
あらすじ
40歳になろうかという俳優のマイケル・ドーシーは、その完璧主義が災いして周りと上手くいかず、どこからも雇ってもらえなくなってしまう。4ヶ月仕事がなかったある日、演劇の生徒サンディが病院を舞台にしたソープ・オペラのオーディションを受けるというのでついて行くが、サンディは落とされてしまう。
翌日どうしても納得できないマイケルは女装し、"ドロシー・マイケルズ" としてそのオーディションに乗り込んだところ、プロデューサーのリタに気に入られ合格してしまい、タフな病院経営者のエミリーという役を得る。
▼映画『トッツィー』予告編▼
感想
『トッツィー(Tootsie)』は、1982年に公開されたアメリカ映画。40歳のストイックすぎる俳優が女装してオーディションを受けたところ、女性役を見事に獲得したことで、いろいろ波紋が広がっていくコメディ作品。女性として世に出てしまったことで、好きな人からは良き友人としてしか見られず恋に発展はまず無理で、しかも他の男性陣から言い寄られてうまくかわすことにも苦労するドロシーの姿を面白おかしく楽しめる作品です。
そんな売れない俳優が女装して女優として…という難役を演じたのはダスティン・ホフマン。彼の低めの身長もありますが、見事に女優を演じていました。本当に男性としてのマイケル・ドーシーと女性としてのドロシー・マイケルズで役者を使い分けているんじゃないかと思うくらい。ストーリーを聞いただけだと男性が女性としてなんて無理あるんじゃ?なんて思ってたけど、いざ見てみるとそんなことを感じさせないくらい完璧にドロシーを演じ切っていました。
映画『トッツィー』より
女性を演じ続けることで次々と混乱が…
マイケルはあくまで役のためにドロシーという女性になりきってるわけであって、彼自身が女性になりたいとか女性装が好きと言うわけではまったくなく、むしろストレートで女好き。なのに複数の男性から言い寄られて、本人はうまくかわしつつも頭を悩ませる。こういったあるある展開は、当人の苦労は余所に視聴者や第三者的には面白い展開。そして一目惚れしてしまった女優のジュリーからも女性と思われているので、恋愛に発展せず、むしろ女友達としてかなり距離が近くなってしまい、なかなかステップアップできない苦悩もあって、彼の恋の行方もこの作品の見どころとなってしまいます。
女友達から「ゲイ」だと思われ、想い人の女性からは「レズビアン」だと思われ、その想い人の父親から求婚されという、なんとも言えない状況になってしまったマイケルをどんど笑ってやってくれと勢いの感じるコメディ作品になっています。
映画『トッツィー』より
男性でありながら女性を演じ続ける
個人的に好きなシーンはマイケルの想い人ジュリーの父親からのアプローチ。あのシーンでジュリーの父親は「最近は皆、男女平等って言いたがるらしいな。だけど、本当のところどうなんだろう。」と問います。マイケル自身、男でありながら女性を演じ、女性としての苦労を感じていた部分はあると思います。そんな中ジュリーの父親は亡き妻を思いながら、人権とか平等ってことよりも「ただお互いを思いやること」を大事にしていることが分かります。これは現在にも通じる部分ですが、人権や平等ばかり声高々に言っていて「互いを思いやる」ということが忘れがちになっていることを、全体的にコメディでありながら気づかせてくれる映画でもあります。
これは男性でありながら女性を演じ続けなければならないマイケルを主人公においたこの作品ならではだと感じました。
映画『トッツィー』より
まとめ
ちなみに映画のタイトルにもなっているトッツィーは「(大人の女性に対して)お嬢さん」と言った意味になるそうです。マイケルが女性になりきるあまりついついボロが出てしまったり、太ってる(男性なのでゴツく見える)こと気にしたり、初めてのデート(?)に「美しく見られたい」と女性性を思い求めたりと、マイケルのなりきり具合も楽しいし、男だとバレそうでバレないハラハラ感を楽しめる作品です!
映画『トッツィー』より
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