アイアムキューブリック


あらすじ

1990年代のイギリス。詐欺師のアランは、有名な映画監督スタンリー・キューブリックになりすまし、自分の次の映画に使ってやるなどと騙して、食事や酒をおごらせ、巧みに金を巻き上げて暮らしていた。

元々映画には詳しくないので、キューブリックの映画について問いつめられるとすぐにボロが出るのだが、それでも騙された方が恥と感じて訴え出ることがほとんどなかったため、アランの詐欺行為は徐々にエスカレートして行く。

▼映画『アイ・アム・キューブリック!』冒頭映像▼


作品解説

『アイ・アム・キューブリック!(Colour Me Kubrick: A True...ish Story)』は2005年のイギリス・フランスのコメディ映画。監督はブライアン・クック、主演はジョン・マルコヴィッチ。

1990年代のイギリスで映画監督スタンリー・キューブリックになりすました実在の詐欺師アラン・コンウェイを描いています。

監督のブライアン・クックは『バリー・リンドン』や『アイズ ワイド シャット』などのキューブリック監督作品で助監督を務めており、本作が映画監督デビュー作となる。また、脚本のアンソニー・フルーウィンは長年に渡りキューブリックの個人アシスタントを務めていたそうです。

原題に「 A True...ish Story(実話っぽい話)」とついているように、実在するアラン・コンウェイをモデルに描いた作品ですが、そこそこ脚色はされているようです。

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映画『アイ・アム・キューブリック!』より

アラン・コンウェイという人物

アラン・コンウェイはイギリスの 詐欺師で、映画監督のスタンリー・キューブリックになりすましたことで知られている詐欺師です。

アランには妻もいましたが、ゲイで男遊びも激しかったようで、映画でも男遊びに余念のない姿が描かれています。

著名な映画化監督スタンリー・キューブリックのなりすまし詐欺行為は1990年代初めあたりからやりはじめ、エンターテインメント業界の人物を何人も騙してきました。

当時はキューブリック監督自身は約 15 間公の場から姿を消しており、特徴的な髭を蓄えていたため顔そのものを覚えている人も少なく、騙される人も多かったのだとか。

キューブリック監督自身はアランの詐欺について知らされても、非常に面白がっていたと言われていたそうですが、キューブリック監督の妻であるクリスティアーネは「彼のドッペルゲンガーいるみたいで怖い」とあまり感心しなかったようです。多分奥さんの反応は一般的です。

その後、アランは1998年12月に心臓発作で、キューブリック監督は翌年1999年3月に同じく心臓発作で亡くなり、3 か月違いとは言え、死因も時期も近い2人に奇妙な関係を感じますね。

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映画『アイ・アム・キューブリック!』より

実話犯罪コメディ

映画は実在の犯罪を基に作られていますが、全体的にコメディ調です。アランの詐欺行為に「どうして騙されるの?」「いや無理あるだろう!」とツッコミながら鑑賞できる作品だと思います。

主人公アランがゲイではありますが、だからといってラブロマンスが起こるわけでもなく、お酒とお金を求めて、騙しに騙してその日を生きていく……なんとも潔いアランの生き方を堪能できます。

また詐欺行為がバレた後のアランの転落人生とどこかしぶとい生きざまにどこか感心させられる要素もあり、コメディなんだけども、ただ楽しい作品で終わってないあたりもこの作品の強みですね。

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映画『アイ・アム・キューブリック!』より

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