トランスジェンダー作品03

昨今、演劇方面では様々な観点から「トランスジェンダー役はトランスジェンダー当事者に」という動きがあります。今回はそれらを踏まえて「トランスジェンダーは誰が演じているか」に着目してレインボー作品をご紹介します!前回前々回と海外の映像作品についてまとめてたので、今回は「トランスジェンダー役は誰が演じるか?日本編」として日本の映像作品をご紹介!

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私が私であるために(ドラマ/相沢咲姫楽 他)

私が私であるために
【あらすじ】
性同一性障害の"女子学生"朝比奈ひかるは大学の仲間たちにも自分の秘密を明かしていなかった。相談した医師からは、性別適合手術を行うためには家族で話し合い、みんなでこの障害に取り組むのがベストとアドバイスされる。
ひかるの家族は、ひかるの他、造園業を営む職人の父・誠一、母・典子、OLの姉・いぶきの4人。特に誠一は、ひかるの女装すら認めない、ごく一般的なオヤジであり、ひかるにとっては頭の痛い存在だった。
やがて保育士の森村智と出会い、気持ちを寄せるがカミングアウトできずにいたひかる。そんな折、同じ障害を持つミュージシャンの蓮見凛と知り合い、勇気をもらったひかるは、ようやく手術を受けることをみんなに告げようと決意する。だが、そんなひかるの前に、次々と高い壁が現れて……。
  
私が私であるために01
ドラマ『私が私であるために』より ひかる役を演じた相沢咲姫楽(左)

まずは2006年に放送された単発ドラマ『私が私であるために』です。日本ではまだまだ馴染みのなかった「性同一性障害」とその家族をテーマにしており、主人公ひかる役を同じくトランス女性である相沢咲姫楽が演じ、他にも中村中竹内亜美などトランス女性が出演しています。当時はトランス女性が役者業をやることがかなり珍しく、またテーマソングとなっている中村中の楽曲「友達の唄」はロングランを記録しました。

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彼らが本気で編むときは、(邦画/生田斗真)

彼らが本気で編むときは、03.
▼映画『彼らが本気で編むときは、』予告編▼
 
【あらすじ】
優しさに満ちたトランスジェンダーの女性リンコと、彼女の心の美しさに惹かれ、すべてを受け入れる恋人のマキオ。そんなカップルの前に現れた、愛を知らない孤独な少女トモ。桜の季節に出会った3人が、それぞれの幸せを見つけるまでの心温まる60日。
小学生のトモは、母ヒロミと二人暮らし。ある日、ヒロミが男を追って姿を消す。ひとりきりになったトモは、いつものように叔父であるマキオの家に向かう。ただ以前と違うのは、マキオはリンコという美しい恋人と一緒に暮らしていた。
リンコの美味しい手料理や母親が決して与えてくれなかった家庭のぬくもりとトモへの愛情・・。最初は戸惑うトモだったが、リンコのやさしさに閉ざした心を少しずつ開いていくのだった・・・。
本当の家族ではないけれど、3人で過ごす特別な日々は、自分らしさと本当の幸せを教えてくれた。嬉しいことも、悲しいことも、どうしようもないことも、それぞれの気持ちを編み物に託して、3人が本気で編んだ先にあるものは・・・。
 
彼らが本気で編む時は06
映画『彼らが本気で編むときは、』より トランス女性を演じた生田斗真(右)

お次に紹介するのは『彼らが本気で編むときは、』。2017年公開の映画で生田斗真さんが母性のような慈愛に満ちたリンコというトランス女性を演じることでかなり話題になりました。しかし母性のような慈愛に満ちたトランス女性というはかなりの難役で、シス男性である生田斗真さんはかなり苦労されたんじゃないでしょうか。個人的にですが、演技力は素晴らしいのですが、キャラクターの設定があまり合っていないようにも感じました。しかし、当時の情勢から行くと「生田斗真がトランスジェンダー役に挑戦!」というのはなかなキャッチ―でそれだけで注目される要素だったので、映画としては正解だったのかなと思います。


女子的生活(ドラマ/志尊淳、西野さつき)

女子的生活
▼女子的生活PR動画▼
 
【あらすじ】
“かわいい女子的な生活”に憧れ、田舎から都会に出てきたヒロイン・みきは、ファストファッション会社に働くOL。でも、ひとつ大きな秘密があります。
それは、みきがトランスジェンダーであるということ。みきの性別は男性なのですが、見た目はスラリとした美人。しかし、男に興味がなく、好きになるのは女性、という“複雑な”人物なのです。
そんなみきのもとに、ある日、同級生だった後藤という男が転がりこんできます。みきの姿に戸惑う後藤ですが、ふたりはひょんなことから共同生活をおくることに・・・。
そんな奇妙な共同生活の中、みきにふりかかる「日常」に潜むいろんなモヤモヤを、おろおろする後藤をよそに、みきは圧倒的な自己肯定力をもって、ぶっとばしていきます。
ファッションの街・神戸を舞台に、破天荒で毒気たっぷりだけど憎めないヒロイン・みきと、ひと癖もふた癖もある登場人物たちとの“バトル”エピソードを、ポップに、明るく、コミカルに、そしてちょっと切なく描く、痛快ガールズストーリー!
 
女子的生活01
ドラマ『女子的生活』より トランスジェンダーOLみきを演じる志尊淳

続きましては2018年に放送されたテレビドラマ『女子的生活』。キラキラしたOL生活を楽しむトランス女性役みきを演じたのは俳優の志尊淳さん。物語は全体的にコメディで同居人との後藤とのやり取りが小気味いいです。トランスジェンダー指導をトランス女性である西原さつきさんが行っており、所作や発声など、強かでキラキラに憧れる女子を見事に演じていました。ちなみに西野さつきさん本人もみきの友人のトランス女性役で出演されています。 

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ミッドナイトスワン(邦画/草彅剛)

ミッドナイトスワン
▼映画『ミッドナイトスワン』予告編▼
 
【あらすじ】
トランスジェンダーの“凪沙”(なぎさ)は故郷の広島を離れ東京、新宿を舞台に生きている。
あるきっかけで親戚から預かった一人の少女と暮らす事になってしまった。母から愛を注がれずに生きてきた少女、一果(いちか)と出会ったことにより孤独の中で生きてきた凪沙の心に今までにない感情が芽生える。
一人の少女との出会いにより凪沙に芽生えた自らの“性”の葛藤と、実感した事の無かった“母性”の自覚を描く、奇跡の物語。
 
ミッドナイトスワン01
映画『ミッドナイトスワン』より トランス女性凪沙を演じる草彅剛

次に紹介するのは2020年の映画『ミッドナイトスワン』。草彅剛さんがちょっとやさぐれてたものの母性に目覚めるトランス女性を熱演しました。2017年、2018年日本ではあまり聞かれなかった「トランスジェンダー役をシスジェンダー俳優が演じるべきだ」という声はついに2020年登場し、この作品もその理由から批判の声が上がりました。その反面「日本ではまだトランスジェンダーの役者が育っていない」という声も多くあり、また作品自体が差別への問題提起をしていたこともあり好意的な意見が多いです。

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ママは昔パパだった(ドラマ/戸田恵子 他)

ママは昔パパだった
 
▼戸田恵子が性同一性障害の抱える役に挑戦▼
 
【あらすじ】
小谷仁史は男性として生まれ、結婚し妻との間に子供も2人もうけたが、性同一性障害に悩んでいたため性別適合手術を受け女性となる。  
妻とは離婚して小谷仁美と改名するが、性同一性障害特例法では「子供がいない事」が条件だったため戸籍上は男性のままで、性の変更はかなわなかった。
2007年、仁美は長距離バスの運転手をしながら、母親として小学生となった息子2人を育てていた。ある日、長男のリトルリーグの練習に同行した仁美は、「仁美の過去」を知ったチームの父母から、「教育上よくない」と言われ一方的に退会を迫られてしまう。 
性同一性障害は病気だと説明するが聞き入れられず、仁美は無理解な周囲に追い詰められつつ、自分の名誉と息子たちを守るため奔走する。
 
ママは昔パパだった02
ドラマ『ママは昔パパだった』より トランス女性役小谷仁美を演じる戸田恵子(中央)

最後にご紹介するのは少し今までとは違ったパターン。2009年に放送されたドラマ『ママは昔パパだった』では戸籍の性別変更をテーマにしており、二児の母でトランス女性をシスジェンダー女性である戸田恵子さんが演じました。これまではトランス女性役はトランス女性かシスジェンダー男性かが多く、それらを中心に紹介してきましたが、こちらはシスジェンダー女性が演じるパターン。しかし作中では同じくトランス女性役にトランス女性であるはるな愛さんやトランス女性役にシス男性である窪田正孝さんを起用するなど、役に合わせてキャスティングしている節がありますね。ちなみに戸田恵子さんは『トランスアメリカ』の吹き替えでもトランス女性を演じていました。

いかかでしたでしょうか。『私が私であるために(2006)』でトランスジェンダー役をシスジェンダー俳優が演じることはあったものの、それは定着せず、海外では「トランスジェンダー役をシスジェンダー俳優に!」という声が高まる2010年代後半も日本ではそういった声はほとんど出ず、2020年代になってやっとというところ。そういった声を受けて2021年公開された『片袖の魚』はトランス女性役にトランス女性を起用していたり、メインではなく端役のキャラクターはトランスジェンダー役にトランスジェンダーを起用していたりと、地味に動きが出てきています。私自身は闇雲になんでもかんでも「トランスジェンダー役をシスジェンダー俳優に!」とは思いません。やっぱり、役に合っていればシスジェンダー俳優でもトランスジェンダー俳優でもいいと思っています、個人的に。今後の海外に限らず日本の映画業界にも注目ですね!

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