あらすじ

太めの高校生ドングの夢は、性転換して憧れのマドンナのような完璧な女性になること。そんなある日、韓国相撲 (=シルム)の大会で優勝者に500万ウォンが贈られることを知り、力だけは自信のあった彼は意を決してシルム部に入門することに。ところが、裸になるばかりか男子と肌を合わせなければならず、どうしても恥ずかしがってしまう。
　

感想

『ヨコヅナ・マドンナ』(原題：천하장사 마돈나、英題：Like a Virgin)は、2006年公開の韓国映画。マドンナのような完璧な女性になりたいと憧れるぽっちゃり体系のドングが、今後のための資金集めとしてシルムという競技に参加するという青春ムービー。
　
女性になることを夢見る主人公オ・ドング役はリュ・ドックァン。ちょいぽちゃ体系で見た目的にもマドンナからは程遠い見た目ですが、なんとも健気で女性的な仕草が可愛らしく感じました。シルムというドングとは肌が合わなそうな競技に対しても、ちゃんと向き合いひたむきに努力する姿は見ているこちらが応援したくなります。
　
性別違和を抱えている男の子を主人公としていますが、メインはシルムを通じて成長する青春色が強い作品で、交友関係を広げたり、毒親との決別だったりと、性別違和に関してのエピソードはやや少なめ。ただ女性的な仕草をするドングに対していじめがあったり、好意を寄せていた日本語教師にこっぴどく降られるどころか、憎悪感情を向けられるなど、無理解故に苦しめられるシーンもあります。
　
ちなみにその日本語教師役は『ミッドナイトスワン』でトランスジェンダー役を演じた草彅剛さんです。

韓国相撲「シルム」

今回『シルム』という競技が出てきました。タイトルに「ヨコヅナ」と入っているように日本の相撲にも似た競技で「朝鮮相撲」や「韓国相撲」などとも呼ばれるようです。ただ競技人口はそこまで多くなく、日本の相撲とはルールもまるで違うようです。相撲だと思ってシルム見るとマジでビックリする。
　
　

性別違和を抱えているドング

作中では性別違和を抱えているドングというキャラクターが登場しましたが、メインはシルム。いじめや無理解からくるヘイトクライムなどはありましたが、どちらかと言うと毒親との決別が強く、その毒親もドングの女装についてはあまり文句は言っていません。一度だけドングが口紅を付けている瞬間を父親が目撃してしまいましたが、ショックという顔はしているもののどちらかというと、ドングがシルムをやることを許せない感じ。
　
なので「性別違和を抱えている子」を主人公にしている割にはそこらへんが薄いなぁ、設定が宙ぶらりんだなぁなんて思ったりしましたが、終盤ドングと友人との会話で「お前は夢があっていいな」と言う友人に対して「残酷なこと言うなよ」というドング。その後の「僕はただ僕の人生を歩きたいだけだ」と言う言葉の重みよ。
　
そうなんですよね。他人が当たり前にできてることが、ドングにとってはそれすらが難しくて、それを「なりたいもの」「夢」とキラキラしたものにまとめられることが悔しくてたまらないんですよね。この友人は、ドングの傍にいて、守ったり、助けたりしていましたが、ドングにとっては何か思うところがあったのかもしれませんね。
　

まとめ

性別違和✕スポーツという映画ですが基本的にコメディで楽しい映画です。あとマドンナに憧れているドングのダンスが凄い！先輩と踊りながら会話するシーンは個人的にすごく好きで、太ましいボディでめっちゃキレッキレで踊るダンスがとてもカッコ良かったです！ドングを応援したくなるし、元気ももらえる映画ですので是非！
　

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