あらすじ
晩秋のアイルランド。英国軍に捕らえられた仲間たちを釈放するための人質として、黒人兵士ジョディがIRA(アイルランド共和軍)の一団に誘拐された。アジトに幽閉されたジョディの見張りにはファーガスという男が当たった。
2人きりで過ごすうちに、いつしか彼らはお互いに友情を抱く。ジョディはファーガスに「あんたは親切だ。それがあんたの性なんだ」と語る。ジョディは、自分が殺されたらロンドンにいる恋人ディルに会って「愛していた」と伝えてほしいと頼む。そして、ジョディは救出にやって来た英国軍の装甲車に誤ってひかれて死亡し、アジトも軍の急襲を受けて炎に包まれた。
かろうじて逃げ延びたファーガスはロンドンへと渡り、美容師のディルに会う。ファーガスは、夜はバーで歌うディルの美しく不思議な魅力にひかれ、2人は急速に接近する。
かろうじて逃げ延びたファーガスはロンドンへと渡り、美容師のディルに会う。ファーガスは、夜はバーで歌うディルの美しく不思議な魅力にひかれ、2人は急速に接近する。
映画『クライング・ゲーム』より
登場人物紹介&キャスト
▼映画『クライング・ゲーム』トレーラー※日本語字幕なし▼
ファーガス(スティーヴン・レイ)
IRA(アイルランド共和軍)の一員。人質のジョディにも優しく、情が厚い。ジョディの言葉通りに彼の恋人ディルに会いに行き、強く惹かれるようになる。IRAを抜けて以降は素性を隠し、名前を変えジミーと名乗っている。ファーガス役を演じたスティーヴン・レイは同監督作品に多数出演しており『プルートで朝食を』ではマジシャン役を演じている。
ディル(ジェイ・デヴィッドソン)
美容師でジョディの恋人だった。ジョディの死後現れたファーガスに強く惹かれるようになる。実はトランス女性。ディル役のジェイ・デヴィッドソンはそれまで演技経験がないにも関わらず難役を好演、その結果、アフリカ系イギリス人(非白人)で初めて第65回アカデミー賞の助演男優賞にノミネートされた。
IRA(アイルランド共和軍)の一員。人質のジョディにも優しく、情が厚い。ジョディの言葉通りに彼の恋人ディルに会いに行き、強く惹かれるようになる。IRAを抜けて以降は素性を隠し、名前を変えジミーと名乗っている。ファーガス役を演じたスティーヴン・レイは同監督作品に多数出演しており『プルートで朝食を』ではマジシャン役を演じている。
ディル(ジェイ・デヴィッドソン)
美容師でジョディの恋人だった。ジョディの死後現れたファーガスに強く惹かれるようになる。実はトランス女性。ディル役のジェイ・デヴィッドソンはそれまで演技経験がないにも関わらず難役を好演、その結果、アフリカ系イギリス人(非白人)で初めて第65回アカデミー賞の助演男優賞にノミネートされた。
ジュード(ミランダ・リチャードソン)
IRA(アイルランド共和軍)の一員。残忍で冷たい性格の女性構成員。黒人兵士ジョディに色仕掛けで近づき誘拐する手助けをした。英国襲撃後も生き延び、素性を隠しているファーガスに接触を諮る。
IRA(アイルランド共和軍)の一員。残忍で冷たい性格の女性構成員。黒人兵士ジョディに色仕掛けで近づき誘拐する手助けをした。英国襲撃後も生き延び、素性を隠しているファーガスに接触を諮る。
ジョディ(フォレスト・ウィテカー)
IRA(アイルランド共和軍)に誘拐された黒人兵士。ファーガスの優しさを見抜き、『サソリとカエルの話』を話し、奇妙な友情を育む。自分が殺されたらロンドンにいる恋人ディルに会って「愛していた」と伝えてほしいと頼む。
IRA(アイルランド共和軍)に誘拐された黒人兵士。ファーガスの優しさを見抜き、『サソリとカエルの話』を話し、奇妙な友情を育む。自分が殺されたらロンドンにいる恋人ディルに会って「愛していた」と伝えてほしいと頼む。
予想できない展開の連続
『クライング・ゲーム(The Crying Game)』は、1992年製作のイギリス映画。『プルートで朝食を』のニール・ジョーダン監督作品。ジャンルはラブロマンス、サスペンスと言った感じでしょうか。巧みなストーリーテリングが評価され、アカデミー脚本賞他、多数の映画賞を受賞しました。
巧みなストーリーテリングの評価は「先が見えない展開」にあると思います。観ていて「ここからどうなるんだ?」と思わせる展開の連続で、その後起こりうることも決して無理矢理感は強くなく整合性が取れているストーリーです。
例えば、冒頭ジョディが誘拐されるというシリアス展開かと思ったら、ジョディと組織のメンバーファーガスの友情物語になる…と思ったらジョディはファーガスに言葉を残して死んでしまう、そしてジョディの恋人ディルと会ったファーガスは急速に惹かれあってラブロマンス展開かと思ったら、ディルは実は男性という複雑展開。さらに組織のメンバーも生きていてサスペンス展開に…という目まぐるしく事が展開していくのに綺麗にまとまっています。
巧みなストーリーテリングの評価は「先が見えない展開」にあると思います。観ていて「ここからどうなるんだ?」と思わせる展開の連続で、その後起こりうることも決して無理矢理感は強くなく整合性が取れているストーリーです。
例えば、冒頭ジョディが誘拐されるというシリアス展開かと思ったら、ジョディと組織のメンバーファーガスの友情物語になる…と思ったらジョディはファーガスに言葉を残して死んでしまう、そしてジョディの恋人ディルと会ったファーガスは急速に惹かれあってラブロマンス展開かと思ったら、ディルは実は男性という複雑展開。さらに組織のメンバーも生きていてサスペンス展開に…という目まぐるしく事が展開していくのに綺麗にまとまっています。

映画『クライング・ゲーム』より
挿し話『サソリとカエルの話』の意味
作中、ジョディがファーガスに語る「サソリとカエルの話」がある。この話はオーソン・ウェルズの映画『ミスター・アーカディン』(1955)からの引用だそうで、『クライング・ゲーム』ではファーガスの人間性を表す話となっています。
「ある時、サソリが川を渡ろうとして、カエルに渡してくれるよう頼んだ。カエルは『だめだ。君を背負ったところで僕は君に刺されて死んでしまう』と断った。サソリは言い返す。『何て理屈の通らない言い草だ。君が死んだら、俺まで溺れてしまうだろう』そう言われてカエルは納得し、サソリを背負って川を渡り始めた。ところが川の真ん中で、カエルは背中に痛みを感じ刺されたことを知った。『理屈だって!』サソリと共に沈みながら、カエルは叫ぶ。『理屈も何もないじゃないか!』するとサソリは言った。『分かってはいるけれどやめられない。それが俺の性(さが)なんだ…』」
物語冒頭ジョディがファーガスに語るシーンでは、ファーガスのお人好しの性分の話をしているように聞こえるし、どこかジョディとファーガスの共通性を訴えているように感じました。そしてラスト、今後はファーガスがディルにこの話を語るのですが、どこか愛の告白のようにも感じてしまい、とてもエモーショナルなシーンとして描かれています。恐らく、受け取り方は人それぞれだと思うのですが、
映画『クライング・ゲーム』より
まとめ
そしてこの作品を魅力的に仕上げているのはディルを演じたジェイ・デヴィッドソンだと思います。彼はその中性的な容姿は物語では一切、男性性を感じさせないくらいディルを魅惑的に演じており、途中男装するのですが、男性キャストだと分からない完璧なキャラクターでした。そしてディルの魅力は決して容姿だけではなく、艶やかで不安定で強くも脆くもあるその言動は掴んだ心をなかなか放させてくれないものです。テンポ良く進むストーリーと、どんでん返しのシナリオがとても気持ち良く、誰かにおすすめしたくなる作品です。
映画『クライング・ゲーム』より
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