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あらすじ

舞台は海辺の地方にある女子高校。高校3年生になった桐島カヤ子は、いつも一人でいる大人っぽくて物静かな遠藤雅美をお昼に誘った。遠藤はひとつ年上であるが、去年、何かの理由で停学し同級生になっていた。桐島は遠藤から、今まで知らなかった外国の音楽や、見た事のなかったセザンヌの画集を教えてもらい、その大人っぽい魅力に強い憧れを抱くようになる。
 
その思いは、しだいにただの憧れを超え、友情とも恋愛ともつかない関係に二人を導いていく。海に近い、けだるい雰囲気のながれる地方都市を舞台にした、春から夏、そして初秋にかけての物語。
 
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感想

▼映画『blue』予告編▼

 
【登場人物紹介&キャスト】
■桐島カヤ子(市川実日子)
高校3年生で目標も将来の夢もないことが不安。ひょんなことから遠藤に興味を持ち、惹かれていく。桐島役の市川実日子はこの作品が初主演。本作の演技で第24回モスクワ国際映画祭最優秀女優賞を受賞。本作以降、主に女優として認知されるようになった。また翌年に公開された『ラバーズ・キス』でも同級生の女の子に恋する役を演じている。

■遠藤雅美(小西真奈美)
高校3年生だが諸事情で留年し、桐島たちよりひとつ年上。故に孤立していたが、ひょんなことから桐島と仲良くなる。

■中野美恵子(今宿麻美)
高校3年で桐島と遠藤とは別のクラス。2年の頃から仲がいいという理由で、遠藤が桐島と仲良くなるまでは一緒に昼食を取っていた。遠藤が停学・留年、そして失踪した理由を知っている。
 
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映画『blue』より

感想

『blue』は、1996年に連載、翌1997年に単行本化された魚喃キリコの漫画で全1巻。本作はそれを原作として2002年に公開された青春映画です。
  
桐島と遠藤、2人の女子高生のお互いへの憧憬。そこから発展する恋ごころ、そして嫉妬に秘密と痛々しいまでの青春を詰め込んだ本作。青春にありがちな少し大人びた人への憧れ、将来への漠然とした不安、そんな2人のリアルな感じもいいのですが、音楽も極力入れず、静かな雰囲気がとてもいい。設定そのものよりも、紡ぎ出される台詞や間のとり方がの空気感が、思春期特有の痛々しさと青臭さを演出しててよかったです。

「恋人ができるまでは 一番の友達が 恋人でした」というフレーズが映画全体を物語っているようで、切なく感じました。私個人的な考えですが、桐島と遠藤は双方に大人と言う存在に憧れてたのかなと思います。桐島は同じクラスメイトで留年している遠藤に、遠藤は合コンで介抱してもらった年上の男性に、それぞれ憧れを持ち、それが恋慕に発展していったのかなと。そして何と言っても「青」が綺麗。
 
映像はなんというか所謂映える映像じゃないです。目を見張るような大自然と言うわけでもなく、絢爛な建物が並ぶ大都会というわけでなく、ただただ普通の日本の田舎。しかし、海の青、空の青という少し平坦な背景にファッションモデル出身の市川実日子と小西真奈美が画角は、写真集を切り取ったような感じでした。
 
痛々しくも美しく、誰もが経験しそうな青春の1ページだけれど、そこにしかない2人の物語という雰囲気が楽しめる作品です。
 
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映画『blue』より

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