昨今、演劇方面では様々な観点から「トランスジェンダー役はトランスジェンダー当事者に」という動きがあります。今回はそれらを踏まえて「トランスジェンダーは誰が演じているか」に着目してレインボー作品をご紹介します!前回前々回と海外の映像作品についてまとめてたので、今回は「トランスジェンダー役は誰が演じるか?日本編」として日本の映像作品をご紹介!
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トランスジェンダー役は誰が演じる?
私が私であるために(ドラマ/相沢咲姫楽 他)


まずは2006年に放送された単発ドラマ『私が私であるために』です。日本ではまだまだ馴染みのなかった「性同一性障害」とその家族をテーマにしており、主人公ひかる役を同じくトランス女性である相沢咲姫楽が演じ、他にも中村中、竹内亜美などトランス女性が出演しています。当時はトランス女性が役者業をやることがかなり珍しく、またテーマソングとなっている中村中の楽曲「友達の唄」はロングランを記録しました。
彼らが本気で編むときは、(邦画/生田斗真)
【あらすじ】
お次に紹介するのは『彼らが本気で編むときは、』。2017年公開の映画で生田斗真さんが母性のような慈愛に満ちたリンコというトランス女性を演じることでかなり話題になりました。しかし母性のような慈愛に満ちたトランス女性というはかなりの難役で、シス男性である生田斗真さんはかなり苦労されたんじゃないでしょうか。個人的にですが、演技力は素晴らしいのですが、キャラクターの設定があまり合っていないようにも感じました。しかし、当時の情勢から行くと「生田斗真がトランスジェンダー役に挑戦!」というのはなかなキャッチ―でそれだけで注目される要素だったので、映画としては正解だったのかなと思います。
女子的生活(ドラマ/志尊淳、西野さつき)

【あらすじ】
続きましては2018年に放送されたテレビドラマ『女子的生活』。キラキラしたOL生活を楽しむトランス女性役みきを演じたのは俳優の志尊淳さん。物語は全体的にコメディで同居人との後藤とのやり取りが小気味いいです。トランスジェンダー指導をトランス女性である西原さつきさんが行っており、所作や発声など、強かでキラキラに憧れる女子を見事に演じていました。ちなみに西野さつきさん本人もみきの友人のトランス女性役で出演されています。
ミッドナイトスワン(邦画/草彅剛)

【あらすじ】
あるきっかけで親戚から預かった一人の少女と暮らす事になってしまった。母から愛を注がれずに生きてきた少女、一果(いちか)と出会ったことにより孤独の中で生きてきた凪沙の心に今までにない感情が芽生える。
次に紹介するのは2020年の映画『ミッドナイトスワン』。草彅剛さんがちょっとやさぐれてたものの母性に目覚めるトランス女性を熱演しました。2017年、2018年日本ではあまり聞かれなかった「トランスジェンダー役をシスジェンダー俳優が演じるべきだ」という声はついに2020年登場し、この作品もその理由から批判の声が上がりました。その反面「日本ではまだトランスジェンダーの役者が育っていない」という声も多くあり、また作品自体が差別への問題提起をしていたこともあり好意的な意見が多いです。
ママは昔パパだった(ドラマ/戸田恵子 他)
【あらすじ】
小谷仁史は男性として生まれ、結婚し妻との間に子供も2人もうけたが、性同一性障害に悩んでいたため性別適合手術を受け女性となる。
妻とは離婚して小谷仁美と改名するが、性同一性障害特例法では「子供がいない事」が条件だったため戸籍上は男性のままで、性の変更はかなわなかった。
2007年、仁美は長距離バスの運転手をしながら、母親として小学生となった息子2人を育てていた。ある日、長男のリトルリーグの練習に同行した仁美は、「仁美の過去」を知ったチームの父母から、「教育上よくない」と言われ一方的に退会を迫られてしまう。
性同一性障害は病気だと説明するが聞き入れられず、仁美は無理解な周囲に追い詰められつつ、自分の名誉と息子たちを守るため奔走する。
最後にご紹介するのは少し今までとは違ったパターン。2009年に放送されたドラマ『ママは昔パパだった』では戸籍の性別変更をテーマにしており、二児の母でトランス女性をシスジェンダー女性である戸田恵子さんが演じました。これまではトランス女性役はトランス女性かシスジェンダー男性かが多く、それらを中心に紹介してきましたが、こちらはシスジェンダー女性が演じるパターン。しかし作中では同じくトランス女性役にトランス女性であるはるな愛さんやトランス女性役にシス男性である窪田正孝さんを起用するなど、役に合わせてキャスティングしている節がありますね。ちなみに戸田恵子さんは『トランスアメリカ』の吹き替えでもトランス女性を演じていました。
いかかでしたでしょうか。『私が私であるために(2006)』でトランスジェンダー役をシスジェンダー俳優が演じることはあったものの、それは定着せず、海外では「トランスジェンダー役をシスジェンダー俳優に!」という声が高まる2010年代後半も日本ではそういった声はほとんど出ず、2020年代になってやっとというところ。そういった声を受けて2021年公開された『片袖の魚』はトランス女性役にトランス女性を起用していたり、メインではなく端役のキャラクターはトランスジェンダー役にトランスジェンダーを起用していたりと、地味に動きが出てきています。私自身は闇雲になんでもかんでも「トランスジェンダー役をシスジェンダー俳優に!」とは思いません。やっぱり、役に合っていればシスジェンダー俳優でもトランスジェンダー俳優でもいいと思っています、個人的に。今後の海外に限らず日本の映画業界にも注目ですね!


























