霜花店


あらすじ

元の支配を受けた高麗末期。親衛部隊<乾竜衛>の隊長ホンニ ムは、国内外の 危機に置かれた高麗王を補佐しながら警戒を緩めない。しかし、後嗣問題を口実にした元の無理な要求が続き、正体不明の刺客たちが王の命を威嚇する中、王は重大な決定を下す。
 
王の命令ならば、命のように従うホンニム。王は、高麗の王位を継ぐ子を得るために、ホンニムに王后と交わるよう命じる。
 
衝撃と欲望が交錯するその夜、三人の運命がうず巻き始める。禁じられた愛と歴史の狂風にまきこまれた彼らの大叙事が始まる。

霜花店01
映画『霜花店 運命、その愛』より
  

予告編&登場人物

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【登場人物紹介】
ホンニム(チョ・インソン)…王の寵愛を一身に受ける高麗の「乾龍衛」の隊長。高麗王と床を共にする関係であるが後継ぎ問題の関係で、王の命令で王妃を抱くことになる。しかし身体を交えて以降、王妃との肉欲におぼれる。
  
高麗王(チュ・ジンモ)…才に恵まれ威厳に満ちた高麗の王。しかし、男色のため跡継ぎを作れず、正体不明の刺客を送られるなど、命の危機にある。故に親愛のホンニムと王妃に交わり子をなすようにと命令をする。モデルは高麗の第31代王恭愍王。
  
王妃(ソン・ジヒョ)…元の国の王女で、高麗王の妃。王の命令でホンニムと身体を重ねて以降、ホンニムにご執心。モデルは魯国公主。

王とその従者、そして王妃

『霜花店―運命、その愛―(原題:쌍화점、英題:A Frozen Flower)』は、2008年公開の韓国映画。高麗末期の宮廷を舞台に、高麗王とモンゴル人王妃、そして王の寵愛を受ける近衛部隊の隊長の三角関係を描いています。「霜花店」は“サンファジョム”と読み、高麗時代の同名の詩歌「雙花店」だそうです。 
  
隊長のホンニムは高麗王と寝食を共にし寵愛されており、元の国の王女を妃に迎えていたが、王の心はホンニムにしかなかった。ホンニムも 身も心も忠誠を誓い愛し合う日々だった。しかし出てくるのは跡継ぎ問題。高麗王は「生まれてくる子がお前に似てれば嬉しい」とホンニムに王妃と交わるように命じる。高麗王としても本来は愛するホンニムが自分の妃とは交わっているのは辛くて仕方のないことだったのだが、その反面、ホンニムと王妃は身体を重ねたことで肉欲におぼれ、何度も王の目を盗んで逢瀬を重ねる。
  
まさに愛憎渦巻くドロドロ恋愛映画と言った感じなのですが、その実めちゃくちゃ純愛映画でもある作品で、特に高麗王の王妃との肉欲に溺れ、気持ちが王から離れていこうとするホンニムに対する想いは、辛いものがありました。

霜花店03
映画『霜花店 運命、その愛』より

ホンニムの想いは?

ホンニムは幼い頃より高麗王に使えており、高麗王とも寝食を共に過ごし、身体を重ねてきた。しかし王の命令で王妃と交わることで状況が一変する。王妃と身体を重ねて以降、どこか王妃が気になる。身を案じたり、贈り物をしたり。高麗王からすれば、今までホンニムの愛を独占してたのにそれが王妃にまで向かうのは苦い気持ちだったかと思います。
 
そして、王も参加している催事の最中、王妃はホンニムを呼び出し、ホンニムも王妃の誘いに乗り、命令下ではない状態で身体を重ねる。それからというもの何度も高麗王の目を盗み、2人は逢瀬を重ねるのですが……もちろん高麗王にはバレバレ。高麗王は嫉妬に怒り狂います。
 
王妃は地元の風習である「好きな人に霜花餅を送る」に倣って、ホンニムに餅を贈ったり、ホンニムもそれを嬉しそうに頬張る。身分差のある純愛映画の胸キュンシーンのようだが、その間、高麗王は一晩中待ちぼうけである。
 
とうとうホンニムは恋愛面でも政治面でも王を裏切る。高麗王の命を狙う陰謀に加担した者の中に王妃の兄がいると知り逃がしてしまうのだ。これには高麗王は絶望。その後も王妃とホンニムの行動に高麗王は何度も裏切られます。
 
そしてラストは高麗王が王妃を打ち首(偽装)にしたことにホンニムは怒り狂い剣を交える。そして王の「最後に、一度だけでも余はお前に愛されたことがあるか?」の問いにたっぷり溜めた後のホンニムの答えは「ありません。ただの一度も。」とバッサリ。
 
これ文字通りに受け取れば今まで何度も身体を重ねながらもホンニムは高麗王を愛していなかったとなりますが、実際はどうなんでしょうか。私個人の考えは怒りに身を任せた故の発言で本心ではなかったのだと思います。確かに肉欲に溺れ裏切り行為をしたのも事実ですが、ホンニムは何度も高麗王を選んでますし、現にラストは高麗王を見つめてましたからね。
 
この辺の解釈は人それぞれだと思います。
 
霜花店02
映画『霜花店 運命、その愛』より
 

まとめ

個人的には王妃は悪い女だなぁと思って観てたました、命令下ではない肉体関係にホンニムを最初に誘ったのは王妃ですし、途中「霜花餅を好きな相手に贈る」というラブロマンスもし、懐妊も王ではなくまずはホンニムに伝え、最終的には完全に高麗王の方を見てなかったように思います。
 
ただ王妃も元の国から高麗王の元に嫁いだのに、王には触れてもらえず、終いには王に愛されていると嫉妬していた「乾龍衛」の隊長と身体を重ね、子を成せと言われるのだから、辛いものがあったのかもしれません。王は元の国に帰っても良いと打診したり、辛い思いをさせている王妃を何度も気づかっているので、逃げ道はあったかと思いますが、王妃もまた愛に溺れた可哀相な人なのかもしれません。
 
愛憎渦巻く悲劇の三角関係。そう言ってしまえば簡単な物語ですが、愛に溺れた3人が悪い方に転がっていく様はとても簡単な物語とは言えない、哀しい物語でした。
 
霜花店04
映画『霜花店 運命、その愛』より

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