコメかと思ったら、三日月まおの女子としての経験値が他の男子や女子に刺さり好意を持たれることで、より複雑にしていきます。中には性別が行ったり来たりすることを知ってる人や、知らずに好きになる人などさまざま。
　
しかもまお自身は「もう男と恋愛するなんてこりごりだ」という思いから男性として生きることを選んだのに、結果男子からも好意を持たれ、自分が嫌悪していた男性像とは違って優しく不器用なところもあるルームメイトの真中流星に淡い恋心を抱いてしまうという、先が気になる展開です。
　

三日月まおの性自認

すごく個人的にTS(性別転換)作品で気になることと言えば「性自認」。すごく分かりやすい言い方をすると「心の性別」がどうなってるのかなって思います。『性別「モナリザ」への君へ』では元が中性と言う設定で性別も不確定でのTS作品でしたし、『オレが私になるまで』では性転換以降、身体の性別と性自認がチグハグなのに困惑する描写が見られます。
　
しかしこの作品では、そういった性自認の描写はほとんど見られず、強いて言うなら【性自認は身体の性別に引っ張られている】感じでしょうか。男であっても女であっても三日月まお自身は「本当は女なのに！」みたいに性別で悩むシーンは見られません。
　
それ故に、性転換を行っても顔立ちは変わらず、体格が大きく変わるだけなので(男子の時は体格もややがっちりしており、女子の時はＧカップと言う豊満なボディになる)、バレそうになった時はうまくごまかせるという利点もあります。……いやよくごまかせるなあ。

三日月まおに向けられた矢印

2巻時点で三日月まおに好意を寄せているのは3人。ひとりはクラスの女子の美澄さんで、女子の経験値故に彼女にアドバイスをしたところ好意を持たれてしまう感じ。彼女は三日月まおの体質については知らず、告白してくるなど積極的にアプローチしています。
　
もうひとりは同じ寮生の井上聖。彼は一番最初に三日月まおの体質を知り、まおの秘密がばれないよう手助けをしてくれるサポーター。お調子者でどこか軽い、巨乳好きで胸の大きい三日月まお(♀)に好意を寄せるけど、どこまでもまっすぐな流星とまお(♀)の見た目から入って好きになった自分とを比較して沈むシーンが見られます。
　
そして最後はルームメイトの真中流星、出会いは最悪だったもののお互いの誤解はすぐ解け急速に仲良くなります。このあたりは少女漫画あるあるですね。しかしその過程でまお(♂)を意識するようになるも、それまで男を好きになったことがないため混乱しているといった感じ。
　
三日月まおは誰を選ぶのか……という感じはほとんどなく、明らかにまお自身は流星を意識しており、流星もまおの体質を知ってもなおクソ真面目に自分の感情を考える誠実さも相まってもう「お前ら早くくっつけ」状態です。そんなTSファンタジー故のラブコメもこの作品の魅力です！
　

まとめ

2021年に1巻が発売されたばかりの未完結作品なので、今後どうなるかとても楽しみな作品です。特に三日月まおと真中流星のラブロマンスは今後どうなっていくか気になります！そして流星だけでなく、聖や美澄さんの想いはどうなるのか、最終的に三日月まおは男と女、どっちを選ぶのか。気になるポイントがたくさんある作品ですね！
　

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