あらすじ
荒い波が打ちつける海岸で、化石を求めて岩場によじ登るメアリー・アニング。
時は1840年代、イギリス南西部の海辺の町ライム・レジスに母親と二人で暮らすメアリーは、独学だが古生物学者としてその名を知られていた。
だが、大英博物館に展示されている魚竜イクチオサウルスの化石を発掘した栄光も遠い過去となり、今では生活のために観光客の土産物用アンモナイトを探して売っている。
時は1840年代、イギリス南西部の海辺の町ライム・レジスに母親と二人で暮らすメアリーは、独学だが古生物学者としてその名を知られていた。
だが、大英博物館に展示されている魚竜イクチオサウルスの化石を発掘した栄光も遠い過去となり、今では生活のために観光客の土産物用アンモナイトを探して売っている。
そんなメアリーの店に、ロンドンから化石収集家のロデリック・マーチソンが、妻のシャーロットを伴って訪れる。
裕福なロデリックは、メアリーが磨き上げたアンモナイトを購入し、採集に同行させてほしいと頼み込む。人付き合いが苦手で社交界にも全く興味のないメアリーは露骨に迷惑そうな顔をするが、謝礼を弾むと言われて渋々受けるのだった。
裕福なロデリックは、メアリーが磨き上げたアンモナイトを購入し、採集に同行させてほしいと頼み込む。人付き合いが苦手で社交界にも全く興味のないメアリーは露骨に迷惑そうな顔をするが、謝礼を弾むと言われて渋々受けるのだった。
▼映画『アンモナイトの目覚め』予告編▼
感想
『アンモナイトの目覚め(Ammonite)』は、2020年のイギリス・オーストラリア・アメリカ合衆国のロマンス映画。監督は『ゴッズ・オウン・カントリー』フランシス・リー、主演は『タイタニック』『エターナル・サンシャイン』の『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンという新旧二大女優。物語はメアリー・アニングという実在する古生物学者をモデルに監督フランシス・リーの独自解釈の基、彼女の自由を求める物語です。
基本的にはメアリーとシャーロットとのラブロマンスですが、メアリーが愛よりも自由を求めてる描写やシャーロットやメアリーの母が子を失った悲しみなど、これでもかと暗喩されていて一見「?」と思う描写がたくさんありますが、ラストに向かっていくにつれて解き明かされる感じはまさに化石を掘り起こすような気分にさせてくれます。
映画『アンモナイトの目覚め』より
自由を求めたラブロマンス
メインはメアリーとシャーロットのラブロマンスで、人間嫌いで偏屈なメアリーとうつ病で落ち込んでいるシャーロットが心を通わせ、繋がっていく様を繊細でたっぷりと時間をかけて描いています。しかしメアリーは化石の採掘に誇りを持っており、シャーロットは既婚者で根本に反りが合わない2人なので一筋縄ではいきません。その小さなズレは徐々に徐々にほころび始め、メアリーがシャーロットのいるロンドンに向かった時に決定打になりました。個人的にそこからの描写が本当にすごい。
一見して2人の女性が言い争ってるだけのシーンなんですが、セリフで明確に言及しなくとも、双方が何を失い、何を求めていて、2人の間で何がズレていたかがはっきり分かる仕組みなっていて感動しました。
皮肉にもメアリーとシャーロットが求めるものは双方「自由」であることには違いないのに、求める自由には種類があってそれは双方違ってしまった。……個人的にはメアリーの求める自由はあまりにも高尚過ぎて理想郷のような感じでなんとも言えませんが……。
そして、幸せも苦渋も味わった2人がどうなるかはラスト、これには見る人によって解釈が分かれるところなのですが、答えを言葉に表さずとも2人の視線やそれまでのやりとりで答えがはっきりと分かる表現力は脱帽です。
映画『アンモナイトの目覚め』より
メアリー・アニングはレズビアンだったか
『アンモナイトの目覚め』は実在する古生物学者メアリー・アニングをモデルに製作された映画です。メアリーだけでなく、相手役のシャーロット・マーチソン、シャーロットの夫ロデリック・マーチソン、メアリーの隣人のエリザベス・フィルポットも実在する人物です。しかし史実に基づいたものではなく、あくまでメアリーたちをモデルにしたに過ぎず、メアリーとシャーロットが恋仲になった事実もメアリーがレズビアンだったという事実も確認されておらず、すべては監督の解釈によるところが大きいです。
夫との不仲を描かれていたシャーロットですが、実際は仲が良く彼女自身も地質学者だったため、同じく地質学者だった夫ロデリック・マーチソンと共同研究していたりと仲が良かったそうですね。ちなみに映画を観た後だと驚きかもしれませんが、年上メアリーと年下シャーロットの恋愛模様のように描かれていますが、実際はメアリーのほうが年下でシャーロットの方が11歳も年上だったようです。
そんな肉付けをされた本作ですが、彼女が12歳の時にイクチオサウルスの全身化石を発見し科学界に大きな影響を与えたものの、女性であることを理由に不遇だった(本や論文を出すことは禁止されていた)のは事実で、その功績も忘れ去られた時期もある。
映画内では彼女の逸話である「雷に打たれて生き残った(彼女が生後15か月だった頃、雷が村を襲い4人に直撃した。その内3人が死亡したが、ひとりメアリーは生き残った。このことから彼女の天才的な才能は雷に打たれたからだとする迷信がうまれた)」からエリザベスのセリフに「稲妻メアリー」とあったり、海岸で貝(アンモナイト)を拾う姿から生まれた早口言葉「She sells sea shells by the sea shore.(彼女は海岸で貝殻を売った)」なども出てくるので、それらを知ってるとまた楽しめるかも。
映画『アンモナイトの目覚め』より
まとめ
実在の人物をモチーフにしながらも、彼女に同性愛要素を付加したことに関してフランシス・リー監督は【僕は自伝を作りたかったわけじゃない。メアリーを尊重しつつ、想像に基づいて彼女を探求したかった。女であれ男であれ、メアリーが誰かと関係を持ったという証拠は一つも残っていないが、彼女に相応しい関係を描きたいと思っていた】
と語っており、彼女が同性愛者だったかもしれないと思わせてくれる作りにもなったおり、監督の解釈も納得できます。ただあくまで監督の解釈なので、また違った解釈があっても面白いのかなと思ったり(現にメアリー・アニングはAセクシュアルだったのでは?という話もあるのだそう)。
個人的には女性と言うだけで功績をなかったことにされたメアリーが女性の権利を主張する映画かなと思っていたんですが、映画のメアリーの関心はそんなことではなく、むしろシャーロットとの恋愛をガッツリ描いたラブロマンスだったので意外で驚き、楽しませていただきました!
映画『アンモナイトの目覚め』より
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