わたしは壁になりたい/白野ほなみ
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あらすじ
「人を好きになれない、なったことがない」Aセクシャルのゆりこは親の圧力によりお見合いをすることに。その相手は幼馴染に片想い中のゲイ・岳朗太だった。
「人の恋愛を壁になって見守りたい」派のゆりこ(腐女子)と「幼馴染(♂)が好きで好きでしょうがない、けど家庭の事情で結婚しなくてはいけない」岳朗太。
感想
『わたしは壁になりたい』は白野ほなみの漫画で、Aセクシュアルの腐女子と一途すぎるゲイの夫婦の日常物語です。白野ほなみさんは『カラーレスガール』ではメインキャラにトランスジェンダーを添えるなど、LGBTQをテーマに作品を描かれています。
本作はまず利害の一致の偽装夫婦とは言え、Aセクシュアルの腐女子とゲイが結婚するという設定が面白いですよね。お互いにAセクシュアルとゲイであるが故に周囲から結婚結婚と言われていて困ったことからの結婚と言うことですが、偽装とはいえ表面的にも夫婦でいるためにあれやこれやで頑張っているのが微笑ましいです。
「妻の趣味は理解しなければならない」と聞けばBLを勉強しようとしたり、「女性の朝食はパンケーキ」と聞けば朝食にパンケーキ(黒墨)を用意したりと夫の岳朗太の行動がいちいち健気で面白いですし、そんな岳朗太に振り回される妻ゆり子も楽しそうで、ふたりの間に恋愛関係は全くないけれど、微笑ましい夫婦だな思えます。
本作はまず利害の一致の偽装夫婦とは言え、Aセクシュアルの腐女子とゲイが結婚するという設定が面白いですよね。お互いにAセクシュアルとゲイであるが故に周囲から結婚結婚と言われていて困ったことからの結婚と言うことですが、偽装とはいえ表面的にも夫婦でいるためにあれやこれやで頑張っているのが微笑ましいです。
「妻の趣味は理解しなければならない」と聞けばBLを勉強しようとしたり、「女性の朝食はパンケーキ」と聞けば朝食にパンケーキ(黒墨)を用意したりと夫の岳朗太の行動がいちいち健気で面白いですし、そんな岳朗太に振り回される妻ゆり子も楽しそうで、ふたりの間に恋愛関係は全くないけれど、微笑ましい夫婦だな思えます。
漫画『わたしは壁になりたい』より
しっかり描かれるセクシュアリティの苦悩
設定的には腐女子の妻がゲイの夫と夫の想い人の幼馴染とのやり取りを見て楽しむ系のお話のように感じますが、その実双方のセクシュアリティ(Aセクシュアルとゲイ)による苦悩もしっかり描かれています。そしてお互いがお互いに恋愛事で苦労してきた故に相手に対して、偽装夫婦を言い訳にしないで一生懸命向き合います。そしてゲイとAセクシュアル故に「結婚」というものが重くのしかかります。特にゆり子は思春期になると恋愛色に浮足立つ同級生についていけずBLに逃げ込み没頭します、腐女子仲間だと思ってた友人も大学生になると同時に恋愛色に染まり「恋愛はいい」「女の幸せは結婚」と押し付けるようになったのが辛かったとのこと(その時点ではゆり子は自身がAセクシュアルとはまだわかっていなかった)。
そういったセクシュアリティ故の苦悩をしっかり描いているので、面白設定のおかしな関係性どまりじゃないことがこの作品の魅力だと思います。
漫画『わたしは壁になりたい』より
偽装夫婦の関係性
他にも夫の岳朗太と想い人草介との出会いやその想いに自覚したエピソードなども描かれています。岳朗太が一途すぎるゲイ故に「自分はずっとひとりなんだろうな」と思っていたようです。しかし利害の一致の偽装夫婦とはいえゆり子に出会えたことで、ひとりではなくなりました。そういった結婚や恋愛に疎い2人だからこそ得られる空気感と言うか関係性がとても尊く感じますが、岳朗太の想い人草介との関係性も好転してほしいなと思ってしまうので、岳朗太とゆり子の関係性がすごくいい故にもどかしいです。どういう終着点になるか、関係性はどうなるのか、どういった部分も楽しめる作品です。
漫画『わたしは壁になりたい』より
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