苺とチョコレート


あらすじ

ハバナに暮らす大学生のダビドは、ある日オープンカフェでチョコレートアイスを食べている時、イチゴアイスを持った男性ディエゴに声をかけられる。芸術家だという彼はダビドを自宅へ誘い、ダビドも嫌々ながらもディエゴのアパートに向かった。
 
しかし彼の部屋にあったのは、ダビドが理解できないような奇妙な物ばかり。ディエゴの自由主義的な思想や態度に疑念を抱いたダビドは、学生寮に戻った後、共産党青年同盟の仲間ミゲルに報告。「同性愛者のスパイ」に違いないとして、ディエゴを監視するように言われたのだった。

苺とチョコレート03
映画『苺とチョコレート』より

登場人物紹介&キャスト

▼映画『苺とチョコレート』トレーラー※日本語字幕なし▼


ディエゴ(ホルヘ・ペルゴリア)
自由主義の芸術家。ゲイ。オープンテラスでチョコレートアイスを食べていたダビドをナンパする。自由と芸術を愛するが社会的政治的偏見に苦悩する。

ダビド(ウラジミール・クルス)
共産主義の青年。ストレート。自由主義のディエゴに対して共産党青年同盟の仲間ミゲルに監視するように言われ友人を装うが、ディエゴの人間性に惹かれるようになる。

ナンシー(ミルタ・イバラ)
ディエゴと同じアパートに住む女性。自殺未遂でダビドに輸血してもらって以来、お互い恋慕を抱いている。

苺とチョコレート02
映画『苺とチョコレート』より

思想と同性愛とブロマンス

『苺とチョコレート(原題:Fresa y Chocolate、英題:Strawberry and Chocolate)』は、1994年公開のキューバ・メキシコ・スペイン合作映画。共産主義者の男子学生と自由主義者のゲイ男性との友情を、キューバの社会情勢を背景に描くドラマ。
  
この映画は、共産主義の島国の状況を批判した最初の映画という意味で「キューバ映画で最初の批判的作品」とも言われた作品で、キューバ国民に非常に大きな衝撃を与えたそうです。同性愛やそれに対する嫌悪を国民が認識するきっかけになったと言われています。

苺とチョコレート01
映画『苺とチョコレート』より
 
ダビドとディエゴの出会いはディエゴのナンパ目的、その後の交友はダビドの監視目的と少し歪。お互い邪な感情があったものの、ふたりの間に友好的な関係が築かれていく。

そして、芸術や文化とは全く無縁だった共産主義青年ダビドは、ディエゴからキューバの芸術や文化に教えてもらい興味を持つ。そして無欲で誠実なディエゴが、社会的・政治的偏見の犠牲者であることに気づく。
 
ディエゴがゲイではあるがふたりには恋慕はなく(ディエゴはダビドに好意を抱いていたが早々に諦めてる)、ブロマンスといった感じ。ふたりの友情はとても熱く感じ、個人的にはラストのハグも良かったのですが、共産党青年同盟のミゲルがディエゴに暴言を吐いたときにディエゴとダビドが庇いあったことがすごく良かったです。

あれだけ差別的な思想が蔓延っている空間でゲイであるディエゴを庇ったりなんてしたらダビドまでゲイだなんだと言われるであろうけど、そんなのお構いなしといったふたりの友情は素晴らしかったです。
  
苺とチョコレート04
映画『苺とチョコレート』より

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