セクシャリティー


あらすじ

ある若き女性は、自分が幼い頃に家族を捨てた父が他界したことを聞く。そこで、父のことを知ろうと彼の家を訪れた彼女だったが、それを機に自分のアイデンティティを見つめ直すこととなる。

▼映画『セクシャリティー』予告編▼


作品紹介

『セクシャリティー(Octavio Is Dead!)』は2018年のカナダ映画で、父の死をきっかけに自分を見つめなおす女性のストーリー。

父の死をきっかけに自らのアイデンティティに向き合う女性タイラーを演じるのは、その美貌と存在感を遺憾なく発揮してきたサラ・ガドン。

毒体質な主人公タイラーの母親役には『グラン・ブルー』のヒロイン役で一躍世界の恋人となったロザンナ・アークエットが演じるほか、父親役に『ボーダーライン』のラオール・トゥルヒージョ、タイラーが出会う青年アポストリス役としてギリシャ出身の注目の新星ディミトリス・キトソスら豪華キャストが脇を固めています。

監督・脚本は、大都会の片隅で性に向き合う男女の姿を、ジョン・キャメロン・ミッチェル監督が描いた傑作『ショートバス』で主演を務め役者としても高い評価を獲得しているスックイン・リー。

セクシャリティー04
映画『セクシャリティー』より

亡き父の幻影を求めて

内気な少女タイラーがそれまで会ったこともない父親が死に、しかも遺産を全部自分にやると遺言を残していたことから、亡き父親の痕跡を探し求め、自分自身を探しに行くというストーリー。

自分には心身不安定な母親しかおらず、その母親の言いなりだったタイラーは、母親から聞かされていた父親像と父親の代理人弁護士から聞く人物像がどこか違うと感じはじめ、初めて母親に反抗し、父親の住んでいたアパートに行きます。

途中、父親の幻影?幽霊?を見たり、ファンタジックというか、スピリチュアルな雰囲気がありますが、映画全体的にはタイラーの自分探し……というよりは「タイラーの自立」というテーマが根底にある気がします。

もともと内気で多少不服とか疑問を感じても他者の言われるままだったタイラーが、母や好きな人にも縋らず立ち上がるまで、めちゃくちゃ悩んで泣いて傷ついて、それでも成長して……そんな物語。

セクシャリティー01
映画『セクシャリティー』より

何故父親は娘の前から消えたのか

ここからネタバレ



「何故父親は蒸発したのか」「父親がどうして娘に遺産を残そうとしたのか」「その遺産はどうして母親には一銭もなく、全額娘に相続させようとしたのか」「何故母親は娘と父親を接触させないようにしていたのか」そういった疑問も物語が進むにつれて分かります。

結果論を言うと父親はゲイだったから。母親を愛していなかったから。しかし、血を分けた娘のことは気にかけており、遺産と言う形で関りを持とうとした。

父親がゲイであることや、自分が好きになった男性が父親と恋仲だったことなど、タイラーにとってはショックな出来事で少し自棄になりましたが、そんな経験を経て強くなり、自分にとって毒だった母親から自立した女性になることができたのだと思います。

セクシャリティー02
映画『セクシャリティー』より

まとめ

観る前は「官能的!」なんてうたってるから、内気な少女が性に溺れる話なのかななんて思っていたら、まさかの成長譚って感じの作品でした。

視聴後は思ったよりも爽やかで、タイラーのちょっと遅めの自立した姿に勇気をもらえる作品だと思います。

それにしてもなんで邦題は『セクシャリティー』なんてタイトルなんだろう?原題『Octavio Is Dead!(オクタヴィオは死んだ!※オクタヴィオ=タイラーの父親)』と全然違うし、なんで「セクシャリティー」?謎だ…。

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映画『セクシャリティー』より
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