ラストジェンダー


あらすじ

とあるハプニングバーに集まるセクシャルマイノリティの人々の物語ーー。
ハプニングバー「BAR California」。ここは性別・性癖・性的指向も異なる人々が集まる場所。
人々は「何か」になるためにこのバーを訪れる――。
 
他人の声に傷ついてきたトランスジェンダーのバイセクシャル。
本当の恋を探すパンセクシャル(全性愛者)。
男女二つの性自認を持つ両性――。
 
人の数だけセクシャリティがある。
性と愛にまつわる珠玉のオムニバスストーリー!
  
ラストジェンダー03
漫画『ラストジェンダー』より

感想

『ラストジェンダー 何者でもない私たち』は多喜れいによる漫画で、ハプニングバー「BAR California」に集まるさまざまな人たちを主人公にしている作品で、それぞれにセクシュアリティの苦悩がしっかり描かれている作品です。
 
オムニバス形式で描かれており、次の話の主人公が前の話に登場しており、話と話の繋がりをしっかりと繋ぎ留めているのも面白いです。登場するGSRMは様々で、レズビアン、トランスジェンダー、アロマンティック、Xジェンダー、パンセクシュアルなどなど多岐にわたっています。
 
Aセクシュアルが登場する作品はいくつかありますが、アロマンティックやパンセクシュアルを公言しているキャラクターは珍しくもあり、そしてそれがただの隠れ設定に留まるわけではなく、ちゃんと物語に活きていることも魅力です。
 
ラストジェンダー01
漫画『ラストジェンダー』より

多様性を描いた作品

それぞれの主人公にそれぞれの課題があり、それはアイデンティティだったり親や家族へのカミングアウトだったり愛だったりといろいろで、それを他の客(次の話の主人公)との交流で、自分の人生に大切なことを見つけていく物語で、その過程がドラマチックに描かれています。
  
それでいて、GSRM(ジェンダー、セクシュアリティ、ロマンティックにおいてマイノリティ)の人々につていもすごく丁寧に描かれています。それなのに物語があっちこっちいかず、ちゃんと一貫してまとまりがある構成力に脱帽です。

そしてトランスジェンダーのキャラをトランスジェンダーの代表のように扱ったり、アロマンティックはこんな人!と押し付ける感じもなく、あくまでもとあるキャラクターがGSRMだという感じがして、まさに多様性をしっかりと描いた作品だと思います。
 
ラストジェンダー02
漫画『ラストジェンダー』より

【関連記事】
【男友達か彼女か】選択のトキ【LGBTQ漫画/TSファンタジー】
【恋にジェンダーは関係ない!】晃くんかもしれないし晃ちゃんかもしれない【漫画】
【Xジェンダーの著者が描く】性別X【コミックエッセイ】
【女性装を続ける理由】カラーレスガール【漫画】
【ハーレムラブコメ漫画家の苦悩】桐生先生は恋愛がわからない。【漫画】