アタックナンバーハーフ


あらすじ

タイの国体出場を目指すバレーボール選手のジュンとモンは、「オカマ」であることを理由に仲間から蔑まれ、地区選抜にすら出させてもらえない。
 
そんな時、新たに女性のコーチが就任。彼女もまた、「オナベ」という理由で差別と偏見に晒されてきたのだった。
 
彼らは友人達を誘い、前代未聞のバレーボール・チームを誕生させる…。
 
▼映画『アタック・ナンバーハーフ・デラックス』予告編▼


感想

『アタック・ナンバーハーフ(タイ語: สตรีเหล็ก, Satree-Lex、英: The Iron Ladies)』は、2000年に制作されたタイのコメディ映画で、タイで実在したバレーボールチーム “サトリーレック”(=鋼鉄の淑女)をモデルとして、差別や偏見を乗り越えて大会に勝利するまでを描く物語です。

2002年には、続編 『アタック・ナンバーハーフ2 全員集合!』 が制作され、更に2016年に『アタック・ナンバーハーフ・デラックス』が公開されました。邦題の『アタック・ナンバーハーフ』はバレー漫画の『アタックNo.1』からとったもので、原作者の承諾を得たうえで付けられたそうです。バレーとニューハーフをかけたものだと思うのですが、分かりやすくていいのかもしれません。
 
ストーリーはいわゆるスポ根系でありながら、性的マイノリティ故の疎外感や無理解、差別などもしっかり描きつつ、全体的にコメディタッチで描かれ、扱っている内容は重いにもかかわらずすんなりと内容が入ってくるつくりになっています。
 
『デラックス』はそれ一本でも独立しているので、前作・前々作を観ていなくても問題ないですが、『アタック・ナンバーハーフ2』は前作の続編なので前作を観ていた方がより楽しめます。そして何より2000年公開の『アタック・ナンバーハーフ』が個人的に一番パワーがあるので、公開順に観る方が楽しめるかもしれません。
 
アタックナンバーハーフ02

偏見はブロック!

タイトルの通り、チームのメンバーはほとんどが性的マイノリティでゲイ、ドラァグクイーンとさまざまで、中にはストレートやレズビアンのキャラクターもいます。
 
チーム内恋愛でチームが空中分解したり、ストレートに恋をして苦い思いをしたり、親にゲイであることを理由に追い出されたり、ほとんどがゲイで構成されているチームにストレートのメンバーが疎外感を感じたりなどなど性的マイノリティならではなエピソード満載です。
 
タイってミス・ニューハーフを開催したりと性的マイノリティに寛容かと思ったら必ずしもそうとは限らないんだなと改めて認識させられました。

しかしこんな重たいテーマに関わらず、カメラワークや効果音、セリフやCGなどでかなりコメディタッチに仕上げており、楽しさとそしてバレーの力強さは勇気づけられること間違いなしな作品です。

アタックナンバーハーフ01
映画『アタック・ナンバーハーフ・デラックス』より

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