東京ゴッドファーザーズ
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あらすじ
自称・元競輪選手のギンちゃん、元ドラァグ・クイーンのハナちゃん、家出少女のミユキ、三人は新宿の公園でホームレス生活を送っていた。クリスマスの晩、ハナちゃんの提案でゴミ捨て場にクリスマス・プレゼントを探しに出かけた三人は、赤ちゃんを拾う。赤ちゃんに「清子」と名付け、自分で育てると言い張るハナちゃんを説得し、三人は清子の実の親探しに出かけるが、行く先々で騒動が巻き起こる。
▼映画『東京ゴッドファーザーズ』予告編▼
登場人物紹介&キャスト
ギン(江守徹)
自称元競輪選手のホームレス。3人の中ではホームレス歴が一番長い。家族を残してホームレスになったが、根は娘想いで大きくなっているはずの娘のために、コツコツとお金を貯めている。ギンの娘も、赤ん坊と同じ「キヨコ」という名前。
ハナ(梅垣義明)
元ドラァグクイーンのオカマのホームレス。彼氏と死に別れたことで生活力を失いホームレスとなる。家族に恵まれなかったため、清子の境遇に一番同情している。非捨てられていた赤ちゃんに「清子」という名前をつける名付け親。
ミユキ(岡本綾)
家出少女の高校生。猫を捨てられたと勘違いして、父親を口論の末に刃物で刺してしまい、そのまま家を飛び出しギン達と生活することになる。2人に憎まれ口を叩きながらも清子の両親探しを手伝いをする。
キヨコ(こおろぎさとみ)
ゴミ捨て場に置き去りにされていた新生児。拾われたのがクリスマスだったため、「きよしこの夜」からとって清子(キヨコ)と名づけられた。3人が彼女を拾ってから、行く先々で奇跡がかった出来事が起きる。
感想
『東京ゴッドファーザーズ(Tokyo Godfathers)』は、2003年の日本のアニメ映画。『パプリカ』『千年女優』に続く今敏監督による長編劇場映画。東京の新宿に暮らす3人のホームレスがクリスマスの夜にゴミ捨て場で赤ちゃんを拾い、残された手掛かりから何とかその赤ちゃんを親元へ返そうと奮戦するというコメディ。
本作は3人のホームレス…家ないし家族を失ってしまった3人が、捨てられた赤ん坊がきっかけとなってもたらされる奇跡のような偶然により、それぞれが失ってしまった本来の家族との繋がりを回復して行くというお話。
複雑で解釈の難しい作品が多い今敏監督ですが、本作に至ってはストーリーシンプル。本当にシンプル。だけど、どこかしかにファンタジックな奇跡が起きたり、にくい演出や暗喩されていたりと今敏監督ならではが光る作品です。
本作は3人のホームレス…家ないし家族を失ってしまった3人が、捨てられた赤ん坊がきっかけとなってもたらされる奇跡のような偶然により、それぞれが失ってしまった本来の家族との繋がりを回復して行くというお話。
複雑で解釈の難しい作品が多い今敏監督ですが、本作に至ってはストーリーシンプル。本当にシンプル。だけど、どこかしかにファンタジックな奇跡が起きたり、にくい演出や暗喩されていたりと今敏監督ならではが光る作品です。
映画『東京ゴッドファーザーズ』より
こんな「家族」があってもいいよね
いろいろ語るところの多い作品ですが、ここでは「家族」について語りたいと思います。ギン、ハナ、ミユキの3人はホームレスで、一見父と母、娘という家族のような構成ですが、家族じゃない。もちろん血のつながりもない。そしてそれぞれに「家族」と呼べる人たちがいる。ギンには別れた奥さんと娘。ミユキには父親と母親。ハナは血のつながった人はいない天涯孤独の身ではあるが昔務めてた飲み屋のママを「お母さん」と呼んでいて慕っていた。
ギンは奇跡的にも娘と再開し和解するも「いつかまた」と離れることを選ぶ、ハナもお母さんとお店に頼りはしたけれど(キヨコの親探しのために)離れる、そしてミユキもわだかまりのあった父親と再開するが……。
血のつながりもない、本当の家族でもなんでもない3人だけど、ところどころにお互いを信頼している箇所があって、個人的には物語冒頭、ミユキが他のホームレスに絡まれたときにそのホームレスが「ギンさんところのに手を出すと面倒くさい」といったセリフがあるのですが、そのセリフだけでミユキがまるで娘のように大切にされているんだなと思わせるシーンで好きです。
映画『東京ゴッドファーザーズ』より
まとめ
ストリートは至ってシンプルな作品ですが、伏線と言うか暗喩と言うかそういったのも張り巡らされた作品で、見どころはたっぷりあります。例えば物語冒頭、教会の人の炊き出しにギンとハナだけが参加してミユキだけは不参加だったのは、実母が宗教にはまっていたことを理由に宗教を毛嫌いしていたから…とかハナが赤ん坊に「キヨコ」と名付けたことにギンが驚き「いい名前」と言ったのは実娘の名前も「清子」だったから…とか。他にもギンがホームレス狩りにあってる時の街灯の点滅はギンのライフゲージを表していたり、エアコンの室外機や窓などを目や口に見立てた「顔に見える風景」がさまざまなカットに仕込まれていて、それらは「東京」というもう一人の主人公が見守っているという意味合いもあるそうです。そういったさまざまな仕掛けのある作品なので是非!

映画『東京ゴッドファーザーズ』より
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